ACT215妄想 | 妄想最終処分場

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超久々?単発続き妄想、

9/5発売の本誌、ACT215の続き妄想です。

本誌未読・単行本派のかたはバックプリーズ!!





えっと・・・今回はかなり残念仕様な仕上がりとなっております。私の脳内のバカさ加減が露呈してますが気にしない~。

内容的には甘さ皆無のお馬鹿仕様です。






*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


ACT215妄想




久々に空いてしまったスケジュールが憎らしい。


台本を受け取りに事務所に寄ったはいいけれど、ちょうどその日は何も仕事が入っていなかった。

俳優部のオフィスだけならそのまま帰っても何の問題もなかったはずなんだけど、椹主任とばったり会ってしまい、予定は?と聞かれて馬鹿正直に今日はありませんと答えてしまったのが失敗だった。


『あ、今ラブミー部に最上君がいるよ』


それは暗にラブミー部に今雑用があるという事。

予定がないといった手前、同じ呪いを受けたあの子がラブミー部の仕事をしていると知っていて無視して帰る訳にもいかなかった。


(そういえば、あの子に会うのも久しぶりね・・・)


暑苦しいタックルに警戒しつつ部室のドアをそっと開いた。

室内の電気はついていてキョーコが在室なのはわかったけれど、事務仕事をしている様な雑音は聞こえない。

不思議に思って室内に視線を走らせれば、机の上に無造作に置かれたキョーコのバッグが目に入る。


「・・・?」


(たまたま今いないだけ?)


席を外しているタイミングだったのだろうか?
帰ってしまおうかどうしようかと迷っていたらブツブツと人が何か呟く声が耳を掠め、よくよく覗きこめば入口から影になった椅子に座り、丸くなったキョーコの背中が見えた。

余程集中しているのか、私の気配にまったく気づく様子が無い。まあ、何かしら呟いてはいるのは本人が全く意図しない心の声駄々漏れんだろうけれど、自称親友のそんな様子は何度も遭遇しているのでそこは気にしない。


居るからには声をかけずに帰るわけにはいかない。あとでそれが露見すると煩いったらりゃしないんだから。


(それにしても集中してるわね)


荷物をキョーコのカバンの隣にどさりと置いても、こちらを振り返る気配もない。

集中して何かしら仕事をしているなら邪魔をしない方が良いかと考えつつ、そういえば今日は何の仕事をしているのか椹さんに聞きそびれたことに気がついた。

部室内を見回してみても、特に整理すべき書類の山などは見当たらない。既に仕事は片付いたという事なのだろうか?


(・・・あら?)


机に置かれたキョーコのカバンの口は無防備にも開いていて、その中にちょっと前から気になっていた美容グッズのパッケージが覗いている事に気が付いた。


(気にはなっていたけど、使用感は人それぞれで効果もマチマチって聞いたから手を出せずにいたのよね)


ましてや使用中のあの状態を考えると、使うタイミングも難しい。

でもこれから暑くなって露出の多い時期がやって来るし、これで綺麗にケアできるなら使用に値するだろう。


(この子が使ってみたのならどんな感じか聞いてみよう)


というか、確実に使ったのだろう。

パッケージは開封済みだ。

ネットや口コミで存在は知っていたけど手に取るのは初めてだったので思わず興味からそのパッケージをつまみあげていた。パッケージに記された使用方法や注意点を読むために箱を裏返したら、カサリと音がした。


「??」


おかしい。

この商品、1回分のセットしか入ってないはず。


音の正体は箱から転がり出てきたこの商品なのだが、1回分セットで使用するはずの商品の片割れだけが箱から滑り落ちてテーブルの上に転がっている。

これは両方同時にするのが普通であって、片方だけ残っているなんて解せない。


「・・・あっ、キョーコ、ここが正念場よ!ここを乗り切らなければ・・・っ」


どうしてこうなってるのかよく分からないのだが、いまだに私に気が付かないキョーコはやっぱり自分の世界に入っているらしく、自分を叱咤しながらますますその背を丸めていた。


「し・・・慎重・・・に・・・っ、と」

「・・・ねぇ」

「あっ、もうちょっと・・・!」


声をかけてみてもどうやら耳に入らないらしい。

仕方ない、もう少し大きい声で、と思っていたら・・・


「・・・っ!!・・・やった!やったわ!!」


どうやら何かしら佳境だった作業が終わった瞬間だったらしい。

緊張感から一転、達成感に満ち溢れたキョーコの声に、区切りがついたんなら好都合だったともう一度呼びかけてみた。


「ねぇ、そんなになんか面倒な仕事だったの?」

「ひゃああっ!!??・・・って、えっ?モー子さん!?」


やっぱり気づいてなかった。

奇声を上げて飛び上がったキョーコだったが、振り返って私の顔を見た途端ぱっと顔を輝かせた。


「モー子さん~~~!久しぶり~~!!」

「はいはい」


予想通り抱きつこうと伸びてきた手を躱して、自分の関心を満たすため手にしたパッケージをキョーコの目の前に突き出した。


「これ使ってみたの?気になってはいたから使用感を聞きたいんだけど」

「え、それ?」


キョーコの様子から使ったというのは事実のようだ。


「使ったんでしょ?開封済みだし。効果が出るまである程度時間がかかるみたいだけどどうだった?」

「使って3日くらいは何にも変わらなかったけど、その後からうたい文句通りの状態になったよ」

「じゃあ、やっぱりこんな風になったの?」


パッケージには使用中や使用前後の写真が印刷されている。

ちょっとグロテスク・・・というか、この状態の時は人に見せれたもんじゃないわね。


「うん。4日目あたりから辛かったわ」

「え?コレ、痛いの?」

「痛みはないんだけど、こう・・・手を出したい衝動をぐっと我慢して、弄らず触らず全体に効果が出るまでの我慢が・・・っ」

「は?我慢?」

「そうなのよ!綺麗に残すためにはここの我慢が肝心で」

「???」


なんか私が聞きたい事とキョーコが言わんとしていることが食い違ってる?

過程はどうであれ、使用後が満足いく状態なら何でもいいんだけど。


「でもねっ!そこを乗り越えると綺麗にとれた時の爽快感が・・・!」

「確かにこれでつるりとなったら気分がいいでしょうね」


この商品でうたい文句通りにケアできるようになったとしたら、手間も少なく今までより安上がりだろうし。


「どんな風になるの?見せて」

「もちろんっ!!モー子さん、見て見て!!」


何故か前のめりになってテンションの上がったキョーコ。


こんなに興奮するほど効果があるのなら私も試してみようかしら?


そんな考えは、目の前に突き出されたソレで吹き飛んでしまった。




*******


【数日前のキョコさん】


(あっ、いけないいけない)


キョーコはカートを引く手を慌てて左手に持ち替えた。空いた右手に視線を落とし、手のひらに描かれた描線が乱れてないことを確認しほぅ・・・と安堵のダメ息を漏らす。


「水性なんて、不要な気遣いよね」


蓮に描かれた手のひらの特大ラブミースタンプを見下ろしてキョーコはぽつりと呟いた。


(折角の敦賀さんの手書き・・・しかも満点どころでなく∞点だなんて。消して良い所か永久保存しておきたいのに!)


愛おしそうに自らの掌を指先でなぞり、キョーコは考える。

このスタンプをこのまま仕事の支障になるからと洗い流して消してしまうことなどできやしない。

油性ペンならそう簡単に落ちなかったのに…とも思うがさすがに仕事でこの手のひらを晒すわけにはいかない。


(手袋とか・・・あっ、袖が長くて手のひらまで隠れる服とか・・・うーん)


どうすべきか迷いながら日本に到着したキョーコは帰宅途中の駅ナカにあるドラックストアの前で足を止めた。






↓↓↓↓





※キョコさんが目にした商品







*********


それは右手だった。

正確には右手のひら。


でもうっすら透けていて、その先には得意満面なキョーコが見える。



(・・・って、なんで剥がした手の皮なんて見せられなきゃいけないのよ!!)



「すごいでしょ!?切れないように細心の注意を払って採取したの!」

「・・・・・・・・・・・・・」


心の中では大絶叫なのだが、目の前に突き付けられた異常なものに言葉が出ない。

手のひらから5本の指先まで指紋もはっきり見て取れるほどの手の皮だった。よく力士がしている手形をそのまま立体にしたような感じだ。


そんな私の反応など気にすることなく、キョーコはどうやら今しがたはがし終わったらしい自分の掌の皮を誇らしげに自慢してくる。

よくよく見れば薄くはなっているけどその手の皮の表面には見覚えのある図柄の拡大版が見て取れる。


(何でこんなことしたのかなんて、聞くだけ野暮ね)


男性にしてはあまりにもきれいな字で印象に残っていた筆跡と、図柄の中の文字が一致する。

こんな異常行動を引き起こした原因は推測できるけど追及するのも面倒くさい気がした。


(これ・・・・ゲテモノだけど将来オークションとか出したら値がつくのかしら?)


はしゃぐキョーコを前に鈍くなった頭でそんなことを考えていると、ふとついさっき脱皮したばかりのキョーコの右手が目に入る。

何もしてない左手と比較するとつるりとした生まれたての肌のように見える。


やっぱりこの商品は後で試してみよう。


帰り道にあるドラッグストアの場所を思い出すことで私は現実逃避を図った。



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おバカでごめんなさいっ!