ACT209妄想 | 妄想最終処分場

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2/20発売の本誌ACT209の続き妄想です

ネタバレものなので、未読の方、コミックス派の方はバックプリーズ!!











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今回も!前回に引き続き本誌の展開上多分入口のルート分岐は2択…←チューするんかしないんか。

被りについては当ブログ初めての方への初期案内をご覧くださいませー…


ついでに妖精王子コーンですが、作中では『蓮』の呼称で統一しております。違和感あるかもしれませんがお許しくださいませ。



ACT209妄想




―――…分かっていた

これは芝居だと




「必ずや 貴方のお役にたてましょう……っ」



分かっていても、真剣に己を射抜く眼差しに蓮は動けなかった。

演技と分かっていても、その頬を濡らす涙は甘く清らかに見えた。


それは自らを呪われていると言わしめる蓮の過去を嘆ずるキョーコの心を表したもの。


真っ直ぐ向けられる瞳に陰りはなく純粋で、キョーコが妖精の王子コーンに『深い愛』は向けることが出来なくとも、彼を助けたいと真摯に願う思いで導き出した回答で。


自らに嫉妬し他人を装って彼女の愛を乞いその証を求めた蓮にとって、己の醜さを浮き彫りにさせるものだった。


真っ直ぐ見つめ返す事に抵抗を覚えるほどの澄んだ瞳が、瞼の下に隠れる。

僅かに反らされた顎と上向く柔らかそうな唇。

演技しきれないのか僅かに震える睫毛が、愛おしくて切なかった。


(まるで…)


神に捧げられた贄のようだ。

目を閉じたキョーコの表情は神聖で冒しがたい神々しさを持っていた。


あんなに食い下がり、逃げ道を潰し、要求したキョーコの唇。

単に触れたかった訳ではない。

神格化され、敬愛の対象として見られているのは、好意を向けられていると類似でそんなに悪い事ではない。

でもなぜだか無性にやるせなかった。

『コーン』に対して拒否する事柄は、全て『敦賀蓮』に結びついていた。その感情が異性としての愛でなくても。


膨らんだ黒い感情のままにキョーコを追い詰め、追い詰めた結果彼女は敦賀蓮の言葉から導き出した方法でもって、最大限の努力で妖精の王子を助けようとあらん限り手を伸ばしてくる。


最大限の友愛の心から、敬愛の対象への最大限の譲歩でもって道を見出した愛しい少女。


そんなキョーコを、今更芝居ならいらないなど言えない。そして卑怯な我儘を懸命に叶えようとしてくれたキョーコの芝居に便乗してしまうこともできない。


でも…


蓮は吸い寄せられるような引力に逆らえなかった。

触れてしまったら、己の醜さに後悔すると分かっていたのに。


そっと、神聖なものに触れる様に…唇を重ねた。



(やっぱり…)



触れた唇は柔らかく甘く――…



―――…そして、自らの内に広がったのは苦味



キョーコのまっすぐな気持ちが、醜い自分を浮き彫りにする。


儀式の様な、触れ合う口付けの後、蓮の目の前で琥珀色の瞳が再び姿を現した。

その瞳には、呪いが振り祓われただろう現実を期待する色が宿っていた。


神々しく微笑む最高神官の前で、本来であれば翳りのない笑顔でもって応えるべきなのは理解していた。

でも……


「コーン王子……」


呼びかける声が僅かに強張り、真摯な瞳が不安に揺れている。

蓮のその表情から、呪いが振り祓えなかったことをキョーコは悟っていた。



―――…笑えはしないことは最初から分かっていた



「やはり…わたくしのせい…わたくしの貴方に捧げる祈りが、呪いより脆弱だから…」


「違うっ…」


「深い愛が足りないからっ…」


「違うっ!」


「私が…っ、…っ…んぅ!」



それ以上言わせたくなくて

それ以上彼女の言葉を聞きたくなくて


唇ごと、言葉を封じ込める


空気を奪って

全てを奪って


驚いて縮こまる舌先を絡め取って、そこから溶け合ってしまうかのように濃厚に絡みついた。


自分の全てを彼女に溶け込ませたくて。



欲しいのは敬愛でも、友愛でもない。


一人の人間に向けられる、彼女の唯一の愛が欲しかった。


「…っ…こー…んっ…」



演ずることを奪うほどの深い口づけに、蓮の思うとおりに素に戻ったキョーコの瞳が戸惑いに揺れていた。



―――…もう、限界だった




「俺を見て…」


蓮は腕の中の少女に縋りついた。


「俺を見て、キョーコちゃん…コーンじゃなく」


(久遠(おれ)を見つけて…!)


「俺を見て、最上さん…先輩じゃなく」


(俺に気づいて…!)


「最上さん、最上さん、キョーコちゃん、キョーコちゃん…キョーコ!キョーコ!キョーコ…ッ…!!」





きつく抱きしめられながら畳み掛けられる訴えに、キョーコの瞳は衝撃で凍りついたままだった。

その腕の中は、いつかどこかで体験したことがあったはず。


(これは……誰?)


「愛してる君だけを…君しかいらない…っ!俺を愛して…っ!尊敬も友情もいらないっ!俺はっ……」


キョーコの瞳を捉えた碧眼は、苦しい気に歪んで揺らめいていた。

色を変化させる瞳の奥に、兄妹として過ごした日々で消えそうな表情をしていた仮初の兄が重なる。


抱きしめられていたはずなのに、震える巨躯を抱きしめて超えたあの夜。

凶悪な男の顔で肉迫してきたあのヒト。


「……君の愛が欲しいっ…!」



それは、キョーコの想う彼が内包するもう一人のあの人。


思えば、誰もが陽だまりの様な人と形容する先輩の中にいろんな面があるのをずっと見てきた。

拗ねた子供の様な態度を垣間見せることも、全てを煙に巻く卑怯な一面も、沈んだ闇を抱えることも。


(全部、敦賀さんの中にいたんだ…)



自分に縋りつき、地に膝をついた男をキョーコは静かに見下ろした。


「…もう一度」


腰もとに顔を埋めた金髪をキョーコは優しく撫で梳いた。


「もう一度、わたくしに呪いを解くチャンスを下さいまし」


降ってきたキョーコの声に、解けない演技に蓮は幼子のように縋りついたまま首を振った。


「今度こそ、貴方の呪いを解いて差し上げます」


どこにそんな力があるのか、キョーコの手は縋りつく蓮の頭部を引きはがし逃すまいと両手でその頬を包み込んでいた。


「この胸にある、『深い愛』をもって……」



もう一度唇に降りてきた温もりは、涙の味がした。



「愛してます、貴方を……」

「………」

「妖精の王子で、尊敬する先輩で、私の心を揺さぶるヒト」


気づけばキョーコの頬にも大粒の涙が伝っていた。



「私は貴方の笑顔に会いたい」




南国の空と海が見守る中零れた笑顔は、温かな涙に濡れていた。



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だいぶ支離滅裂妄想…。そしていつもより短め。

そんでもってやっぱり私はキス魔wするかしないかの二択になると「する」方向の妄想しか出てません。

…でもそろそろいっつもチューして終了な自分の妄想の展開にマンネリを感じ始めています(←遅いっつーの)もう需要ないよね…。いっつもおんなじ結末だし。


今回はあれだ…ウソを重ねてチューを要求して、でも演技として返されちゃって…自分のついた嘘に苦しめばいいんだ!腹黒妖精王子ちょっとは反省すればいいよ(オイ)とか思っていたら、一気にうちのヘタ蓮さんが出て来ちゃいました。

んでゲロったら棚ボタでキョコさんから愛の告白…。ダメダメだな、この蓮さん…orz