ヒマラヤ杉はレンガ造りの五階の建物と同じ高さに成長する。
女子医大最初の高層の建物はレンガ造り。
私が六歳のころにはあったから、かれこれ60年以上の建造物である。
粘りに粘って今日まで保存で来た。
だが悲しいが、解体し新しい研究施設を建てることが必要になった。
中の引っ越しは終わり、最後に吉岡弥生先生の玄関の三つ巴の紋のレンガも保存された。
いままで見ないようにしてきたが最後の姿を瞼に焼き付ける。
父が母が祖母が助けられ、みんなが協力してできた明治時代からの女子のための女子のお医者様をつくる病院であった。
最初の始まりはこれ一つ。
中山教授と三上教授が中心でこの建物には素晴らしいお医者様と看護師の方々がいた。
私はそのおかげで子供の時分母と食堂のスパゲッティーに誘われて、毎週二回は通う。
月に一回は小さな手術。
水泳は禁じられていた。
耳鼻科だが、
この建物の三階だったか、
屋上と円筒形のモダンなところが中も外からも好きだった。
建築関係の方が壊すのが惜しいといいながら作業していた。
中の構造も素晴らしく、解体しながらも将来のためにその技術を役立てたいという。
そう、この建物は大地震と大火災に見舞われた経験からt建造されたもの。
素晴しい建築の当時の先端技術なのである。
帰りに父の家による。
またまた父の非常食が出た。
何とかなるものだけ持ち帰る。
冷蔵庫に夏野菜がある。
久しぶりに野菜カレースープにする。
ルーは少なめで父のカレー粉を見つけたのでたくさん入れた。
茄子はアクを抜きピーマンも入れた。
ピーマンは初めてだ。
また山ほど作ってしまう。
三日以上ある。
まあいいかである。
カレー好き、三食カレーでもよい。
夏はカレーだ。
冷えたら一日分ごとに冷凍する。
私は今日は父のバジルをかけてスパゲッティーを玉ねぎと炒め、カレーをたっぷりかけた。
一人だといろんな冒険をする。