『白夜の爺スナイパー』 (原題:Norwegian by Night)
デレク・B・ミラー (訳:加藤 洋子)
〈集英社文庫 ミ 4-1〉
主人公のシェルドン・ホロヴィッツは、ユダヤ系の元アメリカ海兵隊狙撃手。
本当の症状とは関係なく、亡くなった妻や孫娘のリアからは“認知症”だと言われ続けている。
しかし、リアがノルウェイの男性と結婚し子供が産まれると聞かされて、ノルウェイに移住してリアと共に生活する事になった。
孫娘夫婦が不在のある日、リアの家の上の階の住人の女性が正体不明の男に暴力を受けて逃げて来た。
シェルドンは、ドアを開け彼女とその息子をリアの部屋へ避難させてやったのだが、彼女は暴漢に殺されてしまった。
シェルドンは、少年を連れて逃げ出す。
元狙撃手のシェルドンは、少年を守るためリアの夫が持つサマー・ハウスに行って、狩猟用のライフルを手に入れようとするのだが・・・・・。
82歳の爺クライム・スリラー!
★☆★ ★☆★感想・ネタバレ!★☆★ ★☆★
主人公が、元海兵隊狙撃手のユダヤ人で、朝鮮戦争で授勲した・・・ときたら、ホロコーストからはじまる“人種差別”の話が出ない訳にはいかない。
しかし、人種差別も戦争も“やっちゃダメなこと”なのは皆が知っているので、ここでは語らない。
本書はスナイパー物の一冊なのだが、主人公が撃った弾は、彼自身の思い出の中の朝鮮戦争の時だけで、作中一発も撃たずに結末を迎える。
「スナイパー物なのに、いつになったら戦闘シーンが出てくるんだよ!」
と、普通の私なら言いだしているところなのに、私は本書に引き込まれ、あっという間に読み終わった。
物語のプロットは、82歳の老人が、警察と戦争犯罪人の父親との両方から、少年を引き離して助ける事だ。
その中で、老人と、老人の思い出の中の数人の故人(幻覚・・・?)との会話を絡めて物語が進んでいく。
ホロヴィッツの思い出は、美しいものばかりでなく、大の大人が泣いてしまうような苦しい思い出が沢山ある。
ホロヴィッツは、喋ることのない少年を助けることで、自分の人生で出来なかった事をやり直そうとしていた。
ホロヴィッツは、少年を助けるために引き金を引いた。
暴力は、それがどんなことであれ問題の解決にはならないことは分かっているのに・・・・。
ハードだ!!!!!
アメリカでこの考え方だと暮らせないだろうな・・・・。
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