涙の夜にまつわるファンタジー スピンオフバージョン☆ 彼女の涙



☆ ☆ ☆ ☆
高速を走ってた。ハンドル握り締めて。少しでもはやく会いたくて。



いつも彼女に出してるメールの返事が来ない。おかしいなと思って、空き時間に電話をかけてみた。



お前は明るく振る舞っていたけど、直ぐにおかしいと感じた。 話しても上手くはぐらかされた。 すぐに会って話がしたいと思ったが、再開の時間が近づいていた。携帯をギュッと握り締める。もどかしさだけがこみあげる。



全てのスケジュールが完了した頃には時計の日付が変わっていた。

構わずマネージャーにキーを借りる。急用があるからと言い残し、ダウンジャケットに袖を通しながら車へ急いだ。



運転中も頭をよぎる、電話の声。仕事と恋愛、どちらかを選ぶなんて器用な事は出来ないのは自分でもわかっている。でも離れてても平気といったお前の言葉に甘えていたのかもしれない。



やっとアパートに着いた。見慣れたインターホンを押す。返事はない。気持ちが焦る。足音がした。確認したのか、ドアが開いた。



こっちを怯えてるように見えた。目が真っ赤になっている。何か言っていたけど動揺して耳に入らない。早く話が聞きたくて 部屋に上がる。



お前、どうしたんだよ!思わず、声が大きくなってた。



お前はごまかすように話を逸らす



仕事で何かあった筈。もう一度聞くとうつむいた。小さな肩。



悩みがあるなら話を聞いてやりたい。そんな事考えてたのかと笑って悩みごと、吹き飛ばしてやりたい。
いつも明るくて、何があっても笑顔で一番に応援してくれて。
でも俺の前では辛い事があるなら隠して欲しくなかった。だからもう一度尋ねた。



お前が言葉を絞り出すように話してる。 小さな肩が震えてた。泣きだしそうだった。壊れそうだった。俺の気持ちも。



もう何も言うなと言って片手で肩に抱き寄せた。お前は俺の肩に顔を埋めて泣いていた。

こんなになるまで話を聞いてやれなかった自分がとても悔しい。

少しづつ、今の気持ちを話してくれた。仕事の事、不安な気持ち。
お前の頭を撫でた。いつもの柔らかい髪。シャンプーの香り。撫でながら、悟られないようにそっと上を向いて涙を止めた。



俺は自分の今思ってる事を話した。一番大切にしなければいけない、したい奴だから。


俺とお前には今時間が足りない。でも、いつもお前の事は思ってる事。


お前がずっとやりたいって言ってた仕事。夢を掴んだんなら離して欲しくないから。辛い事があったら一番に聞いてやりたい事。


頑張ってきたお前を一番に抱きしめてやりたいと。


腫れた瞼が愛おしくなって口づけた。頬にも泣いた唇にも。



ずっと抱きしめていた。