この画廊は叔父夫婦の意向で、来て頂くお客様にゆっくりと絵を見てもらう為にと、大通りではなく、一つずれた裏通りにひっそりと建てられていた。
店内では照明を少し落とし、厚めの絨毯を引いてある。小さいが、サロンも併設してある。時には、貸切をする事もあった。
絵がその時期によって違うが間隔を明けてひっそりと飾られてある。静かな空間の中で絵やオブジェが息をしている。勤めている私でも、毎回絵が変わるたびにその空気には驚かされる。
涼やかなものや、情熱的なもの、涙がでそうなくらい感動するものも時にはあった。
私の家庭は父と母、兄がいる。家同士の付き合いもあり、叔父夫婦の家が近かった事もあり、よく遊びに行った。家の中には美術品が普通に置かれてあった。よほどの事をしないかぎり、オブジェを触ったりしても怒られることはなかった。おおらかな夫婦には子供がいなかったので、とてもかわいがってくれた。
絵を描かせてくれたり、オブジェの説明をわかりやすく教えてくれたり。
私にとって美術品に囲まれて過ごすのはごく自然な事だった。
そんな環境で育ったので、美大にも当たり前のように進学した。西洋美術を選択した。しかし、絵で食べていける程の腕は無かった。コンクールに出品しても評価を得る事は無かったのだ。わかっていた事だが大学までは絵をどうしてもやりたかった。バイトをしながら、課題を作成する。寝る暇が無かったが、私にはそんな事は全然、気にならなかった。絵が掛けるのがうれしかったから。