今回は枚方市に住む高齢者の方から寄せられた、投稿第3稿です。
高齢者に避けられない悲劇が骨折。
前回は、2020年1月に、脊椎管狭窄症による腰の手術を受け、腰の痛みに耐えながら、食事をとり、やがて点滴と尿管がはずれ、歩行器で歩く練習と足のリハビリを同時に受ける。
これからどうなるかと案じながら、2人の先生によるリハビリが始まる・・の続き。
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そして、3月3日ひなの日に中村病院に転院。
昼食時にひな寿司が出され、寿司好きの私はパクパク食べて完食したのには家族がびっくりした。
以前担当して下さった先生方も
「Mさん待ってたのよ」
と来て下さり、どこでもいい出会いをさせてくださり、ありがたいなーと、明日からのリハビリが楽しみになった。
「年寄り二人暮らし」③
s・m
中村病院では1日3回のリハビリを受ける。
3人の担当が決まり必ず病室まで迎えに来て下さる。
車イスの人や杖を使っている人。
歩行器の人と各人の情況に合わせて、補助器具を使用している。
私は歩行器を使ってリハビリ会場に行く。
リハビリには理学療法士と作業療法士の先生がおられ、理学療法では肩や足を充分もみほぐし、歩行器でのきれいな歩き方を教わった。
しびれているところ、痛いところを充分もみほぐしてくださるので、気持ちがいい。
その後歩行器で歩くと手や足が軽く、スッキリ歩けるように思える。
作業療法では首の術後の後遺症で右腕の痛み、指の痺れ、首や肩のこり、痛みがあり、しっかり揉んでくださり、ホットパットをあてたりで、とにかく気持ちがいい。
その後折り紙をしたり、きれいな糸の組みひも作り、ソーイングなどで、私は物作りが好きだったことを思い出させてくれた。
今まで自分一人だけでは作ったことのない物の材料を提供し作らせてもらったのは楽しかった。
その他おはじきやビー玉をつまんだり、つかんだり、小さな棒を指先でつまむ等、人間の日常の生活全てがリハビリなんだと思った。
指にはつらいけど楽しいリハビリ。
このリハビリを1日3回も受けることは濃い内容の毎日で、確かにここはリハビリ病棟なんやなぁと今更の如く思った。
リハビリの毎日のうちに、私はひとつのことに気付いた。
木のベッドの上に寝ながら手や足、腰など症状に応じてもんだり、ひっぱったり、のばしたりの間、人々は実によくしゃべる。
どの人もずーっとしゃべっている。初めは、
「どうしてこうなったのか、手術のこと、痛みのこと、薬のこと、子どものこと、夫のこと、嫁のこと、自分の子どもの時のことや、これまでのこと、仕事のこと、趣味のこと、食べ物のこと、病気のこと、これからの自分のこと、介護のことを」
これはカウンセリングだ。
安心しきって次々と話しておられる。
もちろん私もしゃべる。
ここではリハビリを受けながらカウンセリングを受けている。
これは何かすごい!。
身も心もリフレッシュして歩けなかった人が補助器具を使いながらもしっかり歩けるようになり帰って行かれる姿を見せてもらった。
「デンマークでの福祉の旅」(注1)の中で、リハビリセンターの所長が
「別の人間になって帰っていく」
と言われたのを思い出した。
その時は「へーえ!そんなに!」
と思って聞いていたが、今は少しはうなずける。「リハビリはカウンセリングでもある」と。
私の歩行も少しはしっかりし、何よりも左手の小指の腱切断手術後、握力が無くなっていたが、少しづつ回復していく中で、ある時各指に力が入り、パーをすることが出来た。
我ながら驚きと共にうれしいことだった。
今ではオルガンのオクターブが弾けるようになり、小指単独ではないが「耳の中で少し動かせるよ」に、みんな笑った。
中村病院退院も見え始めた頃、レントゲンで腰骨の骨折がわかった。
手術をしてボルトが入っているところだ。
痛みもなく、いつの間にか骨折というヤツ。
「寝るときもコルセットを付け、とにかく慎重に」
と言われた。
退院後、関西医大に通院してからは、週2回骨のための注射を自分で打ち1年になる
骨密度が平均以下になっている。2年は続けるとのこと。
私の退院に向けて、ケアマネージャーが介護保険の区分変更申請を市に提出して下さった。
要支援1(注2)だったのが要介護2となるが、コロナの給付金などで市役所業務が混乱していてなかなか決定来ずヤキモキした。
というのは、この介護度が決定しないとこれからのこと、レンタルする福祉用具や福祉サービスの中味まで何も決められないのだから。
(つづく)
(注1)枚方市では、海外の福祉行政の実態習得のため、海外へ研修派遣をしていました。この件は改めてアップします。
(注2)介護保険の介護度には要支援1・要支援2から→要介護1・2・3・4・5の区分があります。
ランタナ
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「すずらんのつどい」は2015年9月「すずらんの集い―いっしょに考えてみませんか福祉・介護―」をテーマとしてケアマネジャー経験者を中心に結成しました。常時メンバーは5名。
拠点は大阪府枚方市の北部、楠葉地区においています。
近づく超高齢化社会を見つめ、高齢者福祉の学習、関係者との情報交換、枚方市の高齢者施策についての話し合いなどの活動をしてきました。