『卵をめぐる祖父の戦争』 | おむすび書店 リターンズ

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まだまだハード・ボイルド!

そして、高血圧&脳梗塞!
ハイ・プレッシャー!!

男のハードなダイエット!!!

『卵をめぐる祖父の戦争』
 デイヴィッド・ベニオフ
      <ハヤカワ文庫


 作中の作家のデイヴィッドが、ユダヤ系のロシア移民である祖父戦争中の話を聞きに来るところから話が始まる。

 祖父のレフ・ベニオフが、第二次大戦中、十七歳の時に、二人のドイツ兵をナイフで殺した話を取材にきたのだ。


 レフは、ドイツ軍に包囲されたレニングラードで、ドイツの爆撃機がやって来るのを見張っていた。

 ある日、死んだドイツのパイロットが落下傘で落ちてくる。
 レフは、そのドイツ兵からナイフを奪ったところを、ロシアの秘密警察に捕まってしまった。


 略奪は死刑。


 監房に入れられて、処刑を覚悟しているレフ

 そこへコーリャと名乗る、金髪碧眼のコサックの血筋を引く文学青年脱走兵が同房になる。


 二人とも処刑されると半ば諦めていたが、命を助ける代わりに『木曜までに卵を1ダース持って来い』と、秘密警察の大佐に交換条件を出される。


 もちろん条件を呑んで、卵探しに出かけるレフコーリャなのだが……。


おむすび書店 リターンズ-卵をめぐる祖父の戦争 ハヤカワ文庫

 面白い小説だった。
 睡眠不足は、高血圧の敵だと分かっていても、読み終わるまで眠ることが出来なかった。


 詩人を父に持ち、心者で、暴力とは縁遠いレフが、略奪の罪で秘密警察の監房に入れられてしまう。
 その監獄は、おそらく自分の父親が殺された場所なのだ。


 そこに、脳天機なプレイボーイの脱走兵がやってくる。


 二人の共通点は、どこにも見いだすことができなかったが、『卵を1ダース持って来い』という至上命令を受け、それが出来なければ二人とも結局処刑されることになったのだ。


 レフは、余り後先を考えないタイプのプレイボーイの軍人、コーリャに引っ張られるようにして、変てこな卵探しに奔走する。


 人間、生きるか死ぬかの選択に迫られた時、自分の意志ではなく、好きな人を守り、友達の期待に応えるという選択をするものなのだなと思った。

 昔のロシア人の素朴な思考回路と“愛国”という意識が、昔の日本人と似たメンタリティーだと思った。

 自覚がなくても意識の中の何かに動かされて、ある意味英雄的な行動をしていくところに共感を覚えた。


 残酷なシーンや、理不尽な戦争を肯定する登場人物がたくさん出てくるが、主人公達が、あくまでも“卵1ダース”という目的からズレていかないので、ヘビーな話なのに、どこか剽軽な仕上がりになっている。


 ラストも、私の大好きな終わり方だったので、大満足である。
 余り大きく期待せずに読み始めたので、とても良い方向に裏切られた感じだ。


 ハードだ!!!!!

 

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