ティッシュの箱を持って二階の仮眠室に上がり、私は先ず洗面所に行った。
洗面台の前に立って鼻に詰めたティッシュを取ると、どぼっと半分固まった赤黒い鼻血が洗面器に落ちた。
顔を上げると、鏡に映った私の顔の鼻から下が血で真っ赤になっている。
びびった。
心臓がバクバクである。
もう一度鼻にティッシュを詰めて、風呂の洗面器を持って仮眠室のコタツに座った。そのコタツは、もう夏になると言うのにコタツ布団を掛けたままだった。コタツ布団の中に足をいれると、何故かひんやりしていて興奮した体に気持ちよかった。
私はその時から6時間、鼻のティッシュを詰めたり取ったりを繰り返す事になったのだ。
ティッシュを抜くとどぼぼっと血の塊が洗面器に落ちて、またティッシュを詰める。洗面器が赤いティッシュでいっぱいになったら、それを大きめのレジ袋に捨てる。そしてまたティッシュを鼻に詰める……である。
朝方、同僚の杉並(仮名)が上がってきて、
「大丈夫か?」
と、声をかけてくれた。 私はちょっと頷いた。レジ袋を捨てようと杉並が袋を手に取ると、
「うわっ……!」
と、小さな驚きの声を上げた。実際にどれくらいの出血があったのかは量ってないが、レジ袋はずっしりとした手応えがあるくら重くなっていたのだ。
「病院に行こう。タクシー呼ぶから」
と言って、杉並はレジ袋を捨てに行った。
