カメラにまつわるファンタジー 



☆ ☆ ☆ ☆

今、カメラにはまっている。


一眼レフを最近やっと手に入れた。



今日の撮りたい被写体は決まってる。



休日のあなた。



スウェット着て黒ぶち眼鏡かけて、はだしでソファーに大きな体を投げだしている。




ねえ、撮らせて♪



「いいよ~撮らなくても!」

「仕事で十分、撮られてるから!」


手で遮ってる。



私しか撮れない表情(カオ)撮りたいの。




レンズを覗き込みながらあなたに段々と近づいた。



その時、サイドテーブルにつまづきソファーの方に大きく転んだ。



「ほら、見ろお前!」

って顔をくしゃくしゃにして笑われた。



「もう、こっち座れよ」


とソファーに促される。



「それ、俺に貸して!」



「俺がお前、撮ってやるから!」


いいよ~


「いいから!」



悪戯っ子な目が光ってる。こうなったら止められない。



「ほら~こっち見て!いい顔してよ~。」

笑いながらカメラマンに成り切ってる。


いいからと言っても、あなたがどんどん近づいて最後には馬乗りになってきた。


あなたが言った。


「動かないで。」


片手でカメラ持って、空いてる方の手で髪をとかしてくる。



「ちゃんとこっち見ろよ。」
見つめながら呟く。



長い指が頬を撫でる。首筋も、ゆっくりと。



そんなの見れる訳、ない・・・。



顔が火照って来るのがわかる。


「もう撮るの止めた。」

突然、カメラを置くとあなたが言った。


え?



「今の顔、誰にも見せたくないから。」



そう言うとあなたは、片手で眼鏡を外した。




あなたの唇が重なって来た。




手と手を絡めあう。



電気ストーブの音だけが静かに部屋に響いていた。