明日は、いよいよPVの撮影日だ。
君はこの仕事が決まった時から全然落ち着かないね。
僕は・・・正直、複雑かな?!
君の喜ぶ顔を見たいけど、彼らを見て喜ぶ君の顔は見たくない。
彼らはアジアのスターで、どう考えても現実的ではないんだけど・・
そう、頭では分かっていても、君を彼らに会わせたくない・・。
君が彼らに会ってしまう前に、君を自分のものにしたかった。
出来るなら・・そうしたかった。
撮影場所には、彼らが先に入って撮っていた。
『ヒロキさん、入ります』
そう言われた時、今まで味わった事のない緊張感が僕を包んだ。
5人で歌う彼らに・・圧倒された。
凄い・・思わず口から出ていた。
後ろを振り返った僕の目に映ったのは・・
彼らを直視し、彼らしか見えていない君の姿だったんだ。
『はじめまして、よろしくおねがいします』
差し出してきた手はビックリするくらい綺麗だった。
「こちらこそ、宜しくお願いします」
差し出された手を握り返しながら
スターのオーラと、人間性の良さを感じた。
僕の主演した映画も観てくれていて
「カッコよかったです」と
カッコイイ彼らに言われて、くすぐったい気分だった。
『うちのマネージャーが貴方たちの大ファンなんです』
言わないつもりでいたのに・・・僕もバカだよな。
君は・・今にも泣きそうな顔して僕の顔を見たっけ。
ファンであること、一緒に仕事が出来て嬉しいこと・・
君の言ったことに彼らは思いのほか喜んでくれてさ。
一緒に写真を・・って、周りのスタッフに促されて撮ってもらってたっけ。
誰が一番好きなのか・・って訊かれてたね。
僕も知りたかった。
君が答えた名前の人はガッツポーズして喜んでたよ。
彼らとの絡みの部分を撮り終えると、
『できあがりをたのしみにしています』
そう言って彼らは先に撮影場所を後にした。
その後、僕は相手役の女優との撮影だった。
PVにしたら過激なシ-ンの連続だった。
帰り際・・何となく君にイライラしたんだよね。
『ねぇ、今日のこと感謝してる?』・・意地悪したくなった。
はい、ありがとうございました。
ヒロキさんが言ってくれたお陰で夢みたいな気分です。
『何かお礼してよ』
はい、私に出来る範囲なら何でも言って下さい。
『キスして』
・・君の返事も聞かないうちにキス・・した。