もう全然正気じゃない。
何があったのかすら、分からない。
ただ、無表情な声で、知らされる現実。
原因は何なのか、知らなくて無意味に走り回る。
俺が駆けつけた時は、もう全てが終わっていた。
久しぶりに見た眠った奴の顔は青くて。
あの頃と変わらない首筋の傷跡に、安堵した。
知らない両頬の傷は新しかった。
目を覚ました途端、「目の前でやれ」と怒鳴ってしまった。
俺の目の前でやってくれ、と。
状況を把握した奴は、やっと悲の感情を思い出すように泣く。
泣きながら「何でいんの?」と聞かれた。
二人で泣きながら笑った。
あの頃と、俺は何も変わっちゃいなかった。
ずっと、俺は同じ立ち位置で、同じように、変わらない想いで見てる。
帰ろうとして部屋を出る時、奴の「ありがと」の小さな声に安堵した。
車に乗った途端、一人で泣いたのは、嬉しかったからなのか、
悲しかったからなのか分からないけど。
俺も、誰だか分からないけど、お礼を言いたい。
ありがとう。
奴を生かしてくれて。
まだ、奴の泣き笑いの顔が俺の支えになってくれる。
何でもない日常を、過ごす答えになってくれる。