白湯というのは、冷めたお湯ではありません。
何時間もできれば炭火で煮続けた熱いお湯が、
写真のように火が弱くなり、お薄にちょうど良い温度になったのを白湯と言います。
それゆえ白湯は軟度が高まり、柔らかな美味しい甘いお湯になるのです。
これから茶道ではお薄では、白湯を差し上げる作法も学びます。
そして白湯が一番の鉄分を吸収できるお湯なのです。
カフェインは鉄分の吸収が邪魔されます。
何度も釜の中でお稽古の時に沸騰したお湯は、本当の美味しさは真冬でないと解りません。
また火を囲む家族の団欒は至福の時です。
一生でこの一服が、
初めての、最後の、
と思い感謝を忘れずいただければ、それはお薬以上の効用があります。
我々人間は七割は体の中はお水だそうです。
こんな大切なもの。
歳をとると喉が渇くという感覚が薄れ、祖父は寝たきりになってしまいました。
それゆえ、侘び茶は平点前のお薄を何度もするのが歳をとった師にはよいとおっしゃっていました。
師のお父さんは青山で病院をしていて、医学の方も詳しい方でした。
いつも日本しかない歯でなんでも食べていらしたのです。
師とは一回だけ鎌倉の檀桂のお蕎麦屋さんでかけそばをご馳走になりました。
最初で最後でしたが、今でもよく思い出します。
師は80を過ぎていました。