来週、島根で開催される人工内耳説明会で体験談をお話しすることになりました。

推敲に推敲を重ね、ようやく原稿が完成しました。

パワーポイントの資料も完成しました。

あ~、本当に疲れた。



皆さん、こんにちは。私は、○○と申します。本日は、子供が人工内耳をした父親の立場から、お話しをさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

私には6歳、4歳、2歳の3人の子どもがおります。こちらの写真は、左から、長男、長女、次女です。この3人の子供のうち、長女と次女が、生まれながらに耳が聴こえていません。


長女は新生児スクーリニング検査では聴覚に異常はみられませんでした。しかし1歳半の時に、右耳70db、左耳100dbの難聴であることが分かりました。長女は、昨年7月2歳8ヶ月の時に左耳に人工内耳手術を行いました。

次女も長女同様、出産時のスクリーニング検査はパスしました。しかしながら、生後7か月の時、長女以上の重い難聴であることが分かりました。次女の聴力は両耳スケールアウトでした。次女は本年4月、1歳6ヶ月の時に、右耳に人工内耳手術を行いました。そして、今月の26日には、左耳にも人工内耳手術を行う予定です。

「人工内耳」という言葉を始めて聞いたのは、難聴の遺伝子診断で訪れた神戸市立中央市民病院でのことでした。遺伝子診断を受診するために紹介状を出してもらおうと、松江の総合病院で遺伝子診断を受けることを話しました。

そこでドクターに話しをすると、「お父さん、遺伝子診断なんて絶対に辞めなさい。保険にも入れなくなるし、『子供の耳が聞こえないのは、お前のせいだ。あなたのせいよ』と、夫婦仲が悪くなり、家庭崩壊にもつながりますよ!」と、かなり強烈に反対されました。そして「私たちは、そんな恐ろしいものを受けようとしていたのか!」と、心が揺らでいきました。しかしながら、「なぜ、我が子が難聴に?」という、気持ちは日々、増していくばかり。「怖いけど、とりあえず話しだけでも…」と、妻を説得。紹介状をもらわぬまま、ネットで調べた神戸市立中央市民病院に駆け込みました。ここで、担当ドクターに、松江の病院で言われた事を恐る恐るぶつけました。するとそのドクターは、「遺伝子診断で、家庭崩壊する。しない。ということは、遺伝子診断そのものに原因があるのでなく、もともとの夫婦間の関係に問題があるのではないか?」とまで、話してくれました。また、診断後の「カウンセリング」も、しっかり実施している説明があり、不安もなくなりました。本日は、人工内耳の説明会ですので、詳しいお話しはいたしませんが、「なぜ、我が子が難聴に?」、という理由が知りたいというのは、親として自然のことだと思います。そして、私たちはこの遺伝子診断によって、「なぜ我が子が…」と、いう後ろ向きな気持ちより、「前に進もう!」という気持ちになれました。

お陰さまで、今のところ家庭崩壊もなく夫婦円満です。

また、この診断で人工内耳の効果が出やすいかどうか、進行性難聴であるかなども分かることがあるようです。最近では健康保険適用にもなりました。興味のある方は、是非、専門の病院でお話しを聞いてみてはいかがでしょうか…

それでは、人工内耳に話しを戻します。

神戸市立中央市民病院に通院する中で、長女への人工内耳を考えるようになりました。先天性聴覚障がい児への人工内耳は、倫理的な観点から反対する人たちも多いことは、この時、始めて知りました。支援を受けていた、ろう学校からは、人工内耳については、様々なことを理由に良い顔をされませんでした。また私たち夫婦自身にも、小さな2歳の子どもにメスが入るという恐怖心もありました。

そんな中、担当ドクターから、「お父さん、お母さんが聴こえなければ、人工内耳で聴力を上げることは反対です。でも、お父さんもお母さんも、聴こえてる。であるならば、親子で、言葉のコミュニケーションを取っていけるということは本当に素晴らしいことですし、決して親として特別な感情ではないと思います。言葉で育てのであれば、言語習得の臨界期は6歳頃です。早期の人工内耳装着は、言語習得には大変に有効です」という話しをしていただきました。それからも、夫婦で何度も話しあい、長女への人工内耳をすることを決めました。先天性聴覚障がい児へは、人工内耳をすればすぐに聴こえるようになる、そして言葉を覚えるというものではありません。我が子は現在、難聴児通園施設に通いながら聴覚活用の療育をしています。ここで、最近の難聴児通園施設での写真をご覧下さい。

最初の写真は、鳩時計の音を感じ、鳩が出てくる動きを楽しんでいるものです。遊びながら聴覚を活用してもらっています。

次は、長女が施設内で人工内耳の調整マッピングをしてもらっているところです。普段、活動している施設内でマッピングができますので、子どもも緊張せずマッピングができています。

次は、カレンダーで数字の勉強をしているところです。長女は3歳10ヶ月ころに、10までの数字が理解できるようになりました。

次に、人工内耳について、私なりに良い事、また不便なところを、お話したいと思います。

良くなったところは、やはり音への反応です。そして、言葉の覚えも速くなっています。ゆっくりとした成長ですが、親としてこの日々の成長を感じる歓びは、何物にもかえられません。まだまだ試行錯誤の毎日ですが、子どもとのミュ二ケーション、要求や、気持ちも、くみとれるようになりました。逆に、不便な点もお話しします。補聴器でも同じですが、機器の取扱いについては神経を使います。小さな子どもですので、やはり紛失や破損が心配です。落としても自分で気が付きません。特に、外出先や保育園での集団生活の中では、注意が必要です。また、万が一の為、動産保険にも入っています。

2人の子供は難聴児通園施設に姉妹で交互に通園するため、施設に行かない日は、保育園に預けています。入園の際、「人工内耳を付けて、無事に集団生活が送れるだろうか?」という、不安がありました。保育園側からも、耳が聞こえないということで、「手話ができる保育士が必要ですか?」と、いうような質問もあり「戸惑い」も、あったようです。保育園には、人工内耳の取り扱いや、子供たちの聞こえの特徴等を説明し、先生方にもよく理解をしていただいております。今のところ、保育園でのトラブルはありません。

言語習得については、どのようにすれば良いのか、家庭で何をなすべきか、このことも大きな課題です。これには、声援隊に所属し勉強しています。声援隊は聴覚障害のある子どもにも、聞いて話せる権利と可能性があると、聴覚障害児教育法を学ぶ保護者や、言語聴覚士など、全国的なグループです。松江でも、東京から先生をお迎えし、「難聴児への絵本の読み方研究会」という、勉強会を開催しました。興味のある方は、是非、声援隊のホームページをご覧下さい。

手術にあたっては沢山の迷いもありました。不安もありました。インターネットで見つけた、人工内耳に対する否定的な意見や書き込み、術後のマッピングやケアが島根では出来ないこと、小さな子どもの頭にメスが入ること、本当に最後まで迷いました。でも今では「人工内耳をして本当に良かった」というのが、私たち気持です。そして、島根でも人工内耳の特徴を理解した場所ができて欲しいと切望しています。また、人工内耳装用の年齢が低下しているという全国的な流れの中で、島根県においては情報が少なく難聴が分かってから、そこにたどりつくまでに時間がかかるという点も感じています。長女は、2歳8ヶ月で手術しましたが、「もっと早く人工内耳の事を知って、手術させてあげればよかった」と、いう気持ちがあるのが本音です。

最後になりますが、「人工内耳をする。しない」には関係なく、本日起こしの皆様にとって本日の会が少しでも、お役に立てば、幸いでございます。以上で、私のお話しを終わります。ご静聴、有難うございました。