今年の桜は

いろんなことを教えてくれた

いろんなことを考える機会をくれました

 

2週間のイベント期間

桜の開花から、満開まで見守りながら

暇なときはぼんやり夜の店番をしつつ

桜と自分の人生を重ねるのでした

 

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今年1年は自分に向き合う年

60歳を前に59歳をというボーダーラインを

どのように過ごしていくかを考える

 

これから少しの間

桜のことを通して過去の自分を掘り下げてみます

思い出話が多くなりますが、ご勘弁ください

 

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まず桜の記憶として

もう25年以上前の出来事を思い出しました

 

 

パン屋初めて5年目くらい

お店は任されているものの特に目標もなく

自分の仕事がこの先も続くイメージがありません

 

つまり将来への不安

 

大学の同期は大手企業で活躍している中で

自分はこの先もパン屋を続けていていいのか

 

売上が低迷することへの焦り

 

 

自分が人を感動させるパンが作れないなら

もっと究極のパン作りを目指すべきか

 

 

 

そんなときに

お店の求人を見てふらっと現れた人物がいました

 

Kさんというパン職人

腰を痛めてフルには働けないらしい

 

個人のお店が職人を雇うのは

売上規模に対するコストに見合わないし、

ピークを過ぎた人がどこまでの

パン作りが可能かもわからない

 

それでも

彼の何とか雇ってほしいという熱意に動かされ

結局雇うことにしました

 

当時彼の年齢が今の自分くらい

当時自分の年齢が今の息子くらい

 

 

彼の入店によって

思っていた以上に

お店が大きく変わり始めたのです

 

 

彼のパン作りの能力が素晴らしかったというより

私の良き相談相手になってくれたこと

 

パンの基本的なことを知りたい

こんなパンを作って売ってみたい

Kさんが以前作っていたパンを再現してほしい

 

 

私は本来作ることより

どうやったら売れるかを考え

売れることに喜びを感じるタイプ

 

当時自分には「作る」ことを任せられる人が

必要だったのかも知れません

 

 

それからは

水を得た魚のように毎日働くようになり、

自分が考えKさんが作ったパンを

どうやって売るか、どんな販促をするか

陳列(商品の並べ方)も毎日いじりながら

売ることと売れることを楽しんでいました

 

おかげで売上もうなぎのぼり

 

お店が終わったあとも

Kさんと飲みに行って

いつもお店やパンのことを語っていました

 

 

ある日のこと

Kさんの知人(のちにスタッフとなる職人さん)と

せっかく桜が満開だから、桜の木の下で飲もう!

ということになりました

 

スーパーの敷地内にある桜の木

まさかここで飲むなんてこと

想像もしていませんでした

 

ふたりのおじさんに囲まれ

日本酒を酌み交わしながら

パン作りのこと、お店のこと

そして将来の夢を話したりしました

 

サンクレールをもっともっと

有名なお店にしよう!

 

と桜の木の下で誓いあいました

 

その誓いの中で

これからもずっとパン屋を続ける

覚悟というものが生まれました

 

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オープンから30年経っても今もなお

たくさんの人に愛されるサンクレール洞店

 

当時の出会いがあって

私の覚悟が決まったお店です

 

Kさんだけではありません

私にはたくさんの人に恵まれ

ここまでやってこれました

 

恩を送ろう!

 

桜の木の下の出来事を綴っているうちに

 

今度は私が次の世代にバトンを渡す番

それが叶うまでまだまだしっかり成長して

行きたいと考えられるようになりました

 

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