小学校の夏休み。
佐賀の母方の実家でのある日の夕方。
夕食前に、離れの祖母のところで従兄のマンガの単行本を読んでいた。
そのとき、急に背中がものすごく痒くなった。
「おばあちゃん、背中掻いて!」
と、横で裁縫をしていた祖母に背中を捲って見せた。
「どこね?」
「真ん中のとこ」
祖母は、いつも少し爪を立てて丁度いい強さで背中を掻いてくれる。肩胛骨の間の背骨のところを掻きながら、
「ここね?」
「うん、もうちょっと……」
祖母は掻く手をちょっと右、ちょっと左と動かして掻く範囲を広げていく。
「もっと……、全部掻いて」
背中を人に掻いてもらうと、痒かったところ以外のところも痒くなっていって、ついには全体を掻いてもらうことになる。
それは子供の頃も今も変わらず、手が届きづらいところを掻いてもらう時の気持ちよさといったら、何ものにも代え難い。
「背が伸びるときは、背中が痒くなるけんね」
「ホント?」
祖母は笑っていた。


