体がはじき飛ばされて、その場で手を突いて倒れた。
かばんの中身が散乱した。
頭が混乱していた。倒れたまま取り合えずかばんの中身を拾った。
立ち上がろうとしたその時に頭の上から声が聞こえた。
「大丈夫?」
見上げるとあなただった。目の前にあなたがいた。
あなたも驚きを隠せない眼で私を見ていた。
張り裂けそうなほど悲しい瞳で見つめていた。
あなたが差し出してくれた手を取り立ち上がった。
あの、大きな、大好きな手だった。
立ち上がっても沢山の思いが渦巻いて、何も言えなかった。
何か言ったら、泣き出しそうで。
そして、この混乱の中では何も言えなくて。
「ありがとう。」とだけ言うのが精一杯だった。
そして、泣きそうになりながら唇を噛み締めてその場を去った。
ほんの数秒の出来事だった。