床の間も、お点前も秋。
お茶の世界も季節感に敏感だ。
そう水である。
茶室に入る前には、茶庭には三回打ち水がされている。
蹲踞も塩で丁寧に洗われて新しい水が入る。
盛夏ですと、水を使って涼しさを出すお点前が沢山ある。
取り合わせは、茶桶に唐草の蒔絵、生地は欅、糸目である。
会津の作家の青白磁のひさご型の水指。
茶碗は本物の黄瀬戸、馬ダライ型の織部好みのもの。
建水は手ひねりの萩。
風炉は琉球風炉で釜は真形。
兎に角二組のお道具の取り合わせと床の間まで合わせていたら、朝早くからお昼になってしまう。
生徒さんの雑誌の撮影の協力であった。
一番苦労したのは、水。
平茶碗の水を写したいという。
む!
私も試しに何枚か撮ったが、映らない。
なにしろ水を写すのは、剣道では水月という秘伝なのである。
明鏡止水。
無心に何年も剣を振った人が出来るのである。
正眼に構え、一気に振り上げ、水に浮かんでいる月を切る。
親友は京橋の警察剣道で、師の伊豆の別荘で真剣で教えて頂いたという。
舞踊は高校で名取。
お花も古典までする。
剣道も3段であった。
部活は嫌がった。
私は、木刀と竹刀以外は振らない。
真剣は知らないが、富士見高原で台風で倒れた白樺の大きいのを始末することになった。
道具は手斧、参った。
短い手斧で、薪にする。
朝から夜。
終わるころ、開眼した。
大きな幹を最後に、両足に力を入れて踏ん張り、両手でしっかり手斧をもつと大きく振り上げて真剣のつもりで思いっきり振り下ろした。
今までのような手ごたえはない。
空を切る感じ。
暗くなった中で白樺を触ると二つに割れていた。
これなんだと真剣での水月の剣を思う。
剣はあくまで、人を生かすものと沢庵禅師は柳生に、殺人刀活人剣という教えを残す。
剣はいつまでも日本人の心を磨いた。
武士とは戦を止めるから武士なのだ。
そして戦をしないのが大和魂なのである。
茶道は、その元である。