柔と耕作(松田)の新婚日記 26日目 (夜編第1部)
文書量(文字数)が膨大な為、一日を8分割で表記しています。
耕作と柔は陽子達が駅に向かいつつ時々振り返りながら手を振るのを見ていたが、
陽子達の姿が見えなくなると耕作は車を出した。
車が動き出すと柔は耕作の傍に近寄った。
耕作「近付いても良いけど、体には触れない様にしてよ。」
柔「大丈夫だってば~。」
柔「この前言われたから、あなたが運転してる時はしないよ~。」
耕作「これからもそうしてね。」
柔「分かってま~す。」
柔「それにしてもキョンキョンが来てくれて助かったな~。」
耕作「態々連絡しなくて済んだね。」
柔「そうね~、後は桜おねえちゃんに伝えるだけだね。」
耕作「余り無理強いしちゃ駄目だよ。」
柔「そんな事しなくても来てくれると思うんだけどな~。」
耕作「まあ、あの人の性格からするとそうなりそうだね。」
耕作「ところで、食事会だけで済ませるの?」
柔「アルコールは無しだから、デザート位は出さないといけないかな~。」
耕作「だよな~、何か買っておこうか?」
柔「それが良いかも、作るって言ってもあの人数だから大変そうだし。」
耕作「そういえば・・。」
柔「な~に~?」
耕作「あ、いや、もう直ぐ会社だから帰って聞く事にするよ。」
柔「気になるな~、でも、仕方ないか。」
柔「帰ったら必ず聞いてね。」
耕作「ちゃんと聞くよ、俺も確認したい事だから。」
耕作は鶴亀トラベルの駐車場に止めて先に降りドアを施錠して助手席のドアを開けて柔を降ろし
柔から荷物を受取るとそこも施錠した。
柔「今日はあたしが持って行ってあげるね~。」
耕作「良いのかな?」
柔「良いのよ~、課長にはあたしからちゃんとお話しておくから。」
耕作「じゃあ、お願いしようかな。」
耕作が柔に車のキーを渡すと柔は耕作に手を振りながら裏口から支店内に入って行った。
耕作「(明日は俺が持って行くか。)」
耕作「(あっ、そうか、柔道着の件が有るから持って行くって言ったのか。)」
耕作「(忘れないうちに話しておくつもりだな。)」
耕作「(帰ったら色々話す事が有るな~。)」
耕作「全部話せるかどうか分からないけど。)」
耕作「(少なくとも今夜の事と聞きたかった事は忘れない様にしないと。)」
耕作「(さっき、俺が聞こうとした時の返事の仕方からすると今夜は昨日話した通りだな。)」
耕作「(違うかもしれないから、一応、確認だけはしておかないとな。)」
柔が裏口から出て来て耕作の傍に来ると耕作の手を取って表通りへ歩き始めた。
柔「待たせちゃったね~。」
耕作「いや、結構早かったよ。」
柔「そう?」
耕作「柔道着の事を話したんでしょう?」
柔「良く分かったね~。」
耕作「陽子さん達の頼みだから早めに話すと思ったんだ。」
柔「そうなの、忘れたら大変だからね~。」
柔「それよりも、早く戻りましょう?」
耕作「どうしたの?今日はやけに急いで帰ろうとしてるけど。」
柔「さっき、あなたが聞こうとしてた事が気になるからよ~。」
耕作「その事で急いでるのか・・。」
耕作「聞いたら拍子抜けする様な事かも知れないよ?」
柔「それでも良いの、早く聞きたいから戻ろう~。」
耕作「分かった、分かったから余り引っ張らないでくれよ。」
柔「じゃあ、急ぎ足でね~。」
耕作「そうするしか無さそうだ。」
柔は耕作を引っ張る様に表通りに出るとタクシーを止めて乗り込み実家へ戻って行った。
柔は実家の前でタクシーを止めて耕作と一緒に降りると木戸を潜り玄関に入った。
柔「ただいま~、戻ったよ~。」
耕作「今、戻りました。」
奥から玉緒が返事してきた。
玉緒「お帰りなさい、上に上がって休んでて良いわよ。」
柔「そうするね~。」
柔と耕作は玄関を上がってお互いの腰に手を回し寄り添って2階へ上がって行った。
2階へ上がり部屋に入ると2人は腰から手を離し耕作は柔の荷物を置いてベッドに座った。
柔はお茶とコーヒーを注いでコーヒーを耕作に渡しながら寄り添って座った。
耕作「コーヒーありがとね、それと今日もお疲れさん。」
柔「あなたこそ、長い時間お疲れ様でした。」
柔「・・・。」
柔は黙って耕作を見詰めた。
耕作「分かってるよ、さっき俺が何を聞きたかったかしょう?」
柔「うん、何を聞きたかったの?」
耕作「アメリカに居る時もだったけど・・。」
耕作「こっちに戻ってからも君がデザートを作るとこを見て無い気がするんだよね。」
柔「良く覚えてるね~。」
耕作「もしかして・・。」
柔「そうなのよ~、あたし、デザートは作った事が無いの~。」
耕作「やっぱりか、でも、それって、ここで食べる人が居ないからじゃないの?」
柔「うん、だから、作らなくて良いかなって。」
耕作「レシピが分かれば作れるよね?」
柔「味の保証無して良ければ・・。」
耕作「俺はそれでも食べたい気がするけど、皆に食べさせるとなると・・。」
柔「そうだよね~。」
耕作「キョンキョン達の中に居ないのかな?」
柔「デザートを作れる人が?」
耕作「最悪は陽子さん達の誰かでも良いんじゃないかな。」
柔「それしかないか。」
柔「キョンキョン達に聞いて駄目だったら陽子さん達にお願いするしかないね。」
耕作「それで良いと思うよ、手伝いたいって言ってたし。」
耕作「それに、そういう事も含めて親睦会をやった方がより親密になれるんじゃないかな。」
柔「それもそうね、皆でワイワイするのも有りかな。」
柔「あたしも勉強になるからそうするね。」
耕作「そうしてくれると俺も嬉しいよ。」
耕作「君の料理のレパートリーも増える訳だし。」
柔「あなたが喜んでくれるから頑張る~。」
耕作「頑張り過ぎないでね、普通にやれば良いから。」
柔「うん、分かってま~す。」
柔、耕作「・・・。」
柔、耕作「ところで・・。」
柔、耕作「あっ・・。」
柔「あなたからどうぞ。」
耕作「いや、君から先で良いよ。」
柔「じゃあ、同時に言いましょうか。」
耕作「そうだね。」
柔「今夜はどうするの?」
耕作「今夜は如何しようか。」
柔、耕作「ふふふ、同じ事考えてたね。」
耕作「どう?昨日言ったままで良いんだよね?」
柔「あなたがそれで良いなら、あたしは構わないよ。」
耕作「分かった、じゃあ、風呂に入るとこからだね。」
柔「うふふ、そうね、一緒に入ろうね~。」
耕作「まあ、何時も一緒には入ってるけど。」
柔「そうなんだけど~、気分を盛り上げる様にしようね~って事だよ~。」
耕作「分かってるって、色々するんだよね。」
柔「あたしは色々なんて知らないもん。」
耕作「一緒にって事だよ。」
柔「うふ、そうね、色々教えてね?」
耕作「以前も言ったと思うけど、俺も余り知らないからね。」
柔「あなたの知ってる範囲で良いから教えて?」
耕作「それで良いなら教えるよ。」
柔「どうすれば気持ち良くなるとか?」
耕作「まあ、そうなんだけど、そればかりじゃね~。」
柔「あたしもあなたに何かしてあげたいな~。」
耕作「いや、それはもう少し経ってからで良いよ。」
柔「どうして?」
耕作「早いとかじゃなくて、色々分かってきてからで良いと思ってるんだ。」
柔「あなたがそう言うなら言う通りにするね。」
耕作「そうしてくれると助かるし嬉しいよ。」
柔「あなたが求めるまでは、あたしからは何もしない様にします。」
耕作「ありがとう、そう言ってくれるだけで十分だから。」
耕作は柔の頭を優しく撫でた。
柔「うふ、嬉しいな~。」
耕作「ただし・・。」
柔「明日の朝練が有るから早く寝るんだよね?」
耕作「ふふ、分かってるなら大丈夫だな。」
柔「それと・・。」
耕作「余り激しい動きはしない様に~。」
柔「あは、そうね、明日の支障にならない程度にって事ね。」
耕作「それも有るけど、君の体の事も考えたらそうしないといけないかな。」
柔は耕作の肩に頭を預けた。
柔「ありがとう~、何時もあたしを気遣ってくれて。」
耕作「それは当然だよ、君は俺にとって大事なパートナーなんだから。」
柔「それはあたしも同じだよ、あなたはあたしの大切なパートナーなんだもん。」
柔「ね~?」
耕作「うん?」
柔は耕作の肩から頭を外すと耕作を見詰めて目を瞑った。
耕作はそれに応えて片手を柔の頬に添えると優しく長めのキスをした。
柔「はぁ~、ありがとう~、あたしのお誘いを受けてくれて。」
耕作「君こそ、誘ってくれてありがとう。」
柔「以前もそうだったけど、これからもお互いの事を確認したら誘うね。」
耕作「そう言えば、以前も同じ様にしてたか。」
柔「そうね、最近はあたしがお誘いを掛けてるけど。」
耕作「その方が良いかも。」
耕作「分かってても躊躇しなくて済むから。」
柔「そう言えば、最初の頃は少し間が有ってキスしてた様な・・。」
耕作「あの頃は仕方ないよ、ほんとにキスして良いか迷ってた時期だし。」
柔「こっちに戻ってきて少ししたら積極的にキスしてくれる様になったから安心したのよ。」
耕作「そうだったのか、不安にさせてごめんよ。」
柔「ううん、あなたの性格は良く分かってるつもりだったから平気だったよ。」
耕作「それなら良かった、不安にはなって無かったんだね。」
柔「そうだよ、少し可笑しさが込み上げてたけど。」
耕作「可笑しかったの?キスを躊躇ってるのが?」
柔「そう、あなたらしいな~って思ってね。」
耕作「そう言う事か。」
耕作「そろそろ降りようか、呼ばれる前に。」
柔「もう呼ばれる事は無いと思うけど、そうしましょう。」
柔は立ち上がって一緒に立ち上がった耕作からカップを受取ると急須を持ち、耕作は
ポットを持って柔と一緒に寄り添いながら下に下りていった。
下に下りた2人は台所へ行き耕作は流しの横にポットを置いて椅子に座った。
柔はカップと急須を洗ってカップは食器棚に直し急須に新しい茶葉を入れて
お茶を2杯注ぐと片方を耕作に渡しながら隣に座った。
耕作「お茶、ありがとね。」
耕作「柔?」
柔「な~に~?あなた~。」
耕作「顔がにやけてるのは直した方が良いよ。」
柔「え?あたし、そんなににやけてる?」
耕作「うん、口元が緩んでる。」
柔「だって~、仕方ないじゃない~。」
耕作「どうして?」
柔「今夜の事を考えたら、こうなっちゃうよ~。」
耕作「それは今は考えない様にしないと、玉緒さんにバレちゃうと思うんだけど。」
柔「あ~、それは無理。」
耕作「何で無理なの?」
柔「おかあさんは勘が鋭いから、あたしの表情に関係無く分かっちゃうと思うの。」
耕作「そうか、なら、仕方ないか。」
柔「あなただって目が笑ってるからね?」
耕作「しまった、俺もか、君の事を言えないな。」
柔「良いんじゃない?だって2人は夫婦なんだもん。」
耕作「まあ、そうなんだけど・・。」
柔「さっき、上で話してた事に関してだけど。」
耕作「今夜の事?」
柔「違うよ~、ここでそのお話をするのは危ないよ~。」
耕作「それもそうか。」
柔「あのね?やっぱり、デザートは作るんじゃなくて、買って来た方が良いと思うのよね~。」
耕作「あ~、そっちね、でも何で買った方が良いの?」
柔「時間が掛かるのも有るし、皆に余り手を掛けさせたくないからかな。」
耕作「なるほど、デザートを作る時間を会話の時間にしたいって事なんだね。」
柔「そうなの、その方が良いと思うんだけど、駄目かな?」
耕作「君がそう考えるならそれで良いよ。」
耕作「ワイワイ作るのもって言ったけど、全員が台所に入れるわけじゃないし。」
柔「うん、だから、出来るだけ皆で顔を合わせる時間を増やしたいな~って。」
耕作「分かった、デザートは前日に買っておこう。」
柔「あたしも一緒に買いに行くね。」
耕作「勿論だよ、君が一緒じゃないと俺は何を買って良いか分からないから。」
柔「あたしも余り知識は無いけど、それでも良いの?」
耕作「一緒に行きたいのは俺も同じ気持ちだよ。」
柔「そうだよね、一緒に行こうね。」
玉緒がやって来た。
玉緒「また、ここで話し込んでたのね。」
玉緒「上で話してて良かったのに。」
柔「早目に降りるって決めたから。」
玉緒「それなら今のままで構いませんよ。」
柔「もう作り始めるの?」
玉緒「そうしようかと思ったから来たのよ。」
柔「分かった~、あたしも一緒に作るね。」
玉緒「お願いね、頼りにしてるわよ。」
柔「任せて~。」
柔は立ち上がって玉緒と今夜の献立に付いて話し始めた。
耕作「(玉緒さん、どこまで俺達の会話を聞いてたのかな?)」
耕作「(確認したいけど、玉緒さんもほんとの事は言わないだろうから無駄か。)」
耕作「(柔もそれに関しては聞いてない様だし止めた方が良いな。)」
耕作「(キョンキョンに頼まれた友人挨拶も考えておかないといけないな。)」
耕作「(柔と一緒に考えた方が良い案が出そうだから、後で話してみるか。)」
耕作「(良く考えたら今度の日曜は結構忙しくなりそうだ。)」
耕作「(月曜に渡す妊娠公表の原稿も書かないといけないんだよな~。)」
耕作「(月曜は月曜で知らせるべき人達に知らせないといけないし。)」
耕作「(俺の両親には日曜に電話で話しておくかな。)」
耕作「(富士子さんには合同練習の時に柔が話すだろうな。)」
耕作「(祐天寺監督には俺たち二人で監督室で話して、そのまま協会にも連絡して貰うか。)」
耕作「(玉緒さんと滋悟朗さんには日曜に火曜に公表する旨を伝えておかないといけないな。)」
耕作「(こう考えると土曜から色々と忙しくなりそうだ。)」
耕作「(柔に確認しておくか。)」
耕作「柔?ちょっと手を休めてこっちに来てくれないかな?」
柔「良いけど、ちょっと待ってね。」
柔「おかあさん?良いよね?」
玉緒「構いませんよ。」
柔が料理を中断して耕作の元に来たので手招きして柔に耕作の直ぐ傍まで近付く様に促した。
柔「何?内緒のお話なの?」
耕作「そうなんだ。」
耕作「来週の火曜に君の妊娠の事を公表するのを玉緒さんと滋悟朗さんに何時伝えようかと
考えてるんだけど。」
柔「今日でも良いんじゃない?」
耕作「それで良いの?」
柔「身内なんだから早目で良いと思うよ。」
耕作「じゃあ、君から切り出してくれないかな?」
柔「良いよ、ご飯食べてる時に話してみるね。」
耕作「頼むよ、俺が言っても良いけど君の方が良いかなって思ったから。」
柔「そうかもね、安心して?必ず言うから。」
耕作「分かった、手を休ませてごめんよ。」
柔「気にしなくて良いよ、大事なお話なんだもん。」
耕作「ありがとね。」
柔「じゃあ、お料理の続きをしてくるね。」
耕作「頑張って。」
柔「は~い。」
柔は玉緒の傍に戻ると料理の続きを再開した。
耕作「(良かった、柔に確認して。)」
耕作「(こういう時、柔の決断の早さに助けられるな。)」
耕作「(柔道の技を繰り出す時みたいに早いもんな~。)」
耕作「(後は原稿を編集長に渡す時間か~。)」
耕作「(早い方が良いから朝一で渡したいんだが・・。)」
耕作「(月曜だけ朝は別行動にするかな?)」
耕作「(これも柔と相談してた方が良いか。)」
耕作「(月曜になっていきなり言うと剝れそうだし。)」
耕作「(この件に関しては晩ご飯を食べ終わった後に話してみよう。)」
耕作「(おっと、そろそろ食器を用意しておくか。)」
耕作は立ち上がって食器棚の傍に行くと柔に声を掛けた。
耕作「柔?今日はどの食器を出せば良いかな?」
柔「あっ、ごめんね。」
柔「えっと~、今日は~、中皿の深めのを4枚と小皿を4枚、後は小鉢を4つと何時もので良いよ。」
耕作「分かった、テーブルの上に出しておくから。」
柔「お願いね、ありがとう~。」
耕作は柔に言われた食器を用意してテーブルの上に並べて置いた。
耕作「これで良いかな?」
柔「うん、それで良いよ。」
玉緒「耕作さん、何時もすみませんね。」
耕作「いえいえ、これ位は手伝わないといけないと思ってますから。」
玉緒「そうかも知れないけど、助かりますよ。」
柔「そうだよ、食器を用意する時間を料理に振れるから助かってるよ。」
耕作「そう言って貰うと手伝い概が有るかな。」
柔「座って待ってて、もう直ぐ出来上がるから。」
耕作「分かった、そうするよ。」
耕作は柔に促される様にして椅子に座った。
耕作「(そうなのか、時間を有効に使えるなら今迄も手伝ってて良かったんだな。)」
耕作「(今後、柔が身重になったらやらないといけないから慣れておいた方が良いか。)」
耕作「(柔と玉緒さん、何か楽しげに話してるけど、ここからは聞こえないな。)」
耕作「(後で柔に玉緒さんと何を話してたのか聞いてみよう。)」
柔「出来た~。」
玉緒「今日は柔に大半作って貰ったわね。」
柔「偶にはね?」
柔「あなた?お待たせ~、今から盛り付けするね。」
耕作「分かったけど、急がなくて良いよ。」
耕作は立ち上がってお盆を用意した。
柔「あなたはそれでいけど、向こうで待ってる人も居るから。」
耕作「そうか、余り待たせちゃ悪いな。」
柔と玉緒は料理を皿に盛り付けしていって、それが終わる柔はご飯を玉緒は吸い物を用意した。
耕作はその間に料理が盛り付けられた皿を手際よくお盆に載せていった。
柔「はい、これで全部終了~。」
玉緒「耕作さん、ありがとう、持って行きましょうか。」
耕作「はい、分かりました。」
柔達はお盆を手分けして持つと居間へ持って行った。
柔達が居間へ料理を持って行くと待ち兼ねた様に滋悟朗が声を掛けてきた。
滋悟朗「おお、出来たか、待っておったぞ。」
玉緒「直ぐに配膳しますから、少し待って下さいね。」
滋悟朗「それ位は待つぞい。」
柔達は料理が盛り付けられた食器を手際良く座卓の上に置いて行くとそれぞれの場所に座った。
滋悟朗「それぢゃ、頂くとするかの。」
4人「いただきます。」
滋悟朗「今日のも美味いのう。」
玉緒「大半を柔が作ったんですよ。」
滋悟朗「そうか、柔よ、料理の腕前も更に上がった様ぢゃな。」
柔「うふ、素直にお礼を言うね、ありがとう、おじいちゃん。」
玉緒「おとうさん?柔から大事なお話が有るそうですわよ。」
滋悟朗「そうなのか?柔。」
柔「え?あっ、えっと・・。」
柔「あのね、来週の火曜にあたしの妊娠に関する記事を出すそうなの。」
柔「そうよね?あなた?」
耕作「え?俺?」
柔は耕作に目配せをした。
耕作「そうでした。」
耕作「今度の土曜に桜さんの病院に検査に行くんですけど。」
耕作「それ次第で記事にして公表しようかと思ってます。」
柔「検査で可能性有りになった時だけだけどね。」
滋悟朗「そうなのか?玉緒さんは聞いておったのか?」
玉緒「検査に行く事は聞いてましたけど、公表までは聞いてませんわ。」
滋悟朗「そうか、して、柔よ、どうなんぢゃ?」
柔「検査するまで分からないって桜おねえちゃんが言ってたの。」
柔「でも、今迄の経験から妊娠してる可能性は高いって言ってたよ。」
滋悟朗「なるほどのう、専門医が言うんぢゃ、間違いは無かろうて。」
柔「そうなった時は公表しても良いよね?おじいちゃん?」
滋悟朗「それは当たり前ぢゃろう。」
滋悟朗「ただ、その前に知らせるべき人達には知らせんといかんがな。」
柔「それに関しては主人と相談して早目に知らせる様にしてるよ。」
滋悟朗「それなら、儂は公表に付いては全然構わんぞ。」
柔「結果は土曜に検査に行って帰ってから直ぐ知らせるね。」
滋悟朗「ああ、分かった、良い知らせを聞けると良いがな。」
玉緒「私も楽しみにしてるわよ。」
柔「あ~、責任重大だ~。」
耕作「いや、君が責任を感じる事は無いよ。」
玉緒「耕作さんの言う通りよ、あなたが責任を感じなくても良いのよ。」
滋悟朗「そう言う事ぢゃな、2人が言う様に気楽に構えておけば良いんぢゃよ。」
柔「そう言って貰えると、気が休まるな~。」
耕作「桜さんの言葉を信じて気軽に診察を受ければ良いんだよ。」
柔「そうね、あなたの言う通りだね。」
滋悟朗「柔よ。」
柔「な~に?おじいちゃん。」
滋悟朗「それまでは余り無理せん様にな。」
柔「うん、それは心掛けてるよ。」
玉緒「もし出来てたら今後も無理はしちゃ駄目よ。」
柔「そうだね、主人とも如何すれば一番良いかをちゃんとお話するよ。」
柔「後、桜おねえちゃんの病院にも定期的に行く様にするから安心してね。」
滋悟朗「それが良かろうな、桜ちゃんに任せておけば大丈夫ぢゃろう。」
玉緒「おとうさん?耕作さん?お替りは如何ですか?」
滋悟朗「今日はこれで良いぞい。」
耕作「俺も十分頂きました。」
玉緒「それじゃ、これでお食事は終わりにしても構いませんか?」
滋悟朗「良いんぢゃなかろうかの。」
4人「ごちそうさまでした。」
柔「お粗末様でした。」
玉緒「柔?無理そうなら私が片付けましょうか?」
柔「ううん、まだ大丈夫だから、あたしが片付けるよ。」
玉緒「分かったわ、お願いね。」
柔「任せて。」
滋悟朗「どれ、風呂の用意が整うまで部屋で休むとするかの。」
玉緒「出来るだけ早く用意しますわ。」
滋悟朗は自室に戻っていき、玉緒は風呂の用意をする為に風呂場へ向かった。
柔「あなた?あは、もう大半持ってるし。」
耕作「それはそうさ、残りだけ持って来てね。」
柔「は~い。」
柔と耕作はお盆に食器類を載せて台所へ持って行った。
耕作は台所に着いて食器を流しの中に置きお盆を食器棚の上に置くと椅子に座った。
その間に柔はお湯を沸かして耕作にお茶を入れて渡し食器類の片付けを始めた。
耕作「お茶、ありがとね。」
柔「直ぐ終わるから、ちょっと待っててね。」
耕作「何時も言ってるけど・・。」
柔「慌ててはしないから大丈夫よ。」
耕作「ふふ、そういう事だね。」
柔「色々とお話したい事が有るから終わったら直ぐに上に上がりましょう?」
耕作「そうだな、俺も話したい事が色々有り過ぎる位だよ。」
柔「終わったよ~。」
耕作「今日はまたやけに早く終わらせたな~。」
柔「さっきも言ったでしょう?」
耕作「早く話したいから急いだんだ。」
柔「そう言う事なの~。」
柔がぽ途にお湯を入れると、それを耕作が持ち柔はカップ2つと急須を持って
寄り添う様にして2階へ上がって行った。