香里ヶ丘中央公園見守り隊からの発信で「市民無視で進めた美術館建設計画を白紙に戻し、再検討を求めます。『市民参加の地方自治を!!』『香里ヶ丘中央公園の緑をこわさないで!!』」のChange.orgのネット署名が呼びかけられています。
1万人の声を竹内脩 枚方市長に届けたいと思います。一人でも多くの「賛同」をいただけるように、Facebook、Twitterやメールでひろげていただけますよう、よろしくお願いいたします。


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竹内脩 枚方市長
市民無視で進めた美術館建設計画を白紙に戻し、再検討を求めます。「市民参加の地方自治を!!」「香里ヶ丘中央公園の緑をこわさないで!!」

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《プロローグ》
私たち大阪府枚方市の市民は、
「7億円の『美術館の負担つき寄付』を市長の独断専行で受け入れ、市長本人も担当課も、そして、その案件に賛成した議員たちも、市民からの数々の疑問に答えようとしないこと」に抗議しています。
事前に市民に十分な周知説明をすることもなく、多大な年間経費の支出(税金)を要する美術館建設を強行に進めるのは、地方自治、市民自治という民主主義の根幹をゆるがす暴挙です。
この計画を一旦白紙に戻し、市民とともに再検討するよう強く求めています。
現在、反対の署名は12,600筆を超えました。全国の皆さま、さらなる応援をよろしくお願いいたします。
《概要》
1.「はじめに受け入れありき」ではじまった美術館の寄付
「美術館の負担つき寄付」を市民が公式に知ったのは、今年3月26日、市議会本会議で寄付の収受が可決された後のことでした。
 寄付の申し出は昨年(2013年)7月3日のこと。寄付の受入、建設予定地、設計図もこの時点ですでに決まっていたことが判明しました。
2.本会議前に「寄付の収受」を知らされていた4人の市民 
「『負担つき寄付』の収受については、本会議に諮り、可決される必要がある。したがって、本会議可決前に市民に知らせること(報告)はできなかった」というのが、市側の理屈であり主張です。
しかし、この理屈は破綻しています。何故なら、4人の校区コミュニティ会長(4人の市民)にだけは、既に知らせていたのですから。又、これらの会長から市民に情報が伝えられませんでした。彼らは市から口止めされていたという話もあります。
私たち市民は単に報告を受けるだけの対象ではありません。私たちは市民自治の主役なのです。民主主義の原則に従い、議会と平行してこの「寄付の申し出」を市民全体にも周知説明し、市民の判断を仰ぐことは可能でした。「寄付の申し出」から本会議まで8ヶ月以上の時間がありました。又、担当部長は、議員からの質問に対し「本会議前に市民に知らせても、不都合はなかった」と答えています。

3.誰がどのように寄付するのか
この美術館建設問題は、枚方市東香里在住で、ゴルフ練習場・住宅展示場・造園業などを営む一人の資産家が、美術館(7億円)を建て、趣味で集めた絵画など所蔵美術品約80点とともに「負担つき寄付」するというものです。
その「負担」とは、枚方市がこの美術館を30年間にわたり維持しなければならず、維持不可能になった場合は建物の建設に要した経費(減価償却された価格)を寄付者に返さねばならないというもの。
 この内容は、寄付者と市長の間の「覚書」に明記されており、本会議可決の2日前(2014年3月24日)に、すでに両者間で取り交わされていたことが情報開示請求により明らかになりました。

4.市民の疑問に答えようとしない市長と担当課(地域振興部文化振興課)
 市民の要望で、地元の小学校区における説明会が2回、全市民対象の説明会が1回開かれました。しかし、その内容は美術館整備の目的や意義を市の立場から一方的に説明するばかりで、市民の質問に真正面から答えるものではありませんでした。しかも、市長はたった一度説明会に出席しただけです。説明会は毎回時間切れを理由に、打ち切られました。

5.まかり通る情報操作
 上記「覚書」の内容(30年間美術館を維持できなければ、その時点の建物価格を寄付者に返すこと)は、枚方市の広報にも、最近作られた「美術館準備ニュース」にも掲載されたことはありません。前面に出すのは美術館のバラ色(?)の計画ばかり。最近、市役所や生涯学習市民センターに美術館の模型や派手なイメージ図が飾られるようになりました。

6.美術館の内容
 寄付を受ける美術品の作家は、日本画の鏑木清方、上村松篁、堅山南風、小松均、吉田善彦、福王寺法林、大島秀信、上村淳之、大矢紀、久保嶺爾、洋画の中川一政、鳥海青児、中根寛、角卓が各一点ずつ、高橋重夫37点。彫刻の平櫛田中、木内克、アーキペンコが各1点ずつ。陶芸の楠部弥弌が2点、近藤悠三、藤原啓、清水卯一、中里重利、藤原雄が各一点。金工の高村豊周が2点。書の酒井雄哉が一点。市の担当課は、作品の価値についてはいまだ明らかにしようとしていません。
担当課は、市の所蔵品560点とともに、他の美術館から借りる展示物で、企画展を開催すると意気込んでいます。所蔵品の内容や、建物の中途半端な規模(建築面積1,178㎡、延床面積1,499.25㎡、展示室600㎡)から判断して、
30年間維持できるかと危ぶむ声が大きいのです。美術館という箱物の維持が重荷になっている自治体があるという今日、ますますその心配は大きくなっています。

7.総合文化施設建設計画のこと
実は枚方市には、この美術館の話が持ち上がる20年くらい前から、枚方市駅の近くに総合文化施設を建設する計画があり、その中に美術館機能も統合するはずでした。ところが美術館の寄付の申し出があるや、わずか8カ月余りで寄付の収受を可決。統合されるはずの美術館機能は縮小・変更されました。
しかし、総合文化施設に統合した美術館の方が、独立した美術館を維持するよりはるかに財政負担は小さいのです。また、交通アクセスの点では、枚方市駅近くの総合文化施設に美術館がある方が、枚方市民にとっても、他市から来る方々にとってもはるかに便利です。

8.美術館の経費の内訳(収入と支出)
この美術館は来年(2015年)竣工予定で、その直後から2017年度までは市が直営し、2018年度から指定管理者制度の導入が予定されています。
 直営期間の経費の内訳は、明らかになっていません。
 2018年度からの収入は、入館料、企画展予算組替、展覧会図書販売、企業等の協賛金、文化庁等補助金、使用料などで1,150万円。それに一般財源として5,900万円を加えて、推計額合計7,050万円です。
 支出は、人件費、事業費、管理費などで推計額7,050万円となっています。

9.枚方市香里ヶ丘という緑豊かな土地
枚方市駅からバスで15分ほどのところにあり、近づくにつれ急に緑の多さが目につきます。香里ヶ丘は枚方丘陵と称され、なだらかな地形で市内でも有数の緑濃い住宅地。地質は粘土質で保水性を有し、「本来の自然」が生かされて住宅が造成されました。近年、宅地開発がどんどん進む中、中央公園の豊かな緑は本当に貴重なものです。
公園の一部には里山の植生を残すといわれる木々が繁り、隠れるように蒲の穂まで生き残っています。それにもかかわらず、約200本のうち150本近い木々が伐られようとしています。
朝のラジオ体操、太極拳、犬の散歩、尺八の練習、サッカー・テニス・野球の練習、キャッチボール、ペタンクなどを公園の緑は見守っています。
また災害時には、一時避難の場としても利用可能で、地域住民にとっては非常に大切な公園なのです。
地域住民の中央公園への愛着は、計り知れません。それを無視し、公園の利用状況も調査することなく、美術館の建設が密かに決められていたのです。

10.今回自分がとった手法を「イレギュラー」であったと認めた市長
 市民への周知説明という大切な過程を軽視し、「はじめに受け入れありき」で「美術館の負担つき寄付」を急ぎ受け入れた市長。市民説明会で、自分がとったこの手法を「イレギュラー」であったと認め、「申し訳なかった」と述べました。
 しかし、「イレギュラー」を「レギュラー」に戻す様子は見られません。相変わらず市民を無視し、寄付者の意向に添いながら、「工事説明会」を開きました。当日、会場は反対の声で大混乱。時間切れを理由に説明会を終了し、準備工事の着工に入ろうとしました。

11.起ち上がった市民
 準備工事着工予定の8月29日、反対の市民が起ち上がりました。工事車両の進入を阻止するため、朝6時半から中央公園入り口に85名の市民が集まったのです。
 ラジオ体操をしていた市民の一部も加わりました。プラカードや横断幕、チラシ、署名用紙を用意して、夕方4時半頃まで和やかな雰囲気のうちに時間が過ぎていきました。工事車両は来ませんでした。
 その日から日曜・祭日を除く1ヶ月以上、この行動は続いています。10月12日現在、工事はまだ始まっていません。

12.「市民の集い」を開催
 9月20日、いつものメンバーに加えて、中央公園から遠く離れたところに住む人々も共に集まり、「市民の集い」を開きました。抗議行動の経過報告と参加者の思いを和やかな雰囲気の中で共有することができました。80代の方からベビーカーを押した若いお母さんまで、それぞれの声で、それぞれのパフォーマンスで参加できた集いになりました。参加者160名。

13.美術館設置条例を可決
 9月26日、市議会本会議で「美術館設置条例」が可決されました。未だ工事が始まっていないこの段階で、「美術館設置条例」をつくるのは早すぎます。「条例案」が出た時、市会議員各会派をまわり、反対するよう訴えましたが、結果は上記の通りです。


8月29日、市民が集まり準備工事着工を阻止して以来、1ヶ月以上の日々が過ぎました。未だ工事は始まっていません。
私たちが取り戻したいのは「市民参加の地方自治」です。市長の独断専行を許さず、市民の声を尊重した市政の運営を求めているのです。
枚方市香里ヶ丘の住民が、大切な中央公園の緑を守るという具体的な抗議行動を通して訴えているのは、まさにこの点であることを全国の皆様に知っていただきたく思います。どうぞ、私たち枚方市民への応援をよろしくお願いいたします。
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◆特別寄稿「なぜ美術館を中央公園に建てるのか」
              香里ヶ丘中央公園見守り隊  古谷 學

 香里ヶ丘地域には、戦争中は火薬工場として、13、4歳の大阪市内の女学生が親元を離れて住み込みで、厳しい作業条件のもと爆弾に火薬を詰める作業に従事していたという悲しい歴史があった。
 終戦後、この地を当時朝鮮戦争の軍事特需を目論む火薬製造会社が活用しようという動きがあった中で、地元住民の反対運動が功を奏し、平和目的として住宅建設用地に利用することとなった。
 当時、国策としての住宅推進政策を日本住宅公団(現都市再生機構=UR)が担うことになっていたので、昭和32年香里ヶ丘地域を同公団が団地として建設に着手することになった。翌33年には早くも第一次入居が始まるという驚くべき速さであったが、これは全体開発計画がしっかりできていたからであろうと思われる。
 こうして当時、東洋一のニュータウンと称される香里団地の街づくりが始まった。そして今日の枚方市の発展に繋がる第一歩でもあった。
 ちなみに、同団地には大きく分けて二つの特徴がある。
 一つは、戦時中には丘陵地と土塁地形が爆弾製造所に適していると考えられ、利用された。しかし戦後は、前述の住民運動によって住宅用地として利用されることになった香里団地は、その丘陵地と土塁的地形を巧みに利用して、平和目的に転換させたのである。
二つ目は、枚方市には香里ヶ丘中央公園を核として、16の公園と1つの庭園がある。この庭園は「以楽公園」と称され、庭園の名工といわれていた重森三玲氏の作品である。加えて、不利用地と思われるところに無名の雑木林や竹林などが点在している。それらは住民に愛称をつけられ、親しまれている。
私たちがいつも眺め、散策している緑陰は、自然の造形が巧みに生かされたもので、住宅地と自然が地域形成に一体的に調和しているのではないかと思う。さらに、幹線道路では、ケヤキ、イチョウ、サクラ、ナンキンハゼなど並木が四季の風情を楽しませてくれると同時に、団地景観を一段と引き立てている。開発当時の写真を見ると、添え木されて立たされている小さな木々が写っている。そして、50数年後の今、それらは立派に成長し、街並み形成の役割を担っている。

こうして自然を街づくり計画の中に取りいれた緑豊かな街、香里団地に突然その静謐をやぶる出来事が発生した。公園の核的存在である香里ヶ丘中央公園の小山と樹木の緑陰を1,200平方メートルにわたって、根こそぎはぎ取るという常識では考えられない環境破壊という暴挙が、行政主導で行われようとしている。このことは、8カ月にわたって地元住民の知らないところで秘密裏に着々と計画が進められていたということである。このことによって地元住民は、行政に強い不信感を持った。美術館と緑地とどちらが大事かという反論もある。しかし、50数年間で築かれた自然の破壊は一瞬であるが、その復元には百年かかるであろう。百年の禍根を誰が背負うことになるのか。