『ロスト・エコー』 ジョー・R・ランズデール
<ハヤカワ・ミステリー文庫>
子供の頃、お多福風邪をこじらせて、右耳か聞こえなくなったハリー。膿が耳の中で破裂して、突然耳が聞こえるようになった。それをきっかけに、過去の暴力的な出来事があった場所の音を聞くと、その暴力を追体験できるようになってしまった。
大学生になり、初恋の女性ケイラと再会した。彼女は警察官になり、彼女のお父さんの自殺の真相を探り出そうとしていた。
子供の頃ハリーを理解してくれていた彼女は、ハリーの能力で事件を解明して欲しいと頼んでくる。
ランズデールは、以前読んだ『ボトムズ』の作者。ボトムズも暗めの作品だったが、『ロスト・エコー』も、なかなか鬱屈していた。基本的には暗さが全面に出ている作品は好きじゃないが、ボトムズもロスト・エコーも私には、丁度いい暗さだ。
主人公が子供だったり、本作は青年だったりで、微妙な恋愛感情や、人気者じゃない普通の男の普通の弱さが、嫌味なく描かれていてなかなか良かった。
サスペンスもきちんと盛り上がって行って、ボトムズのときより、ハリウッド的に盛り上がっておもしろかった。
東洋の格闘技を身につけたアル中の賢者は、ご愛敬の設定だが、あまり押しつけがましくなくて、これも際きわで面白かった。
