デートにまつわるファンタジー







☆  ☆  ☆  ☆







もう、ここでいいよ









あなたに言った









車を止めたら あなたとはもう・・・









涙でつまるといけないから









これ以上優しい言葉 かけないでね









最後の助手席









楽しかった思い出達









もう座る事もない









だから 笑顔でさよなら









背を向けて 車を降りて

一歩 また一歩 歩く度に





涙でにじんで 月がぼやける









涙と一緒に この記憶も流せればいいのに









「待って!」











あなたの声が後で聞こえた。











「忘れ物あったから」









今、このタイミングはやめて欲しかった。









あなたに近づくと肩に引き寄せられた。









広い肩、









頭を埋めた厚い胸、自分とは違う体温。









髪を撫でる手の平









あの柔軟剤の香り。









体ごと覚えてる









離れられるのに、離れられなかった









「別れたばかりだけど、もう懐かしい。」









頭のすぐ上で声が聞こえる









「やっぱりお前じゃなきゃ、だめなんだけど」











「一緒にいてくれるか?」









まっすぐ見つめてくる瞳に涙ででうなずいた









あなたのコートに包まれながら、嬉しくて涙が止まらなかった。









月が再びの二人を明るく照らしていた。