私が初めての茶花をいけたのは、高校時代に師の茶室である。
ある日いきなり庭に出て、花を床の間に活けなさいと命じられた。
茶花のことは何も知らなかったが、生け花は草月をやっていたので、先生のお庭の菊を7本か9本か忘れたが、切って菊の一種いけをした。
流儀花はいけない、とは知らない時代である。
今なら茶花との違いも教えられるが、師はその時以来私に茶花を生けろとは言わなかった。
今日は、来月結婚式を挙げる若い人の為に、お祝いの花所望をした。
一生記念に残る花として、紅白の額紫陽花を二本朝早く切り、茎を砕いて、ミョウバンを付けて新聞でくるんで茎の先だけを火であぶった。
よかった、二本の額紫陽花は水をあげた。
何を表現しようかと、言葉の代わりに花に語らせてもよいだろうと思う。
生徒さんたちは初めての茶花に感動してくれて、花積りも上手く、額紫陽花が手を離した瞬間、花入れに自分から見事な位置に決まった。
なるほど、これを生けるとは言わず、挿すというのだと私もまた何十年ぶりに紫陽花に感動していた。