人魚と騎士[赤の秘密]⑰
「何をっ?!」
「村長!・―」
「煩いっ!」
ヨンに付いて来た村人達はヨンがいきなり剣を構えて驚愕しながらも、剣の切っ先を向けられている村長を心配して声を上げるが、
しかしヨンの低く冷たい一言に遮断され、皆口を動かす事が出来なかった。
「・・・その前に聞きたい」
「何か?」
「何故この村はこんなにも豊かなのか?」
「・・・・・」
「守り神?そんな訳はないよな?あのおんぼろ祠が何かするなんて有り得ない」
ヨンの言葉に椅子に座っている村長は何も言わない。その代わりに後ろから村人が違うと叫んだ。
「守り神はおります!だからこの様に・・」
「では、あの祠にいる守り神とは?まさか今まで生贄に捧げた娘を本当に食べたとでも?・・・違うな、本当は暫くして連れ戻すか、貢女にしていたか。30年にあるか無いかだ、一人女人が消えても悲しむのはその時だけ、村が豊かなのが重要なのだから一人位何とも思わないだろう」
「・・・そんな事をしたら、村人に見つかるでしょう。彼等の娘達なのですよ?」
「・・・娘・・・本当か?」
ヨンはぐるりと首だけを肩越しから振り向き、後ろにいる村人達を睨み付けた。
「・・・生贄に捧げていた娘は、本当にこの村の子供なのか?」
ヨンの言葉に村長だけで無く、村人達までもが硬直してしまった。
「・・・国境警備の兵士の話を聞いたが、そうか、この村の男だったのか・・・」
「兵士・・・?」
ヨンは持っていた剣を振り下ろすと、ダンッと床に突き刺した。
「数年前にも疫病が流行り、大国からの仕業だと思っていたが・・・いや、大国には変わらないな。密かに必要な薬材を手に入れこの村で人為的に毒性の高い菌種を作っていたのだろう?」
ヨンは再び鼻をすんと鳴らし部屋内の匂いを嗅いだ。
「この部屋に消毒替わりの薬草の匂いが充満している。故にお前は毒の解毒も知っているのだろうな」
「毒・・・?」
「いや、我々は薬草を栽培しているだけだ」
喩えそれが軍に見つかったら処罰を受けてしまうかもしれないと恐れてはいた。だが、それだけで毒等とは・・・。
村人達の中で毒の話を知らなかった者達は困惑し、戸惑い始めていた。
「その薬草だけでこんなにも豊かになるとでも?そうだな・・・誰かを兵士に紛れ込ませ、大国に渡しているとかな?国境付近で・・・」
ヨンは首をコキッと傾け鳴らすと、突き刺した剣を引き抜きゆっくりと再び切っ先を村長に向けた。
「あの男は自分の役目も知らず死んで行ったぞ」
何故自分の身体がこんな状態になるのか不可解だっただろう。
あの男の身体は爆ぜた胞子で黒く汚れていたという――。
⑱に続く
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
ウンスの両親がウンスを二度捨てた意味・・・。
この村の血は無い様です。
シビアな話は夜中出すに限りますな。(*´`)
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