鈴の鳴る方へ(11)
「・・・チェヨン君て、“輪廻転生”て信じるかい?」
唐突な質問に、ヨンはきょとんとしたが眉を顰めて首を振った。
「は?いいえ。そういうのは信じていません」
ヨンの言葉にビンは目を細めニコリと笑う。
「私は信じているんですよ。無くはない話だなぁと」
「・・・だから?」
ビンの言葉の意味がわからず、少しイラついて来た様子のヨンを見つめたまま話を続けている。
「それもまた運命。・・・あぁ、職員室に行く事無いならウンスと一緒に帰れば良かったな」
窓を見てはぁーとため息を吐いたビンは、直ぐに顔を戻しニコリと微笑んだ。
「では」
「・・・・・」
今度はビンを引き留める事はしなかった。
ビンがヨンの横を通り過ぎ、そのまま昇降口への階段を下りて行く後ろ姿を見ていたヨンだったが、
無意識に奥歯を噛んでいた。
「ただいま。・・・ほら、やっぱり」
カルビやスンドゥブだけじゃない出前にビンはリビングに入った途端ため息を吐いた。
「・・・ワカメスープが無い」
「あるわよ。絶対言うと思ったから」
一人暮らし用の広くは無い台所から出て来たウンスは、ビンの部屋の物を勝手知ったるで当たり前の様に使い、皿に出前物を移していた。レンジからスープを取り出し、ビンが何時も座っている席に置き、他の食事も置いていく。
「先程、彼が話し掛けて来ましたよ」
「えっ?!どうして?」
鞄を置き服を着替えて来たビンが、手を洗い席に着きながら話し始めた。
「私達の事を聞いて来ました」
「戻ったの?」
「私が見た所それはまだ。・・・なのに、何故でしょうね」
そう言いながらビンは早速スプーンでスープを飲み始めている。ウンスも座り箸を動かしながらも、どうしてかしらと声を出した。
「まぁでも、・・・彼女を作るんだから、私の事なんか思い出してもいない筈だわ!」
グサッと肉に箸を刺して口に持っていくウンスを見ながら、ビンも咀嚼しふと考えていた。
彼は今何処に行っているのだろうか?
自分を助けに来て彼が戦っていたのを覚えている、あの時の彼は何時の彼だろうか?
同じ世界か平行世界か、何処からおかしいのかというと既にあの時代からおかしかった訳で、まずウンスが来た事が発端ではあったのだ。
『元の世界に帰らないと』と彼が願ったら、元とは一体何処の世界になるのだろうか?
一人だけあの時代にでも行ってしまっているのではないのか?
「・・・迷子になっていたりして?」
「え?ヨンが?」
「窮地に陥っても意地でも突破口を探す彼ですからね、大丈夫だと思いますが」
〘道が無ければ作る〙の彼が足踏み状態な訳が無い。おそらくは違う場所で自分の思い通りになる様な行動をしているのだと想像出来た。
「・・・あー、一杯だけでも飲みたいわぁ」
「そういう事を言わない」
そもそもこんな姿で買いに行ったら学校に連絡されてしまう、後数年は我慢しなければならないのだ。
実はビンもそれなりに我慢はしていた。
「この期間、耐えている間に私太りそうだわ!」
・・・食べる事がストレス発散だとしたら、そうなるかもしれないですね。
箸を動かしているウンスをチラリと見て、そう思ったが声には出さなかった。
それでもビンも育ち盛りの男子な訳で、多いと思った食事も二人で食べ綺麗に無くなったのだった――。
「・・・うー、お腹痛いわぁ」
次の日、食べ過ぎで制服のスカートのウエストが苦しくなりため息を吐きながら図書室に向かおうとしていると、廊下の途中にある下り階段の所からヨンが上がって来た。その身体の向きは確実に図書室に向かう為の方向で、どうして?とウンスは立ち止まってしまう。
するとまた同じく下階段から女子生徒が上がって来た。
「ヨン、待ってよ・・・」
伸ばした細い手はヨンの制服の袖を掴み、それに気付いたヨンが下を見て女子生徒を見つめた。
――あぁ、あの子が彼女。
長い黒髪の随分と細い少女だ。
――似合うわね・・・
イライラでやけ食い等しなさそうな空気を出し、歩き方もふわふわと軽やかに見える。
本当は彼にはあういう女性が合っていたのではないか?という程に絵になっていた。
・・・行くに行けないじゃない。
後ろに後退りしそのまま帰ろうかと思っていると、
「付いて来ないでくれないか?」
「どうして?私も・・・」
「君、本に一切興味が無いじゃないか。図書室に用は無いだろ?」
「え?」
「本が好きって言っていたのに・・・何も知らないし」
女子生徒の顔が強ばり、引き攣った笑顔になっていた。
よくある女性の浅知恵で彼の気を引いたのだと、聞いていてウンスは気が付いた。
しかし、学生らしいと言えばそんな浅い狙いで自分の好きな人にアタックする気持ちもわかるし、可愛らしいと言えば可愛らしい。
ヨンもあの疑い深いあの時代の彼では無いから素直に受け止めたのだろう。
しかし、何はともあれまずい場面を見てしまったとウンスは静かに後退りを始めたのだが――。
後ろから何かを感じたのかピタリと話を止め振り返ったヨンはウンスを見つけ、あ、と笑顔になった。
あぁ、久しぶりに見るし、それとはまた別に凄く懐かしいわ・・・。
「ウンス先輩!」
――・・・何でそういう時に呼ぶのよ?!
横の女子生徒の刺す様な鋭い眼差しも一緒に受け、
ウンスは声に出せない呻き声を心の中であげていた――。
(12)に続く
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気付きました?ビンとウンスの夫婦みたいな会話?笑
(後々のバトルに繋がるからここ覚えておいてね笑)♡
女子生徒の名前・・・どうしようかなぁー。何時も悩むねぇ・・・(_Д_)
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