指先が触れるまで、あと1cm。
意思を持って伸びてきた指はピタリと止まる。
あと少しで触れそうな距離で。
「触れてもいい?」
嫌だと言っても触れるくせに、そんなことを聞く。
殊更優しい目と声で聞くなんて、ずるいと思う。
でも、そんなずるい人が好きなんだ、私は。
「…嫌だって言ったら」
「嫌じゃないよね」
「っ!」
顔を近づけ、耳元で囁かれる。
指先は、頬を滑り唇へ。
やんわりと押し付けられた指は冷たくて気持ちいい。
「キョーコ」
目と目があった。
指の代わりに触れたのは、敦賀さんの唇。
何度も何度も優しく触れる。
角度を変えて、ついばむような口付けを私は受け入れた。
腕を敦賀さんの首に回して、もっとと強請る。
与えられたのは、深い口付け。
こんなにも近いのに。
触れて、キスして、身体を重ねて。
確実に近づいているはずなのに。
その度に、何かが遠くへと。
確かに敦賀さんからみれば、子供かもしれない。
でも、私はそこまで馬鹿じゃない。
「敦賀さん」
口付けの合間に、名前を呼んで。
首に回していた腕を片方だけはずして、胸へと滑らせた。
心臓の上に手を置いて、目で問う。
手を伸ばせば、すぐにあなたに届く距離で
どうすればアナタの心に近づけますか?