人魚と騎士[赤の秘密]⑮
「国境付近で元からの侵攻を防いでいる筈の兵士達が奇妙な死に方をしていると聞いた」
それは王様の一言から始まった。
新しい王様になって数ヶ月が経っていた。
だからといって、高麗が落ち着いた訳では無く常に元からの油断出来ない監視を浴びながら、それでも軍隊や大臣達の王様への忠誠心を固める為にヨンが奔走している時にそんな話が出て来たのだった。
「・・・それは?」
ため息を心中で隠しつつ、ヨンは正面に座る王様を見つめ、隣りに座るチュンソクもチラリとヨンを見て前を向く。
しかし話し始めたのは王様では無く傍に立っている参理のチョ大臣で、
彼が言う話では前線にいる軍隊が先ず倒れてしまい、その後に着いた後方部隊までもが倒れ中にはおかしな死に方をしている者までいるという。
「医者も薬も足りず、近くの村に助けを求めたが・・・死んだ者は、触る事さえしなかったという」
「触らない・・・?」
「肌が変色し、壊死した様に一気に黒くなるとか。痘瘡の様な胞子のうが膿を作りとても触れたものでは無いらしい」
「それは毒なのでは?」
浴びたか口の中に入ったか。
「敵襲からの攻撃だとしたら、直ぐに情報が入って来る、しかしそれは最初は部隊内で誰かが倒れてからと言うのだ」
それから暫くして、疫病の様にじわじわと広がり始めてしまった。飲む薬も底を尽き、村人から貰ったのも無くなり軍隊もどうしようもない。動けない者は村人が看病していたが、症状が改善せずに死んでいく者ばかりだという事だった。
村人は家に置いておけず、山の中に堀を作りそこに埋葬する。既に山の中はその盛り土でいっぱいになっているらしい。
「敵の攻撃では無いと?」
「わからない。そうだったのかもしれないし、部隊内から出た事かもしれない」
曖昧過ぎる。
「どうだろうか?」
――大将達軍隊が援護に行って欲しい。
ヨンは思わず眉をピクリと上げてしまうが、その眼差しを隣りに向け誤魔化すと二人は椅子から立ち上がって頭を下げた。
「御意」
それだけ言うと二人は王様の部屋から退室した。
「あぁ、くそ・・・!」
何故今なんだ?
こんな時に・・・。
ヨンは苛立ちながら、チュホンに跨り山道を走っていた。
教えなくてはならない。
しかしウンスは何時帰って来るかわからない戦に行く自分を待っていてくれるだろうか?
一人にしたら誰かがウンスを見つけ、攫っていったらどうしよう?海に逃げてくれれば良いが、見世物小屋等に売り飛ばされる事になったら・・・
・・・早く会いたい。
懐にしまった食べ物に手を当てウンスを思い浮かべ、ヨンは急げとチュホンに声を掛けた――。
⑯に続く
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
ここはどの辺りかわかりましたかね?
後、毒・・・誰か言っていた様な(*´`)
(あの毒がこちらでわかるかもしれませんねぇ)
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