自然災害時の枚方市の対応を訊きました
3月29日投稿した「災害対策」の記事で
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枚方市が作成した2021年時点での避難所の備品備蓄状況では、
50カ所の小学校避難所に簡易トイレ5基ずつ合計250基、
その他の防災倉庫に761基+8基の合計1,019基
の備蓄にとどまっています。
スフィア基準に沿わせるならば、(生駒断層地震で46,812人が避難するとした場合)
避難者男女同数として男性23,406÷20=1,170基、
女性23,406÷20x3=3,510基、
合計4,680基が必要です。
市へは、この実態で災害時にどう対処する計画なのか、とっても不安です・・
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と投稿しましたが、
実は
5月23日に、この点について枚方市の危機管理室を訪問してきました。
私達は、簡易ベッドの装備数に注目して一小学校で受け入れる避難者は45人と推定して、実情を訊きに行ったのですが、市の考え方は、基本「雑魚寝」スタイルの受け入れを予定しいるようでした。
以下、当日の主なやり取りです
質問1
枚方市では、第一次避難所は小学校ごとに簡易ベッド45台を備蓄していることから、
これは小学校単位で45人を収容限度としているのでしょうか
第一次避難所は52カ所あるから2.340人分の避難場所を確保しているということでしょうか?
大阪府の資料では枚方市の避難所生活者の予想として、
上町断層帯Aで8,855人
上町断層帯Bで50人
生駒断層帯で46,812人
有馬高槻断層帯で32,165人
中央構造線断層帯で13人
東南海・南海断層帯で927人
南海トラフ巨大地震では34,100人
との予想となっています。
市の回答
簡易ベッドは、高齢者等ベッドが無いと不自由な方のためのものです。
各小学校には毛布等の災害対策備品で1人当たり3㎡のスペースを確保し
おおよそ1,000人分を収容できると考えています。
1人当たり3㎡のスペースはあくまで計算上ですが、52カ所で52,000人分確保できることになります。
(実際はもっと少なくなると思われるので。収容数をオーバーする場合は順次中学校等への2次避難所を開設する計画です)
当初は段ボールベッドを用意していましたが、
段ボールは汗等で湿気を含むと壊れやすく、
衛生管理もむつかしい
ので、
順次簡易ベッドへ置き換えているところです。
質問2 避難所のトイレの整備状況について
①簡易トイレ以外のトイレ設備を準備されているのでしょうか(トイレトレーラー等)
市の回答
トイレトレーラーはありません。
簡易トイレは備蓄はしていますが、
実際の運用は学校のトイレの便器にビニール袋を敷いて
凝固剤で固めて処理する方法が現実的なので、そのような運用を考えています。
質問3 2次避難所について
一般的に避難所における避難期間は7日間を基本とするようですが、7日を超えても自宅復帰が不可能な場合の2次避難所についての計画を教えてください。
能登地震の場合、近隣市の旅館・ホテル等を借り上げたようですが、同様の協定等を締結されているのでしょうか。
また、4月3日に台湾で発生した大地震では、一次難所は発災から数時間で開設され、テントが設置され、更に1週間経たないうちに撤収されています。1週間以内に宿泊施設への移動を済ませたとのことです。
市の回答
7日間かはともかく、輪島での経験(輪島へ災害派遣で行かれてた)から、早期に小学校の避難所を撤収する必要はあると思われます。
学校再開する必要があるので、いつまでも一次避難所としては利用できないのは確かです。
質問4 洪水関係
①市の防災マップでは、水害(浸水)の想定も掲載されていますが、水害の場合の避難所生活者の推定資料が見当たりません。
どれくらいの避難者数(家屋浸水)を推定されているのか、河川別に教えてください。
市の回答
そういう推定資料は持ち合わせていません。
大阪府も推計していないと思われます。
防災マップの浸水地域から数えられるのでは?
市の回答
それは可能と思います
②避難の開始は高齢者等の場合、
警戒レベル3(河川の水位が氾濫警戒情報レベル)
船橋川3.2m
穂谷川2.60m
天野川4.5m
淀川5.5m
に達すれば避難開始とされています。
が
河川氾濫の場合利用できない避難所が市内に12ケ所あります。
その内、牧野小学校以北には6ケ所の小学校がありますが、
3校は水没と推定されています。
避難者は残りの3校へ集約するということでしょうか。
市の回答
代替の避難所が準備されているところもあります。
浸水避難所であっても、上階での避難に活用できるので
「とりあえず命を救う」
という観点で避難できるところへ避難していただく積りです。
質問5 避難所の運営について
能登地震のような巨大な地震が発生した場合、避難者が多数発生し、自治体職員も避難者となってしまいます。
このような事態が発生した場合、災害地の自治体や避難者・自治会等でだけの避難所運営は困難と思われます。
台湾で発生した地震の場合は、近隣の市から専門の技術を持ったボランティア団体が、
テント設営
食事の手配
トイレ設営
衛生管理等
をあらかじめ定められた手順に従って実行されたそうです。
このような、相互支援の体制を予め作っておくべきではないかと考えます。
近隣自治体間で、そのような協議はされているのでしょうか。
市の回答
協議はしています。近隣市も同時に大きな被る可能性が高いので、広域での協議が必要だと考えています。
質問6 水道設備の耐震対策について
市の水道設備の耐震対策の現状を教えてください。
① 耐震対策未対応の地域はどの辺りなのでしょうか。
市の回答
水道局の管轄なので水道局へ問い合わせてください
② 給水バルーンの利用について現状をお聞きします。
給水バルーンは、風船型の蛇口付き給水タンクのことで、1つのバルーンで1,000リットルの水(約330人分の1日の飲料水)を貯水することができます。ビニール製で折りたたんで保管ができ、1人または2人で簡単に持ち運ぶことが可能です。としていますが・・
市の回答
給水バルーンは各避難所に設置されます
③ 自主避難の方々への給水対策はどうされるのですか。
市の回答
避難所へ出向き給水を受けることが出来ます。その他、給水拠点が整備されます。
給水拠点については水道局の管轄です
上下水道局では、2000リットル2台と1600リットル1台の飲料水の確保ができる給水車の配備を行っています。
枚方市HPより
停電した場合の対応は?
市の回答
関電が対応します。
通電には順序が定められており
第1に病院
第2に災害対策拠点です。
〇要望
要望1 避難所のキャパシティ(収容可能数)が少ないようです。増設してください。
運動場を利用する、近辺の大型ホームセンターの屋根付き駐車場を利用できるよう交渉する等の対策を考えて下さい。(駐車場にテントを設置する等)
市の回答
ホームセンター等へは交渉していますが、〇〇ホームセンターの駐車場を「車避難」の避難先として打診したが断られています。
〇〇モールへは別の案件で(担当部課が)交渉していると聞いています。
要望2 能登地震では、避難所に到着しても施錠されていて入れない事態が発生しました。
窓ガラスを割って入ったケースもあるようです。
避難所に入れない場合の対応方法等を明示していただきたい。
市の回答
自主防災組織に鍵を渡しています。
市から、開設の通知を受けたら、早く避難所へ到着できた人が開ける手順となっています。
地震の場合は震度6弱以上の場合は自動開設となり、
市からの指示を待つ必要はありません。
最大3個の合鍵を活用してもらうことになっています。
要望3 能登地震では避難所等に無料で商品を取り出せる「災害支援型」の自動販売器が設置されていたが、管理者不在で利用できず破壊して飲料を取り出す事態が発生してしまいました。
こうした事態を避けるための対策を明示してください。
管理者が必ず避難所等へ先行到着できる訳ではないので、予め対応策を周知しておく必要があると思います。
また、市内の「災害支援型」の自動販売器の設置場所を教えください。
市の回答
「災害支援型」の自動販売器はあります。
どこにあるかは当部門では把握していません。
〇〇ボトラーズと契約したと聞いています。
その他市の担当者のお話
輪島へ被災支援の派遣に行った体験から、トイレの運用は極めて重要と痛感しました。
ビニール袋をかぶせて排便処理をする方法が徹底されず、
便器が汚染し感染症が蔓延した避難所が出てしまいました。
日常の訓練が極めて重要と痛感しました。
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危機管理室の担当者の回答を聞いた感想ですが、短い時間でしたので、質問のすべてに回答をいただくことは出来ませんでした。
また、すべての事案を危機管理室が把握しているわけではなさそうです。
疑問点を再度整理して、改めて訪問したいと思います。