『積みすぎた箱舟』
ジェラルド・ダレル(訳:羽田 節子)
作画:セイバイン・バウアー
〈福音館文庫 Nー17〉
1947年。
動物園の飼育助手をしていた22歳の青年ジェラルド・ダレルが、相棒のジョン・イーランドと、英領カメルーンへ動物採集に行く話。
採集の目的はカメルーンの珍しい動物達を、イギリスの動物園に納入することだ。
若くて、経験の浅いジェラルドが、言葉もろくに通じない国に行って、体当たりで動物を捕まえる冒険譚だ!
商談になったら、売り手が嘘を吐いているときは、その嘘を指摘し値切る。
欲しい獲物があれは、人任せにしないで率先して危険な場所に突っ込んで行く。
怪我をし、現地の人に手厚く看護され、水に流され命を助けられる。
黒人も、白人も、子供も女も、そしてあらゆる動物や鳥達が、手つかずの自然の中でいきいきと描き出されている。
対象年齢は小学生の高学年というところだろう。
冒険に年齢は関係ない!
本書を手に取って、一緒に冒険へゆこう!!
黒人だろうと白人だろうといやな奴は“いやな奴”ときっぱり言い切る、作者の態度が気持ちよかった。
当時のカメルーンの人達の生活や、考え方の紹介も面白い。
白人が、黒人の社会に入って行って、そのプリミティブな文化を西洋的な考え方で一蹴するのではなく、土着の風習に沿って自分の考え方を通していく。
本にするときに、後知恵で書いた部分が無いとは言い切れないだろうが、とにかくダレルのまっすぐな気性が良かった。
私としては、本当に真っ直ぐな人だったのだろうと思いたい。
未開の地で危険な動物や、危ない状況をものともせず、頭から突っ込んでいく作者の、動物のへの思いがビシビシ伝わってきた。
「旦那、だんな!」
と捕まえたビーフ(生き物全部がビーフなのだ!)を売りに来る植民地の人達も、生き生きと楽しそうに描かれていて、動物採集キャンプの興味深い日常がとても面白かった。
そこには宗主国と植民地の軋轢のようなものは感じられなかった。
希少動物をロンドンの動物園に持って行く。
こう書くと、野生動物を乱獲して、先進国の動物園で見せ物にする・・・というようなイメージが浮かばないこともないが、決して動物を虐待する人の話ではない。
動物だけでなく、自然やそこに住む人達、そして、その文化までも理解しようとしている印象だった。
捕まえた動物を観察したいのに、利益を出すために次の動物探しをしなければならない……とう件もあった。
もちろん利益を出さなければ、良き活動も継続する事ができないのは分かっている。
でも、面白いことって採算が合わなかったり、なんだか命がぎりぎりになったりするものだ。
夢に向かってばく進している人を見ると、つい応援したくなる。
最後になったが、訳者の羽田節子さんの訳は、本当に良い訳だったと思う。
私は女性の訳者の、こういうドライな訳が大好きだ。
アニマル・ハードだ!!!!!!

