春来たりて草自ずから生ず という軸を大学病院の学長さんからいただいた。


毎日学生時代はこの軸を掛け、自分の部屋でお茶もしていた。


学長さんの思いは、難しい病もあるがなんでも自然治癒力が働ければ治るのだという信念。


私も大病を乗り越えてきたが、


病名はどうでもよいと思う、要は病を治してほしいと思うのが患者である。


医師と患者は車の両輪のように、助け合い、打ち勝つのである。


私は今新薬の治験もしている。


副作用が大変な時もあるが、今は私だけが直っても申し訳ないと思う。


まだあとに続く人たちのことも考えたい。


自然治癒力は素晴らしいと、待合室で友達になった仲間に話す。


特にお茶が良いという。


できたら、静かなところで呼吸を整え、お点前ができるといいという。


先生も協力的で、分院では待合室に茶室を作ってお茶が呑めるようにしてくれた。


内科の主治医は、定年でおやめになるときに緑茶力という本を出された。


現代の喫茶養生記だとお祝いのお手紙を出す。


遥か50年前の教えが、いまだに生きているのはさすがだと思う。


お茶の先生も昔はお医者様であった。


十徳を着るのはお医者様の意味だそうである。