茶道は、火の国日本で始まった。
太古の昔から、列島は火山の国。
先祖たちは、常に火の山の爆発を恐れ、敬い暮らしてきたのである。
水は豊かな国であった。
秋の深まりゆく、その中で宗家はいち早く冬への備えに入る。
天候の成り行きで、新茶を披く。
この新茶は、これからの一年家族を守る大事なお抹茶、栄養源だったのである。
懐石料理は、お正月のお節に、これもいざ何かあるときの非常食であった。
今は、何と避難所に一日分の非常食もあやばまれるという。
日本古来の伝統の火の国の備えがいつの間にか忘れられたのだろうか。
茶道では、そんなことはありえない。
2011 3 11 大震災
それがあろうとなかろうと、教室の大きな冷蔵庫には非常用の飲料と軽食が備えてあった。
関東大震災
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私には、この日のことは体験できないが、曽祖父が大変な体験をしていた。
燃え上がる関東平野、一面の焼け野原で曽祖父は偉い人から材木の調達を命じられる。
一介の平民になり、山から材木を狩り出し、筏にして関東に送り出そうとしたところ、大きな台風。
すべて海に流されて、膨大な借金が残ったという。
我が家の没落の始まり、三代かかり借金は返したが、一族の血の出るような物語である。
すべて、私の原点はこの震災の経験が軸になっている。
いい加減な馬鹿になるときは、いつも曽祖父の赤レンガの司令部を思い浮かべる。
この国は、いったい誰のものなのだ?