彼は私より、10歳以上年上で、今は海外を拠点に美術品の複製を仕事をしている。

















今は、結婚して綺麗な奥様がいる。














二人で石畳の道を歩いたことを思い出した。彼は私の初めての人だった。

















「久しぶりだね」











そう言った彼の優しい眼差しは年こそ取っているものの、変わっていなかった。

















一緒にいると安心できるたたずまいも変わっていなかった。














「今はどうしてるの?」彼は尋ねた。

















彼と同じテーブルで食事をした。全部は話さなかったけど、これまでの話をした。

















ずっと、丁寧に話を聞いてくれた。話終わった後に彼が言った。




















「君を最初に見かけた時に綺麗になったって思ったよ。きっといい恋をしているんだろうねって。」




















「その彼の事今も好きなんだね。きっとまだ彼も同じ気持ちじゃないかな?」

















「自分の気持ちに正直になったほうがいいんじゃないかな?」

















押し付ける感じではなく優しい口調で彼は言った。




















「それに、そのリング、まだ外せないのが君の答えかも知れないよ。」




















そう、まだ彼に貰ったリングを私はまだ、外せないでいたのだ。




















「君には幸せになって欲しいから。遠くから祈ってるよ。」

















微笑んで去った彼の顔を見て、涙が出てきた。

















このリングをしている自分に正直になろうと。




















そして、あの、忘れられない一日を迎える事になった。