先日、Morgenrotさんのアメブロ記事にこんな記事がありました。
空港から飛行機を電波で誘導するILSという装置には正規の電波のほかに、決して捕捉してはいけない「ゴースト電波」というものがあるということを説明してくださっています。通常は滑走路からみて3度の角度になるような電波に乗せて飛行機を下ろしますが、これが「ゴースト電波」を捕捉すると、6度や9度の電波になってしまうというわけですね。
ILSの詳しい説明はMorgenrotさんにお預けするとして、今回は仮に「ゴースト電波」を捕捉してしまった場合、コックピットの景色はどうなるのかということをMSFS2020をもちいて検証してみたいと思います。
↑ILSの仕組みなどについて説明してくださっています。
やり方は、単純明快。広島空港から松山空港まで空想のフライトプランを作成し、ILSを捕捉する地点での高度を変えていきます。計算方法は簡単な三角比計算です。
↑AIS Japanより。RJOM ILS Z RWY14 approach マーカーで示した部分の高度を三角比表を用いて算出します。
↑AIS Japanより。Gride slopeの部分を拡大しました。そもそも極端に書いてある図なので実際の角度とはだいぶ乖離がありますが、赤線がゴースト電波の位置関係の大体のイメージですね。
早速、MIKAS pointでのそれぞれの高度でのコックピットのスクリーンショットを見てみましょう。
↑MSFS2020より。3度パス
↑MSFS2020より。9度パス
↑MSFS2020より。15度パス
ぱっと見はほとんど同じように見えてしまいますが、よく見ると四国山地の見え方や滑走路のサイズ感(滑走路が短く見える)なんかがすこし変わっています。
実際に高度を計算してみると以下のようになります。
3度 2600ft(1ftは大体3.2m)
9度 3200ft
15度 4000ft
3度かわると900m以上もの高度差になってしまうのです。間違えて9度の電波をつかんだ場合はMIKAS pointで1800mも高いところを飛んでいることになってしまいます。
MIKAS pointを通過した後は実際には3度のpathを保ちながら減速しつつ降下していきますが、高い角度のゴースト電波を掴んでしまうと減速するどころか転がるように加速しながら降下していってしまいます。
シミュレートしてみた感想ですが、滑走路までそれなりに距離があるためか、誤ったパスに乗った時の景色の見え方の違いはおもったより微妙でした(本職のパイロットさんから見れば歴然たる違いなのかもしれませんが、この違いを見抜くのには慣れが必要だと思います)。MSFS2020ではゴースト電波までは再現されておらず無理くり3度のパスに合わせていくような挙動でしたが、間違ったパスをつかんだ時に高い降下率で降下していきどんどん加速していく感覚と正規のパスで降りていく場合の違いは体感できるのではないかと思います。実際には視界不良などが重なることもあると思いますので、低い高度から正規の電波に皆合することや降下率の監視など正しい操作が重要であることを改めて認識しました。
【Microsoft Flight Simulator 2020】
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