ジグザグ◇(2)
何がきっかけだったのか?と聞かれるとおそらくあれからだと思う。
「・・・来週一緒に実家に行かないか?」
ヨンの実家に?両親に紹介したいという事なのだろうか?
ウンスは驚いた顔でヨンを見つめていたが、戸惑い悩み出してしまった。
「・・・それは」
ヨンの実家はお金持ちだと知っている。
だが、その親御さんの意見によってはこのクリニックだってどうなるのかわからない。ましてや、オーナーはヨンの親戚だったのだ。
ウンスの情報等直ぐに入るだろう。
・・・このクリニックはどうなるのだろう?
それがウンスが一番恐れている事だった。
漸く願いが叶った自分の夢の場所。
そしてその考えがチェ家に見合う女性なのかもわからない。
ウンスの戸惑いを感じ取り、ヨンは即答してくれないウンスに不安気な表情を向けていたがヨンは目を閉じ頷いた。
「・・・わかった。でも、俺はウンスだけだから」
「うん・・・」
ウンスの両親に会わせるのは大丈夫で、ヨンの両親に会うのは戸惑うだなんて本当におかしいわよね?そう言えなかったウンスを抱き締めたヨンは、暫くウンスを離さなかったが、ゆっくり離れるとウンスを家迄送り帰って行った。
・・・ヨンも何か思う事があったのよね?きっと・・・
それから直ぐにヨンが忙しくなり、三週間程会わずにいたら・・・今の状態になっていたのだった。
家同士で決めたお見合いならば、断るのは確実に無理だというのもわかっている。しかも相手は総合病院と何か関係があるらしい。
スタッフ達や看護師が教えてくれた情報を聞く度、自分はヨンの誘いを躊躇してしまっている為彼に問う資格があるのか?とも思う。
「・・・この間とはまた違うものね」
ウンスとヨンが見合いをしてみろと言われたものが可愛く見えてしまう。
ポケットのスマホが振動し、ウンスはビクリとなったが取ると久しぶりに見るヨンの名前だった。
「・・・はい」
『あぁ、ウンス。・・・今日会える?』
「・・・・・」
『ウンス?』
「・・・随分と久しぶりな気がするわ」
と言ってもたった三週間なのだが。
しかし、言葉とは逆にウンスの声が低い事に気付きヨンはどうしたの?と聞いて来た。
「・・・ヨン。私に言う事あるんじゃない?」
『・・・言う事?あぁ、ずっと連絡しなくてごめん。今救急患者や手術が・・・』
「もういい」
『え・・・』
冷たいウンスの言い方にヨンは口篭り、戸惑っている様だった。
「忙しいのなら私の所に来る事は無いわよ。そっちに集中した方が良いんじゃないかしら?」
『待ってウンス・・・』
ヨンの言葉を聞く前に電話を切った後、いきなりウンスは道にしゃがみ込んだ。
「あー・・・やっちゃった・・・!」
ほらやっぱり私の性格が出てしまった!
何故噂になっている話を最初に言ってくれないの?“誤解だから”でも、良かった。一言言って欲しかった。言わないヨンにまずそれでしょう?と腹が立ってしまったのだ。
違う。
今迄ヨンに対してそんな気持ちになった事は無い。『恋人』として心も身体も彼に捧げ、
彼も自分に対してそうだろうと思ってしまったからだ。
・・・たった数回身体を重ねただけでこういう考えになるなんて・・・
「・・・自分が嫌なタイプが自分だなんて・・・」
彼はウンスの望み通りに自分の薬指にも似た様な指輪を買い嵌めてくれている。
それだけで充分だと思っていた筈なのに。
執着心が激しくなりつつある自分に嫌悪してしまう。
ウンスはしゃがんだまま肩を落としていると、軽く肩を叩かれた。
「ウンス先輩?何しているんですか?気持ち悪いんですか?」
「ん?」
(3)に続く
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この小説オリキャラ多いね・・・。
ここのウンスは悩みながらも結構動くよ。
