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『「話せる」ということがどんなに人を自由にするだろう』




被差別部落出身であることを公にした、猿まわし芸人の村崎太郎さん。

一般的な家庭に育った、フジTVプロデューサーの栗原美和子さん。

数年前のふたりの出逢いが、差別に苦しんできた太郎さんの心の扉を開く。




“元気をもらえる”という趣旨の本ではない。

これはエッセイではなくノンフィクションである。

たとえば部落差別、たとえば在日韓国人差別、たとえば障害者差別…。

本当に悲しく理不尽なことではあるけれど、様々な差別や偏見が存在する。

読みながら、正直私自身、心が疼く箇所はたくさんあった。

と同時に、人はひょっとすると皆、何らかの“マイノリティ”な部分をそれぞれ抱えているかもしれない、とも思う。

人と人がじっくり向き合うとき、その双方の立場を理解できるはずだと思うし、そう思いたい。




電車の中で読みながら、心打たれて、時には心疼いて、涙が流れてしかたなかったけども、かまわず読み進んだ。

ふたりといないひとりの人間として、幸せになるということにほんとうにじっくりと取り組んでみたいと思える本だ。