バスタブに湯を張る。
たっぷり、贅沢に。
お行儀が悪いけど、バスタブの蓋を半分閉めてその上にタオルと読み物。
読み物は台本のコピーだったり、雑誌だったり…それこそ何でもいい。
ゆっくりと湯につかる時間、ボーっとするのも好きだけどやっぱり時間がもったいないという気持ちが先にたつ。
身体を清めてバスタブに身を沈める。ここからがお楽しみ。
浴室のアメニティにいつの間にか増えたバスグッズ。
沢山のバスボムの中からその日の気分で1つ選ぶ。
同棲を初めてはや数ヶ月。バスルームは私の城と化しつつあった。
「今日は…やっぱりこれね」
手に取ったのは淡いピンクのバスボム。
子どもみたいと分かっていても、自分が湯につかってからバスボムのパッケージを開けてそれを湯に落とすのがやめられない。
しゅわしゅわと音を立てて湯に溶けていくピンクの玉。
溶けると同時に広がる花の香。
ボムの中に仕込まれた花びらが湯の上に広がって、透明な湯が薄いピンクに染まる。
「…あ~あ、…なくなっちゃった」
テニスボールくらいありそうなバスボムなのに溶けるのはあっという間。
行儀が悪いけど湯の中ではじけて小さくなる入浴剤を眺めるのが私は好きだ。
このバスボムを使うのは決まって一人の夜。
理由は色々ある。
バズボムに入った花弁は贅沢な気分にさせてくれるけど、後始末がちょっとめんどくさい。
あまりにもメルヘンなバスルームは男の人とはちょっと一緒には楽しめないかも。
1人で寝る夜は、少しだけ心細い。
濃厚な香りは上がってからも体を包み込んでくれて…彼にもらったクィーンローザ様と酷似するその名前。
1人で寝る夜は胸にはクィーンローザ様を付けて、この香に抱かれて、彼の気配がするベッドで眠るのが私の日課だ。甘い香りに一人で酔って、貴方の帰りを待つ時の私の儀式。
「はやく帰ってきて?」
声に出せない願いも、この香に包まれれば容易に口にできる。
この薔薇の魔法は貴方の前では使えない。
薔薇は私の誕生花。
花言葉は愛情。
まだ少し抵抗のあるそれを、私は一人の時に確かめる。
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泊りの仕事から帰ってくると、いつも仄かに香る。
この香を君の香りだと認識するようになったのはいつからだ?
甘い香り。
バスルームにいつの間にか増えたバスグッズ。
でも一緒にいる時は控えめな石鹸の香りしか纏わない。
君なりに、なにか理由があるんだろう。
いつか、その理由を教えてくれるんだろうか?
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意味不明その2。
ここの所、どうにも不調。
しっかりストーリー組み立てた長編とか書いてみたいけどネタも浮かばず。
やっぱり私は続き妄想の連載でぐったり気味から回復できてないみたいだわ…