涙の夜にまつわるファンタジー 後編



☆ ☆ ☆ ☆


泣き止んでお風呂につかった。髪を乾かして、カフェオレを飲む。深夜のバラエティーを付ける。目に入らないけど。
なんか寂しいから。何をするまでもなくぼーっとしていた。



ドアフォンがなった。こんな時間に?誰?




あなただった。ニット帽をかぶったあなたが息を切らせて立っていた。




どうしたの?びっくりした!



「上がるぞ。」何も答えずに靴を脱いで部屋に入った。



仕事は?どうして家に?



「お前どうしたんだよ」
私の眼を真っ直ぐに見つめて言った。


え?何も、ないけど。努めて平静を装った。



「仕事でなんかあったろ?」



さっきも話したじゃん、気まずくて沈黙が流れる。動揺して、うつむいて言葉が浮かばない。




「俺に隠せるとでも思った?」


優しく問い掛けられた。


涙が滲んで来た。。
言葉が詰まる。


あの・・・ね・・・。

仕事が・・・うまく・・・行って・・・な

「もう何も言うな。」



あなたの大きな左手で優しく頭を包まれて、肩へと抱き寄せられた。




「あんな声聞いたらほっとけっかよ!」

とあなたは抱きしめながら呟いた。


それからは堪えてた涙が止まらなかった。



泣いても泣いても止まらなかった。

全て話した。仕事に自信がないし、自分自身が情けない事。これからの不安な気持ちを。


あなたはうん、うん、と答えながら時々、優しく頭を撫でて聞いてくれた。


話し終わるとあなたが私の目を見ながら口を開いた。


「お前が辛い時に寂しい思いさせてゴメンな。」

「今は俺達、離れてるけど、心は一番近くにいるから、辛い時は溜めずにいつでも連絡してこい。」



「お前のずっとやりたかった夢だろ?俺はお前を一番に応援するから。いつものお前らしくやってこいよ。」

優しく微笑む。


「頑張ってきたら帰ってこいよ。抱きしめてやっから。」


「ほかの男の前でこんな顔すんじゃねぇぞ。」


そう言ってあなたにきつく抱きしめられた。


おでこに優しくキス。腫れた瞼にも、泣いた唇にも・・・。キスのシャワーが降り注いで行った。



涙の夜は綺麗な星屑になって二人を照らしていた。