---ただ今よりも少し幸せになりたかっただけ。
それは些細な嘘でした。
やがて嘘に嘘が塗り重ねられて。
大きな引力に抗えずに絶望へとじりじり歩みを進め
盆にはもう二度と返ることのない覆水を
ただ呆然と眺めることしかできなくなったとしても。
今日という日は絶えず明日に向かっているのでした。
別離
日曜日のお散歩後に観たのはベルリン国際映画祭で金熊賞等を受賞した話題作「別離」でした。
ある夫婦の離婚問題によって引き金を引かれてしまった、人々の不幸の連鎖を描いた作品です。
オープニングから世界観に引き込まれ、まったく集中力を削がれないままエンドロールへ全力疾走。漸く視野に劇場が入った瞬間、今まで呼吸をすることすら忘れていたかのように、どっと疲れが出ました。
一つの弾丸が引き起こした不幸の連鎖を描いた「バベル」と通ずる部分も感じつつ、「別離」のほうがよりリアリティがあり、生きることについてもう一度我が身を省みたくなりました。
エンドロールの余韻の心地よさが作品の素晴らしさを物語っています。
どんな不幸が訪れようとも、生きて行かなければならないということを。
私の人生はまだたった30年ぽっちだけど、人生ってこの先もそんな感じだろうなぁと、妙に冷静に納得した自分がいました。
きっとそんなふうにして人は傷つき、弱さを剥き出しにしながら、そして。
悲しみの果てに強くなっていくのでしょう。
それは決してあきらめなどではなくて。
未来に絶望的にもなったわけでもなくて。
現実と向き合う決意の追い風となって、
明日に続く今と、繰り返す毎日への予感となりました。
