美瑛を最初に訪れたのは、鈍行列車で北海道をのんびり巡ったりしていた

一人旅をした時でした。

 

その時の風景の美しさ、大きさに感動して、

結婚してからも家内を連れてまた訪れたりもしたくらいに気に入っている場所です。

 

子供のころから親の影響でドラマ北の国からをよく見ていたのですが、
ドラマの中に登場する富良野、美瑛の美しい風景にあこがれて、
ずっと前から一度は行ってみたいと思っていたのですが、
20代のうちはなかなか行く機会に恵まれず、
30代になってからようやく訪れることができました。

 

富良野からJR富良野線というローカル線に乗ること30分くらいでしょうか。

富良野から少しずつ山登りをしてきた列車は美瑛駅に到着します。

 

改札を抜けると、駅前はとても静かながらも、西洋風の田舎の佇まい。

 

【JR富良野線 美瑛駅】

 

美瑛という町名はもともとアイヌ語で『ビイェ(ピエ・ペッ)-油こい川、油ぎった川』に
由来している、という話で、美瑛川に火山由来の硫黄が溶け込んで濁っていた様を
表現していたそうなのですが、その後、『美しく、明朗で王者の如し』という意味を込めて
漢字で、『美瑛』と当て字をされたのだそうです。

 

その名前の由来と、実際の見た目のイメージのギャップがだいぶ大きいので、
私の中では少し驚いた部分もあるのですが、実際に来てみると、

現在の美瑛はやはり当て字で表現されているイメージの方が強いように感じますね。


美瑛町の広さは東京23区に匹敵するとのことですが、

人口は約1万人(※2015年時点)とのこと。

 

知名度を考えれば北海道を代表する自然豊かな観光地のようにも思われがちですが、
実際に行ってみて、まず、観光地というよりは案外のどかな農村地帯なのだなあと。

 

よく考えれば(よく考えなくても、かな)、この町で有名な特徴的な景色は"パッチワーク"とも称される
広大な畑の風景であり、それらはすべて人の手で長い年月を掛けて作り上げてきたもの。

 

そんな中を団体観光客を乗せた大型バスやレンタカーが連なって

何台も我が物顔で走っているのを見ると、なんだかこののどかな街で

違和感を覚えるくらいで、この広大な農地で生活を営んでいるる方々のことを思うと、

むしろ、自分などがぽっと来て自転車を転がしているだけでもなんだか

地元の方には申し訳なくなるくらいでした。

 

もちろんこの町にとっては観光も産業の1つではあるのでしょうけど、
この町の根幹は、100年以上前から続いてきた開拓、農業の歴史であるはずで、
たとえ観光客であっても、そういったその場所その場所の地域性やそこに住む人たちが、

作り上げ、積み上げてきたものは尊重しなければならないと思っています。

 

この町に限らず、旅行や出張などでどの町に行くにせよ、
それは大切にしなければならない意識だとも思いますね。

 


この町を散策するのであれば、バスでもクルマでもなくやはり自転車だろうということで、
駅前のレンタサイクル屋さんでおすすめのコース(今回は『パッチワークの丘』方面)の
説明を聞いて、サイクリングを開始してみます。

【美瑛 市街】

  

【パッチワークの丘への登り坂】

 

市街地を出て、少し進むと小高い丘に上がる上り坂に差し掛かります。
普段の運動不足がたたって、この最初の坂を上るだけでもかなりの運動。

ゼエ、ゼエ、と息を切らしながらも、この先に待っている風景を思えば、
これくらいの苦労はなんてことないですね。

 

【ケンとメリーの木】

 

そして、これを上るとようやく美瑛ならではの風景が始まります。

坂を上ってほどなくして、有名な『ケンとメリーの木』が見えてきます。

だだっ広い畑の中に立っている立派なポプラの木が2本並んで立っているのですが、
この木をバックに写真を撮るだけで、美瑛に来た証拠になりそうなくらいに有名な場所ですね。

 

【セブンスターの木】

 

【親子の木】

 

【マイルドセブンの丘】

続いて、『セブンスターの木』、『親子の木』、『マイルドセブンの丘』などを自転車で

巡ったりしたのですが、とにかく自分の中で圧巻だったのは大きな空と、

やはりひたすら広がる畑・畑・畑・・・。

 

【美瑛の風景 ~パッチワークの丘~ 】

 

 

 

 

 

土地の起伏も激しくて、何度も急坂を上ったり下りたりを繰り返すので、

自転車だと結構体力使います。

 

でも、その分、文字通り身をもってこの土地のダイナミックさというか、
この町の農業の開拓の歴史のスケールの大きさを感じることができるので、

これが実感できる意味でも、やっぱり自転車でよかったなあと思ったりもします。

・・・というか自転車をいくら漕いでも、見えている景色がそう変わらないのです(笑)。

 

気が付いたら、自分の中ではこういった有名どころはサイクリングコースの目印という

意味合いになっており、本当にここにきて面白かったのは、それぞれのチェックポイントの間、
どんなに自転車を走らせても変わらない空の広さや、起伏が大きく折り重なるように連なる
様々な畑の景色の中にどっぷりと入ってしまっていたことだったように思います。

 

この景色の中に身を置いているだけ、それそのものがとてもありがたい時間で。
私にとってはそういった時間を過ごせるということが、
この『美瑛』という場所の最大の魅力なのではなのかもしれないです。

 

私にとっては、本当に何をするでもなく、頭の中空っぽにして
顔を上げれば、ゆっくり流れていく雲を見上げつつ、

空の下に広がる畑のやさしい色に心安らかになれる場所。

 

そんな場所なので、またここに来るときは、

是非とも時間に余裕を持たせて行きたいなと思ってます。

 

 

■行った時期:2013年8月、2015年5月

■記事の最終更新日:2017年8月17日