枚方市に住む高齢者の方から寄せられた、最終稿です。

ここまで書き綴られたSさんの気概に拍手です。

 

年を取るということは、たくさんの困難がありますが、多くの方に支えられて、そして多くの方を受け入れて、生きてこられたその記録です。

時にはハラハラ、ドキドキ、ときには、おおらかな強さも感じる内容でしたね。

残念ですが、最終話です。

 

 

**********これまでのまとめ************

 

私は2019年2月に、首の手術(脊椎管狭窄症)を、4月末に、左手小指の腱縫合手術を、そして2020年1月には、腰の手術を受け、健康保険によるリハビリの後、介護保険によるリハビリを受けている。私の退院間近になって、夫の「硬膜下血腫」が判明。直ちに手術となり、「数時間遅れていたら片半身マヒだった」ところを救われる。

2020年4月私も夫も退院。私は3月末に腰骨の「いつのまにか骨折」をしていたため「テリボン(骨粗鬆症治療剤)」を自分で注射をする生活である

一方夫は、退院後も検査入院を繰り返したが、大腸にあったポリープを摘出し一段落。

しかし、11月に入ると、夫は軽い心筋梗塞を発病し入退院をくり返した。症状は悪化し大手術の後生死を彷徨うことになる。が。奇跡的に復活。2021年を迎える。

夫は「要介護5」となったが、ようやくリハビリのできる病院へ転院できるまで回復した。しかし、夫は退院後骨折し、再入院・手術・そして退院。これでゆっくりと年寄りの二人暮らしへ・・の続き。

 

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「年寄り二人暮らし」⑨

 

私の腎臓

 私の方は手術後、手や足の痺れ・痛みは全く良くならず、現状維持のためにリハビリを続けている。

昨年2021年夏ごろには、足にむくみがあり、内科で血液検査を受けると「腎臓の数値が良くない」と言われた。

 

私の自慢は「血液検査はいいね!」と言われていたのだが、ピンときたことがある。「先生、痛み止めじゃないですか?痛み止めは4年位続けています」。先生も「次に、整形へ行ったらそれを言ってください」と言われ利尿剤をいただいた。

「整形では薬を変えましょね」とあっさり。

拍子抜けの感があった。薬を変え、1日2回から1回に減らし、飲んでも飲まなくても痛みは変わらないので

「もう飲みません」と徐々に薬をなくした。

が、内科の先生は「一度腎臓の先生に診てもらった方がいい」と他の病院を紹介してくださった。

 

紹介先の病院では、検査(血液・尿)の結果「数値は高い」と言われたので、内科医で受けた検査を1年分程見せると、秋ぐらいから少しずつ数値が下がっているのを見られ

「これはやはり痛み止めが原因ですね」と言われ

「もう一度2か月後に検査に来てください」と次の診察の予約をした。

 

2か月後の検査でも数値は少し下がっていて

「腎臓の方は改良傾向だから大丈夫なんですが、検査の中で甲状腺機能の低下がみられる。腎臓が悪くなるとよくあることなのだけど、次は耳鼻科で甲状腺を診てもらって下さい」と、それも思いがけないことを言われた。

 

耳鼻科に行くと血液検査と喉のエコーを撮り、見ていただいた。今のところ何という症状もみられないので3か月後また検査に行く予定といったところ。

お薬は医者が出してくれるのをただ飲むだけでは駄目だな~。

誰を責めてもしかたないが、内科の先生が「専門医に行け」と進めて下さったのは今となってはありがたく感謝している。

 

 

介護認定更新手続き

 

「ターミナルや延命をどうする?」とまで言われた夫は1年かからずにしっかり歩けるようになり(と言っても家の中だけ)食事も自分で作ったり、自分の意見も言い、当初の「要介護5」から「要支援2」へと変更された。

 

今までの介護支援プランが変わり、看護師さんとリハビリ師さんが週1回の訪問になり、ヘルパーさんがシャワーをしてくださることとなり、介護料金の負担がベッドのレンタルなどは自費負担となった。

 

負担が増えたことに関しては、私も以前「要介護2」だったのが「要支援2」に変更となり介護料金の負担が増えたときにいろいろ感じたことがよみがえってきた。

私たちは年金暮らしだから収入が多くなった訳ではなく、むしろ物価高のなか収入減となっている。

福祉の負担が増えるとはどういうこと?

 

そんなことを通して解ったことは、ヘルパーさんにとっても要介護の人と要支援の人のお風呂の手伝いをしても介護度のランクによって単価が違うこと。

これが今の介護の現実です。

 

 ある日突然に二人が介護を受ける生活になり、私は多少なり介護のことを知っていたつもりだが、受ける身になると今までに知っていたことは何だったのかと思えるくらい別世界だった。

ケアマネージャーさんの頑張りで、目一杯の支援を受けることができ、健康面に関しては訪問看護センターに連絡するとすぐに来てくださり、話を聞いて下さり、必要な手続きをして下さる恩恵をいっぱいに受けている。

 

皆さん!入院したり、家族に何かあれば病院の相談員さんや地域包括センターに連絡をすることから、介護が始まるのだと覚えておいてください。

 

おわりに

 

保母(保育士)として条件の悪い仕事だけど楽しく働いてきた私でしたが、夫の仕事の関係で思いがけずカナダで生活することになり保母を辞めた。帰国後ガイドヘルパーとして何年か過ごした。

1993年枚方市がデンマークへ、高齢者福祉の研修団を派遣する一員に私も入れて下さり、学ぶところがいっぱいあった。その時私は一般公募での参加なので、事前に文章を提出し「私の老後はどうなるのか、デンマークで学びたい」といったことを書いた。今、私がまさにその時にあるのを実感している。

入院・手術・リハビリの4年の中で、次々と新しい人たちとの出会いをさせてもらい、人との出会いは奥深くて楽しい。今まで親しくしていただいた方々とも永いお付き合いを嬉しく思っている。

 

いいかげんな文章しか書けないのに、長々と個人の経験にお付き合い下さり、読んで下さりありがとうございました。

私たちはいきなり手術から介護を受ける生活になってしまい、大変だったのは娘だったとありがたく思っています。読んでくださった皆さんも、いつか介護の生活がくることでしょう。その時「あいつがブツブツ言ってたな~」と思って下さったら、私もニンマリ笑います。お元気でお過ごしください。 

 

M・S(完)

 

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ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。

どうぞご感想などありましたら、よろしくおねがいします。

年を取ることは皆平等です。

少しでも、年をとっても、病気になっても、生活がよくなるように、みなさま少しでも声を、文章を、メールを、音楽が好きな方なら、音楽でも、出来る所で、できる事を。

 

 

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「すずらんのつどい」は2015年9月「すずらんの集い―いっしょに考えてみませんか福祉・介護―」をテーマとしてケアマネジャー経験者を中心に結成しました。常時メンバーは5名。

拠点は大阪府枚方市の北部、楠葉地区においています。

近づく超高齢化社会を見つめ、高齢者福祉の学習、関係者との情報交換、枚方市の高齢者施策についての話し合いなどの活動をしています。