明日は明日の風が吹くとは石原裕次郎さんの映画の題名である。
ここ数年、裕次郎さんの唄が記憶の深い底から甦る。
この映画は、新入社員の裕次郎さんが会社の不正と戦うのだ。
見たのは小学低学年、
学校では童謡を歌う時期、
私はそのころ映画の唄が気に入るとレコードを買い、家で聴いて覚えた。
そう、学校の勉強より映画は社会勉強であった。
この頃、歳をとったせいか昔の唄を歌う。
裕次郎さんの唄は、赤ちゃんも寝てしまう。
兎に角、今の私には、明日は明日と風に吹かれるしかない。
母がいよいよ胃がんの末期を過ぎていて、
もう食べられなくなって来た。
朝台所で作るお弁当も空しい。
だが、母の前に並べてあげるのは大事だと今日思う。
母は痴呆も糖尿から進んだが、
食べることに気持ちがある。
何品もあると、こんなに食べれないと言いながら、
夕方帰りに見ると、好きなものが減っている。
それはフォッとする。
野菜やいろんなジュースも飲んでくれた。
胃がんは6センチ、
もう病院の方は整っているが、母が嫌がる。
もう時間の問題と、
朝の食事を作るのも涙が零れてしまう。
来年は米寿、何とかお祝いをしてあげたい。
気分が落ち込んで、
やはり明日は明日の風が吹くと歌うのが唯一のエネルギー。
人は生まれて、生きて、生き抜いていく。
天寿が全うされたら素晴らしい。
母は毎日、お友達が様子を見に来てくれる。
皆さん杖を突いて、最高齢のお爺さんは101歳、
税務関係の人だが、今も漱石の脱税のレポートを書いているという。
おお、こわ!
ポンとお小遣いを置いてゆく銀行家。
元総理もいて母の人脈の深さを思う。
皆さん50年以上の付き合い。
私にはチンプンカンプンの話もあるから、ケセラセラ。
母が食べてくれるまで、粘り。
食べる量を見届けて帰る。
もう日課。
今日一日を無事過ごす、それで精一杯なのである。
明日は明日が患うであろう!