典医寺での診察も終わり、チャン侍医とウンスは部屋で休憩を取っていた。
王宮内でも急患や診察が多く疲れが溜まったのかウンスが大きなため息を吐くと、それを聞いたチャン侍医がくすりと笑う。
「チャン先生、医員をもう少し増やさないとチャン先生が大変になると思うわ!」
「医員を増やす?・・・しかしここは典医寺ですので医員として招くのも何かと難しいのです」
「王様や王妃様にも接触する可能性があるからね?」
「その通りです」
チャン侍医はお茶を持ちにこりと笑う。
外科としてのウンスの医術が必要な時もあり誰かに教えた方が良いのかな?とさえ考え始めていた。
はぁとまたため息を吐き目の前のチャン侍医を見つめるウンスを見てチャン侍医はお茶を置き手を広げる。
「どうぞ」
「・・・ん?」
パチクリと見つめるウンスに対して笑いを堪えながら自分の胸を指差した。
少し間がありボンッと顔を赤くするウンスに耐えられず肩を揺らす。
「チャン先生!」
――もうっ。
・・・もしかして私の行動て単に人肌恋しくてやっていると思われているんじゃないかしら?
熱くなる顔に手を当てながらウンスは上目遣いで悔しそうにチャン侍医を見つめている。
そんな眼差しを微笑ましいと感じながらも先日のチェヨンの様子をチャン侍医は思い出していた。
隊長は声に出した事は必ず守るでしょう。
この方を天界に連れて行くまで医仙を護り続け、傍に置き危険なものから遠ざける。
・・・だが、あの時の隊長の瞳は、使命とは違う色を滲ませていた。
――この方に何かを感じたのだろうか・・・。
ふとチャン侍医は懐に手を入れ何かを取り出した。
「医仙これを・・・」
「え?何?」
「ア、何とかと申していたでしょう?作ってみたのですが・・・」
淡い桜色の小さな絹袋を受け取り鼻を近づける。
「わ、匂い袋ね!・・・この甘い香りは」
「白檀です」
「あ〜、やっぱり!」
「香りでも心が落ちつくと申していましたので・・・」
「え?頂いても良いんですか?」
「是非」
「あぁー、どうしよう!
この世界に来てこんな可愛らしいプレゼントを貰ったのは初めてなのよ!」
「そうでしたか」
匂い袋一つでこの様に喜ぶとはこの時代に来てからこの方には生きる為に必要な物だけは渡されていたという事なのか。
チャン侍医はウンスに向き再び優しく微笑んだ。
「香りが薄まりましたら申して下さい新しいのをお作り致します」
「いいの?・・・あ、でも悪いわ」
そう言いながらもニコニコと匂い袋を眺めている。
「大丈夫です。幾つか多めに作っておりますので」
それを聞きウンスはまた笑顔になり、その笑顔にチャン侍医も笑みを返すのだった。
④に続く
✣✣✣✣✣✣✣
ここまで読んで下さった方ありがとうございます!
二人共医者ですし常に持っているのは無理でしょうがそんな共有も持って欲しくて・・・
(※2022・10少し修正しました)
(※2025・8修正しました(*^^*))
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