もう7年ほど前、編集ライター養成講座に通っていたときお世話になった、S先生。

そのS先生が一昨日、亡くなってしまった。

年2回、春期と秋期に開講される講座で増え続ける受講生たち皆から、慕われていた。

かつては新聞畑で活躍され、講座では、細かいテクニックよりも世の中の流れを“読む”ことの大切さを毎回問うておられた。

S先生は、きっと人間のことが大好きだったんだと思う。

私も、先生のお話が大好きだった。

半年の濃厚な講座も終わりかけの頃(社会人3年目)、私は転職したくて仕方なかった。

無論、S先生にも相談した。

でも先生は意外なことに、ハッキリと「仕事は辞めるな」と仰った。

最後までその理由を言ってはくださらなかったので、転職の準備をしかけながらしばらく悶々としたし、落ち込みもした。

でも今ならわかる。

私みたいな肝と器では、この業界ではやっていけないだろう。

それがいいとか悪いとかではなくて、きっと“合わない”、ただそれだけのこと。

実は、勤続10年の今の仕事を、つい2年ほど前からようやく前向きに考えられるようになった。

入社してから実に8年もかかった。

それに今、こうして遠方に行ってまでウィンドを楽しんでいる。

それもこれも、仕事を10年間続けてきたお陰。

先生は憶えておられないだろうけども、“耐えて時期を待つ”ことを教えてくれた先生に、私はとても感謝している。

講座が終わってからでも、もっとお話をたくさん聞いておけばよかった。

まだまだピンとこないけども、先生、明日お別れに行きますね。