2020年の労働環境。実に興味深い。 | 自分らしい答えの追求

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※CIOの記事抜粋


ガートナーが予測する2020年の労働環境
非ルーチン化、寄せ集め、ハイパーコネクテッドネス──各人はそれぞれの能力に応じ、離合集散して仕事をする社会に
2010/09/06
10年後、私たちはどんな働き方をしているのだろうか? 調査会社の米国ガートナーは、労働環境を巡って今後10年間で起きるビッグ・トレンドを予測した。それによれば、ITによる自動化が難しい人間ならではの能力が重要視されつつ、さまざまな状況に応じて“揮発的”なチームを組むケースが増え、社員は時間や場所を問わず24時間体制で仕事に臨むようになるという。
トーマス・ウェイルガム ● text by Thomas Wailgum
変化するビジネス・ニーズに対応しつつ、新たな知覚能力を磨く

 「10年後、人々はどんな働き方をしているのだろうか」――ガートナーは先ごろ、この問いに答えるべく、今後10年間で起きるであろう労働環境の変化を予測した。「仕事は非ルーチン化して揮発的となり、相互に複雑に絡み合い、まさに“寄せ集め”といった特色が強まるだろう」――同社のフェロー、トム・オースチン氏は、プレス・リリースの中で、このような未来図を明らかにしている。

 ガートナーの報告によれば、2010年現在、企業で行われる業務のうち“非ルーチン”のものは25%程度だが、あと5年もすれば、それが40%程度にまで増えるという。「寄り集まって働く機会が増え、単独で働く人の割合は減るだろう。ほとんど顔も知らない相手とともに仕事をし、チームには企業と雇用関係のない人々が含まれるようになる」とオースチン氏は予測する。

 「さらに、毎秒ヨタバイト(テラバイトの1兆倍)規模の膨大なデータを扱うシミュレーション技術やビジュアライゼーション技術、ユニフィケーション技術が登場し、これまでとは異なる知覚能力が重視されるようになる」(オースチン氏)

 ガートナーはリポートの中で仕事の性質に関する10の変化を挙げているが、ここでは特に興味深い5つのトレンドを紹介しよう。

(1)仕事の非ルーチン化
 人間が何かに対して加えるコア・バリューは、自動化が可能なプロセスにあるのではなく、発見やイノベーション、チーム力、リーダーシップ、セールス、学習といった言葉で表される、人間ならではの分析力や対人能力が求められる非ルーチンのプロセスにある。

 この“非ルーチン”のスキルとは、要するに自動化できないスキルのことだ。例えば、生命保険に猜疑心を抱いている相手に保険を売るプロセスを自動化することはできないだろう。ただし、もちろん、そのセールス・プロセスを支援するために自動化ツールを使うことは可能である。

(2)労働力の“寄せ集め”
 ここで言う“寄せ集め”とは、「手が空いていて付加価値を提供できると思われる人々の一時的な集団活動」を特徴とする労働形態のことを指す。

 “寄せ集め”は急遽行われ、特定の問題を解決したり、ビジネス・チャンスをものにしたりした後、すぐに解散する。構造化した官僚的な労働形態からアドホックな活動に比重が移りつつある中、寄せ集めはアドホックな活動の需要増に敏速に対応するための手段なのである。

(3)パターンの検出
 これまでの調査では、「パターン・ベースの戦略」を軸に据える企業が多かった。グローバルな経済情勢が不安定になり、想定外のことがあまりに多く起きたため、企業が将来に備えた戦略に取り組むようになったのだ。

 今後は、新たに登場する多彩なパターンを検出/評価し、パターンの崩壊がどういう結果をもたらすのかについてさまざまなシナリオを作り、さらにそうした変化を生かす(あるいは、変化から組織を守る)ための新たな方策を上級幹部に提案する専任組織を設置する企業が増えるだろう。

(4)ハイパーコネクテッドネス(Hyperconnectedness)
 この言葉は、「どれ1つとして完全にコントロールすることのできない複雑に絡み合ったネットワーク内に存在する、ほとんどの組織が持つ特性」と定義される。

 例えば、各社のサプライチェーンで核となる事項については、それぞれのパートナーとの契約に明記されているはずだが、パートナーやシステムが必ずしも正しく機能するという保証はない。

 ハイパーコネクテッドネスは、企業の境界を超え、公式/非公式な仕事を増やすことになる。そしてこのことは、人々の働き方と、IT部門がその仕事をサポートするやり方にも影響を与えるようになる。

(5)各人の仕事場
 仕事場は、今後一層バーチャルになる。企業間では、時差にかかわらず会議が開かれ、ほとんど顔も知らない参加者たちが寄り集まって緊急の問題に取り組むようになると予想される。もちろん、社員が自分が働く“場”を必要とすることは今と変わらない。

 今後多くの社員は、社内にオフィスもデスクも持たず、週に7日、1日24時間体制で仕事に臨むようになるだろう。このような就業環境では、私生活と仕事、社会、家族、組織の問題の境界線はなくなる。

 それぞれの社員は、新たな就業環境からであれ、それ以外(仕事以外)の物事からであれ、重複した要求から生じる複雑さ(一見するとカオスとも言える状況)に対処しなければならなくなる。「自分に求められていることと、それを阻害する過剰な負荷」をうまく処理できない者は、パフォーマンスの劣化に悩まされるだろう。人間は、過剰な負荷を受けると、過度な興奮状態、情報過多の状態で仕事をすることになるからだ。