今さらだけども。
かの『ブラック・レイン』を初めて観た。
ずっと観たいとは思ってたけど、松田優作の怪演がなんだか怖くて観る勇気が出なかった。
幼心にゲイリー・オールドマンが怖かった感覚にちょっと似ている。
でも、ゲイリー・オールドマンはあくまでスクリーンの中の別世界だとわかりきってるけども、松田優作は同じ日本人であるから、もっとリアリティがあって、そこが怖かったのかもしれない。
それが、少し前、NHKで彼の人生をフォーカスした番組があって、今まで抱いていた恐怖感が消えた。
すごくエレガントで、ストイックで、だからこそ時に走り出してしまったり、孤独を抱えていたり・・・。
パートナーに、「こんな人、愛すしかないじゃない」と言わしめてしまう、一人の男性。
文字にすると陳腐な言葉にしかならないけども、とにかく、私が抱いていた松田優作像とは違う、繊細なガラスのような人だという印象を受けた。
『ブラック・レイン』の撮影時にはすでにガンが進行していて、闘病(生)か撮影(死)かという究極の選択で撮影を選ぶ、そういう人だったようだ。
マイケル・ダグラスも、アンディ・ガルシアも、高倉健もよかったけども、やっぱり松田優作のこの怪演には、ほかのキャストには見られない、何か迫るものがある。
どうして、こういう人は早くにいなくなってしまうのだろう。