恵比寿映像祭に行ってきました。
今年初めて知ったのですが、年に一度、15日間にわたり東京都写真美術館全館を使って、展示、上映、ライヴ・イヴェント、講演、トーク・セッションなどを複合的に行うイベントだそうです。
最終日の今日、そのクロージングイベントに友人の監督したドキュメンタリー作品「ナイトクルージング」が招待されていたので、ぜひ観たいと思って行ってきたのです。
同作は、先天性全盲の主人公がSF映画を監督する過程を描いたドキュメンタリーで、このクロージングイベントでは特別に監督(友人)、主人公、プロデューサーのお三方がその場で音声ガイダンスしながらの上映でした。
ナイトクルージング自体は、映画を撮る人を撮るという二重構造で作られていて、件のSF映画もまだ公開前ではありますが、恵比寿映像祭の今年のイベントテーマである"インヴィジブル"にマッチしていたので、白羽の矢が立ったそうです。
SF映画 in ドキュメンタリー映画。
先天的に全盲の方がなぜSF映画を撮るのか。
数々の疑問符からスタートして、とても得体の知れないものだと思っていたら、上映してすぐに自分の中で何かが綺麗にストンと落ちて、最後まで「ワクワクしかなかった!」くらいにとても入り込める作品でした。
生の音声ガイダンスを通して、映画を鑑賞したのは初めてでしたが、普段映画を見ながら「あぁ。終わったら何を食べようかなー。。」などと、すぐに脱線してしまう私のような注意力散漫(不届者ともいうか)な輩には、それを抑止できて、有効な手段なのだと思いました。笑
健常者は電磁波が物にぶつかり、その跳ね返ってくる波長によって色を認識しますが、全盲の方々に関してはその手段が断たれています。
つまりレンズを通さずに視覚情報を取得しなければならず、彼らにとって聴覚とは、とてつもなく重要な情報源になるわけで、ということは、なかなか注意力って散漫になっている場合ではないのではないかと思うと、私がいかに普段ぼーっと生きていて、様々な情報を垂れ流しにして生きていることかと。驚愕しきりでした。
主人公の加藤秀幸さんの存在感も素晴らしく、ただライトに全盲が映画撮ったら面白いかなという興味からだけではない、(それも少しはあるのでしょうが)ある種の覚悟と責任感が、作品に説得力を持たせていると思いました。
劇中に、ビッグデータから情報を取り込み、それをアウトプットしていくAIの仕組みが、視覚障害者が、音の跳ね返ってくる時間によって距離を測り、経験やデータを総合的に掛け合わせて、自分を中心とした半径数メートル先の空間を把握し、段階的に、エリア的に、拡張していき、視覚形成していく過程とよく似ているという描写がありました。
とても印象深く、考えさせられました。
初めて、視覚障害者の方々の視界に触れられたと思ったのと、なんだ、それって私とおんなじじゃん。と思ったのです。
というか、全盲の方にもちゃんと視覚があるということがわかったという点で。
健常者でも、同じ林檎を見て、はたして同じ赤色として認識しているのかはわからないという点で。
そこに主観だったり、個人差が生じるという点で、私たちは平等なんだと。
ストンと腑に落ちてからのアドレナリンは半端がなかった。
眠る以外にも、目を閉じることって、きっと大切なんだろうな。
今度、ちゃんと目を閉じて、視覚以外の感覚に集中する時間をとってみたいと思いました。
ナイトクルージングも、劇中で手掛けられているSF映画「ゴーストヴィジョン」も、来月には編集を終えて、公開へと着々と準備を進めているそうです。
今日の時点であまりにも面白かったので、両作品が完成して欲しくない気持ち半分、出来上がりを見てみたい気持ち半分。
色々と刺激的な休日になりました。
おわり

