人魚と騎士❽
最近蝋燭屋がどうにも怪しいと言われ始めた
突然店が繁盛した事
蝋燭屋の不満を言っていた漁師が貧しくなった事
あの屋敷は不気味な何かを飼っているらしいとの噂迄上がり流石に夫婦は焦り出した
人魚を囲っている事が見つかったらどんな目に合うか
夫婦は考えウンスを貿易商に売る事にした
ウンスは嫌だと泣きだしたが
そんな事は構っていられない
自分達の身が危ないのだ
ウンスは泣きながら赤い蝋燭を何本も何本も作っていた
人目に付かない様に夜寝静まった頃にウンスを貿易商に引き渡した
ウンスの流す涙の様に雨が降っていた
少しして店に男がやって来た
「赤い蝋燭が欲しい」
家主はまたこの男かと見て赤い蝋燭も他の蝋燭も無いと言った
「描いていないのか?」
「もう店を畳むのです」
「そうかではウンスを返して貰おうか?」
男の言葉に夫婦は青ざめた
男はドカドカと屋敷の中に入って行く
慌てて後ろから追い掛け家主が男を止めた
「勝手に入ってお前は何なのだ!?」
男は返事する事無く廊下を突き進むと
ウンスの部屋に辿り着いた
蝋燭と塗料だけがある寂しい部屋だった
格子戸を蹴破り襖を開け屋敷中調べるがウンスがいない
男は足元に転がる赤い蝋燭を拾い胸元に仕舞うと家主を睨んだ
「ウンスは何処だ?」
男は腰から剣を抜き切先を家主の首にあてる
「あの人魚は貿易商に売った!今頃は船の中だろう」
それを聞き男は来た廊下を戻り外へと歩き出した
「軍を呼ぶぞ!」
家主が叫ぶと店から出ようとした男が振り返る
「呼べ、処罰されるのは貴様だ」
出て行く男を家主夫婦も追い掛け様としたが
男が走る後ろには
いつの間にか同じ格好をした男達が大勢付いていて
貿易商が去った方へと走って行った
違う町では蝋燭屋の夫婦が軍に捕まり
流刑に処されたという話が出ていた
どうやら蝋燭屋は屋敷の奥に美しい女人を部屋に閉じ込め絵を描かせていたという
茶屋で休んでいた二人の旅人は話をしていた
「店に並べられていた絵が素晴らしかったからな
確かに怪しかった」
軍に怪しまれまずいと考えた夫婦は貿易商に女人を売り逃げようとしていたらしい
「可哀想に・・・女人はどうなったのだ?」
「貿易商が船に積んでいる所を軍隊に取り抑えられ女人も助け出されたという事だ」
「良かったなぁ」
「女人も恋い慕う仲で行方を探していた男の元に無事に帰れたとの話だ」
「相手の男も探していたのか・・・
なんて奴らだあの蝋燭屋は」
「しかしあの町はすっかり寂れてしまったな」
「駄目なのだ
あの町は直ぐ天候が悪くなり何も育たない
殆どの者はその土地を離れてしまった・・・
もう誰も住んでいない廃墟になっちまったよ」
あの町はかつて貿易商や旅人が寄っていた市井は無くなり
住む者もいなくなってしまった
もう小高い丘の上に蝋燭屋があった事さえ誰も覚えてはおらず
木々が生い茂る雑木林に変わっている
きっと守り神も居なくなったのだよ
人々はそう口にするのだった
終
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↓↓
【おまけ】
◆◆◆◆
⑨
王宮では戦で勝利を挙げ帰って来た軍隊を祝う宴が行われていた
だが、一番の功労者の大将がいない
王様は心配しあの男は何処にいると近くにいた副大将に尋ねた
大将は慕うお方と一緒におります
何故此処に来ない?
部屋から出て来ないのです
何?
お呼びしても大将が部屋から出て来ないし、
鍵は内側から頑丈に掛けてあり
あれは開けるなという事でしょう
副大将の顔は何故か赤くなっていた
もう良い
王様は呆れたため息を吐き
また広間の楽士達に顔を向けたのだった
それから間もなくしてまた大きな宴が開かれる事になり
それは軍隊の大将とまさに天女の様に美しく
見た事も無い赤い髪色の女人の婚儀だった
補足、終。
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はい、ここ迄読んで下さりありがとうございました!
人間ヨンと人魚ウンスの出逢い話も後で載せれたらなぁ・・・等と・・・
あっさりした感じの書き方楽で良い。
え?足?それも、出逢い編で・・・
