祖父の故郷から譲られた年代物の灰。


灰匙で撫でてみて驚いた。


昔師のところで触らせてもらった灰そっくり、


是ならば真の鱗灰もできるかと頑張る。



江戸っ子は一本気。


正直である。


男女構わず惚れやすい。


お爺さんは青山に住んで魚河岸の仕事をしていた。


当然軍隊はあの有名な麻布連隊。


226事件に巻き込まれた。


お酒におぼれないでは、生きていけなかったという。


父は麻布中学から、


飛行場施設隊に南方に行き、最後は特攻隊だが生き残る。


私は大変な江戸っ子の三代目である。


私で我が家は終わるが、父の血筋は姉の子たちが継いでくれた。


心配はない。


母とも奥伝や難しいタバコ盆のことなど教わる。


結局私の宝ものはこのお点前、このルーツ知る限りのことを皆さんに伝えなければいけない。


江戸っ子に明日はない、今この時がすべてである。