柔と耕作(松田)の新婚日記 24日目 (午後編第1部

            文書量(文字数)が膨大な為、一日分割で表記しています。
           *一部修正:車の乗り方が可笑しかった部分



外に出た柔と耕作は食事する場所を探しながら先程の事について話していた。

柔「ね~、あなた?さっきの部員達なんだけど、どう思った?」

耕作「どうって?」

柔「気になる子とか居た?」

耕作「柔道をやってた訳じゃないから分からないよ。」

柔「うふ、あなたって、ほんとにあたし以外には興味が無いのね。」

耕作「あ~、そういう意味での気になるって聞いてたのか。」

柔「そうに決まってるじゃない。」

耕作「もう何度も言ってるけど?君以外には興味が無いって。」

柔「そうだったね、ごめんね?変な事聞いて。」

耕作「いや、君が俺の事を気に掛けて聞いてるって分かってるから気にして無いよ。」

耕作「俺としては、それが嬉しいかな。」

柔「あたしも嬉しいよ?あたしにしか興味無いって言ってくれるから。」

耕作「それは俺としては当然の事だからね。」

柔「あたしだって、あなたしか見てないよ。」

耕作「そうだったね、2人は何時も同じ気持ちって事だね。」

柔「そうそう、どんな時でもお互いを気に掛けてるし。」

耕作「食事だけど、あそこのお店で良いかい?」

柔「あそこって喫茶店だけど食べる物って有るのかな?」

耕作「軽食って書いてるから有るんじゃないの?」

柔「まあ、良っか、入ってみれば分かるから。」

耕作は喫茶店のドアを開けると柔を先に入れて自分も後に続いた。

店員「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

耕作「2人です。」

店員「畏まりました、こちらへどうぞ。」

柔達は店員に案内されて2人用のテーブルに座った。

店員「そちらにメニューが御座いますので、ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さい。」

柔「はい、分かりました。」

店員は所定の場所に戻って行った。

柔はメニューを手にすると何が有るかを耕作と一緒に見た。

柔「何にする?」

耕作「君は何を食べたいの?」

柔「そうね~、このメニューの中なら・・、オムライスで良いかな?」

柔「あなたは?」

耕作「俺はカレーにしとくかな。」

柔「分かった~。」

柔は店員に合図して店員が来ると注文の品を伝えた。

店員「畏まりました、少々お待ち下さい。」

店員は厨房に注文の品を伝える為に戻った。

柔「何でカレーを頼んだの?」

耕作「君が作ったのと味を比べようかと思ったんだ。」

柔「お店のに勝てる訳無いよ~。」

耕作「いやいや、君が作ったのってお店で出しても可笑しく無い位美味しいよ。」

柔「もう~、そんなに褒めても何も出ませんからね~。」

耕作「君の笑顔が見られたから、俺はそれで満足だよ。」

柔「しまった、また、あなたの策略に引っ掛かってしまったか~。」

耕作「策略は酷いな~、俺は素直な感想を言っただけなのに。」

柔「分かってるよ~、冗談に決まってるじゃない~。」

柔「あっ、もう持って来た。」

店員「お待たせしました。」

店員は耕作の前にカレーを置き、柔の前にはオムライスを置いた。

店員「以上で間違い御座いませんか?」

柔「はい、間違いありません。」

店員「それでは、ごゆっくりどうぞ。」

柔「ありがとうございます。」

店員は再び所定の場所に戻った。

柔「食べようか?」

耕作「そうだね。」

柔、耕作「いただきます。」

柔「わ~、これ美味しい~。」

耕作「このカレーも美味しいよ。」

柔「ほんと?」

耕作「一口食べてみて?」

柔「うん、食べた~い。」

耕作は自分のスプーンでカレーをすくい柔の口に持って行った。

柔「うふ、ありがとう~。」

柔はそのスプーンを口に含んでカレーを食べた。

柔「ほんとだ~、美味しいね~。」

柔「これも食べてみない?」

耕作「良いの?」

柔「今のお返しだよ~。」

柔も自分のスプーンでオムライスをすくって耕作の口に持って行った。
耕作も柔が差し出したスプーンを口に含んでオムライスを食べた。

耕作「ほんとだね、でも、これ位なら君にも作れると思うよ。」

柔「そうかな~?」

耕作「あの卵焼きが作れるんだから、大丈夫だよ。」

柔「うふ、なら、今度作ってみようかな~。」

耕作「是非、お願いしたいな~。」

柔「分かった~、今度、機会を見て作るね。」

耕作「楽しみにしてるよ。」

耕作「そう言えば、さっき、君が言ってた親睦会、今度の日曜って言ってたけど。」

柔「そうだね、帰ったら、おかあさんとおじいちゃんに話しておかないといけないね。」

耕作「お昼を兼ねてとかになるのかな?」

柔「その方が良いでしょう?」

耕作「そうだね、未成年の人も居そうだからアルコール無しでするなら、それが良いと思うよ。」

柔「未成年の人って居ないと思うんだけど?」

耕作「どうして?」

柔「だって、温子さん以外は全員短大卒だよ?」

耕作「もうそんな事まで聞いてたのか、さすがだね。」

柔「でも、あなたが言う様にアルコール無しの方が良いかもね。」

柔「飲むと下手したら泊めないといけなくなりそう。」

柔「それに飲めない人も居るかも知れないね。」

耕作「後、飲むと君みたいに人が変わる子も居るかもしれないし。」

柔「え~、あたし、そんなに人が変わるの~?」

耕作「まあ、良い方に変わるから問題無いんだけど。」

耕作「ただ、その姿は人には見せない方が良いと思うよ。」

柔「あなただけが知っていたいから?」

耕作「そうだけど、駄目かい?」

柔「ううん、2人だけの秘密にするなら、それで良いよ。」

耕作「良かった、君と俺だけの秘密にしとうこうね。」

柔「そうしようね~。」

柔「あ~、美味しかった~。」

耕作「結構な量有ったから、お腹一杯だよ。」

柔、耕作「ごちそうさまでした。」

柔「何か飲む?」

耕作「飲むとしてもコーヒー位かな?」

耕作「君は?」

柔「ミックスジュースが有ったから、それにしようかな。」

耕作「分かった。」

耕作が店員に合図を送ると店員がやって来た。

店員「何かご注文でしょうか?」

耕作「コーヒーとミックスジュースをお願いします。」

店員「畏まりました、こちらはお下げしても構いませんか?」

耕作「お願いします。」

店員「それでは少々お待ち下さい。」

店員はカレーとオムライスの食器を持って厨房に注文を伝えに行った。

柔「時間大丈夫かな?」

耕作「少し早めに出て来てるから大丈夫じゃない?」

柔「この後って柔道場に移動して、そこで練習になるんだよね?」

耕作「いや、俺は知らないから何とも言えないけど、予定ではそうなってるんでしょう?」

柔「あは、あなたに聞いても分からないよね、ごめんね~。」

柔「多分、午後からは練習時間に当てて良いって言われてるから、そうなるのかな~。」

耕作「俺が送るのって、ここから道場までと道場から西海大、その後ここに戻れば良いんだよね。」

柔「それで良いと思うよ。」

柔「皆も自分の荷物は支店の更衣室に置いてると思うから。」

柔「もし荷物を全部持って来てたら最寄りの駅かバス停まで送れば良いんじゃないかな。」

耕作「なるほど、それについては、皆に確認しないといけないんだね。」

柔「そうなるかな。」

店員が注文の品を持ってやって来た。

店員「お待たせしました。」

店員はコーヒーを耕作の前に、ミックスユースを柔の前に置いた。

店員「以上でよろしかったでしょうか?」

柔「はい、ありがとうございます。」

店員「ごゆっくりどうぞ。」

店員は再び所定の場所に戻った。

耕作「この後はさっきの部屋に戻れば良いんだよね?」

柔「うん、皆もあそこで食事してると思うよ。」

耕作「そう言えば、羽衣さんって午後から何するんだろう?」

柔「例のプロジェクトの方に戻るんじゃない?」

耕作「それもそうか。」

耕作「任せてると言ってただけで、責任者から外れてる訳じゃないか。」

耕作「しかし、何時まで続けるんだろう?」

柔「他の人から聞いたんだけど、国外は通常に戻すけど、国内のあなたのご実家へのは
  そのまま継続するそうよ。」

耕作「何でだろう?」

柔「あたし達が新婚旅行に行ってたのも有るけど、お母様の料理講習が人気なんだって。」

耕作「そうなのか、キョンキョンに感謝だね。」

柔「そうだよね~、発案者はキョンキョンだから。」

柔、耕作「あっ・・。」

耕作「君も気が付いたみたいだね。」

柔「うん、もしかして今度の日曜にキョンキョン達も来るかもしれない。」

耕作「そうなった時は、どうしたもんかな~。」

柔「別に良いんじゃない?」

耕作「どうして?」

柔「お料理をキョンキョン達にも手伝って貰って一緒にお昼にすれば良いと思うよ。」

耕作「君はそれで良いだろうけど、部員達がどう思うか。」

柔「大丈夫よ、あたしが上手い事言い包めるもん。」

耕作「確かに、君に任せておけば安心かな。」

柔「任せて、ちゃんと皆には上手く話すから。」

耕作「どれ、そろそろ戻ろうか?」

柔「そうだね、余り待たせちゃ悪いし。」

柔と耕作は席を立つと耕作が会計を済ませて2人は店の外に出た。

柔「急いで戻りましょうか。」

耕作「そうするか。」

2人は大急ぎで支店へ戻って行った。



支店に着いた2人は皆が待つ部屋へ急いだ。
部屋の前に着くと柔がドアを開け自分が先に入って耕作を招き入れた。

柔道部員達「お帰りなさい。」

陽子「早かったですね。」

雅「ゆっくり出来ましたか?」

温子「楽しんできましたか?」

柔「ただいま、ゆっくり出来たし、十分に楽しんできたよ。」

柔「課長は?」

恵美「まだ戻ってきてません。」

柔「そうなんだ、じゃあ、戻ってきて報告したら出掛けましょうか。」

柔道部員達「分かりました。」

柔「そうだ、皆は荷物は全部持って行くの?」

由紀「はい、そのつもりですけど。」

柔「じゃあ、帰りは一度ここに戻らなくても良いのかしら?」

陽子「それについては課長に確認した方が良いかもしれません。」

柔「分かった、あたしが確認するね。」

陽子「お願いします。」

羽衣課長が部屋に入ってきた。

柔達「お帰りなさい。」

羽衣「ただいま。」

羽衣「皆どうしたの?まだ休憩時間は有るよ?」

柔「主人が道場までの道は初めてなので、少し早めに移動しようかと思いまして。」

羽衣「そうだったか、松田さん?道は分かります?」

耕作「大凡は分かるつもりです、一度走れば確実に覚えるかと。」

羽衣「そうですか、それじゃあ、柔さんが言う様に早めに出た方が良いみたいですね。」

耕作「そうして頂ければ、余裕を持って行けると思います。」

羽衣「分かりました、それでお願いします。」

羽衣「これが車のキーです、一度こちらに戻って頂いて、私に返して貰えば良いですので。」

耕作「はい、お預かりします、それと必ず戻しに来ますから。」

羽衣「万一私が居ない時は社員の誰でも構いませんのでリースカーのキーと言って預けて構いません。」

耕作「分かりました。」

柔「あっ、課長?それと皆なんですけど練習が終わったら一度こちらに全員で戻ってこないと
  いけないんですか?」

羽衣「いや、態々戻ってこなくても良いよ。」

柔「と言う事は、他の人は最寄りの駅かバス停で降ろしても構わないんですね?」

羽衣「それで構わないから。」

柔「分かりました、その様にします。」

羽衣「もう出掛けるのかな?」

柔「課長のお許しが有れば、そうしたいと思います。」

羽衣「私の許しは必要ないよ?柔さんの判断で行動して構わないから。」

羽衣「その報告だけして貰えば柔さんの思う様にして良いから。」

柔「はい、今後はそうします。」

柔「それでは練習に行ってきます。」

柔道部員達「行ってきます。」

耕作「皆を送ってきます。」

羽衣「気を付けて行ってきて下さい。」

柔「はい。」

柔「それじゃ、皆行きましょう。」

柔道部員達「分かりました。」

柔と柔道部員達は各々の荷物を持つと耕作と一緒に駐車場へ向かった。



駐車場に着くと耕作は助手性と後部ドアを開けて柔道部員6人を後ろの座席に乗せて、
柔と陽子を助手席に乗せると自分は運転席に座った。

耕作「それじゃ、柔道場に向かうから。」

柔「お願いね。」

柔道部員達「お願いします。」

耕作は柔道場に向けて車を出した。



柔道場に向かう車中で柔道部員達が柔に話し掛けていた。

陽子「柔さん?今日はどういう練習をする予定なんですか?」

柔「今日は以前やってた練習をやって貰おうかな。」

雅「どうしてですか?」

柔「あたし、皆の柔道を見るのは初めてなんで、少し様子を見たいからなの。」

温子「技量を見たいという事なんですね?」

柔「そう言う事なの。」

恵美「じゃあ、明日からは柔さんが考えた練習方法でするんですね。」

柔「出来れば、そうしたいかな。」

柔「皆の技量が分かれば、どういった練習をすれば皆の技量を上げる事が出来るか分かるから。」

真紀「そうなんですね、明日から楽しみです。」

由紀「明日からは柔さんに直接指導して頂けるんですか?」

柔「直接指導はもう少し様子を見てからになるかも。」

美香「そうなんですか~、残念です。」

陽子「皆?柔さん一人で全員の相手はまだ早いと思うよ。」

温子「早いというか、私達の技量が上がらないと物足りないと思われるかも。」

柔「そんな事は無いよ?あたしは物足りないとか思ってやった事なんて無いから。」

雅「さすがです、柔さんって、驕らないで謙虚なんですね。」

柔「それは少し大袈裟だよ。」

柔「あたしは同じ柔道してる人には感謝と敬意を持ってお相手するから。」

由紀「敬意は分かるんですけど、何故感謝なんですか?」

柔「あたしの相手をしてくれてありがとうって思うから感謝なの。」

真紀「そう言う事なんですか、さすが、柔さんです。」

耕作「あ~、そろそろ道場に付くけど、まだ話を続けるなら中に入っての方が良いんじゃない?」

陽子「そうですね、分かりました、皆、続きは道場でしましょう。」

柔道部員達「分かりました。」

耕作は道場の駐車場に車を止めると先に降りて助手席と後部ドアを開けて柔達を降ろした。

柔「じゃあ、皆と一緒に着替えてくるから。」

耕作「俺は鴨田が来るまで、ここで待ってるよ。」

柔「分かった、じゃあ、来たら中に入ってきてね。」

耕作「そうするよ。」

柔達は柔道場に入ろうと扉を開けたが、柔だけは中に入る前に道場に一礼した。

陽子「柔さん?どうして一礼したんですか?」

柔「これ?道場に感謝を示す為に一礼してるの。」

温子「何故、感謝なんですか?」

柔「えっと、皆は試合開始前に相手に対して一礼するでしょう?」

雅「そうですね、やってます。」

柔「あれはどう言った気持ちでやってるの?」

恵美「よろしくお願いします的な感じでやってたかな?」

柔「他の人もそうなの?」

部員達「はい、そう思ってやってます。」

柔「そうなんだ。」

美香「柔さんは違うんですか?」

柔「あたしは少し違うかな?」

柔「さっきも言ったけど、自分の相手をしてくれてありがとうって感謝の意味で一礼してるよ。」

由紀「相手の方に感謝ですか?何故なんです?」

柔「何故かって言うと、相手が居ないと試合出来ないでしょう?」

真紀「それは当然ですね。」

柔「だから、あたしは今言った意味で一礼してるの。」

陽子「なるほど、柔さんの柔道に対する姿勢が良く分かりました。」

陽子「柔さんは柔道に関する全てに感謝をされてるって事なんですね。」

柔「そこまで大袈裟じゃないとは思うけど、そうなるかな?」

雅「素敵です、柔さん、全てに感謝か~、これからはそう思って望む様にします。」

温子「素晴らしいです、私も見習いたいと思います。」

恵美「確かに、有るべき物が無いと柔道って出来ませんよね。」

由紀「柔さんの柔道に対する姿勢を見習ってこれから実行します。」

真紀「私も見習います。」

美香「私も早速実行します。」

柔道部員達は柔を見習って道場に入る前に一礼した。

柔「じゃあ、中に入って着替えましょうか。」

柔道部員達「分かりました。」

柔達は中に入ると更衣室に入り着替え始めた。

陽子「え?柔さん全部着替えるんですか?」

柔「そうだけど、可笑しいかな?」

陽子「下着とかそのままじゃ駄目なんですか?」

柔「あ~、そうか、あなた達はこれ持ってないんだね。」

柔は皆にスポーツ用のインナーの上下を見せた。

温子「こんな物が有るんですか?」

柔「うん、スポーツ店に置いてあると思うよ。」

柔「ほら、上も下も伸縮性が良くて着易く出来てるよ。」

恵美「なるほど、これなら体にフィットするから動き易そうですね。」

柔「その通りだよ。」

柔「皆もこれに替えると動き易いから、今迄以上に技とかを掛け易くなると思うよ。」

雅「良いですね、今度買いに行こう~っと。」

陽子「じゃあ、皆で買いに行こうか?」

美香「そうしましょう。」

柔「バストサイズだけ注意して買えば良いよ、他は伸縮性が有るから。」

恵美「分かりました。」

柔はバスタオルを体に巻きスポーツ用インナーに着替えてバスタオルを外し畳むとバッグに直した。

由紀「柔さん、スタイル良いですね~。」

柔「多分、これ着てるお陰でそう見えてるのかも。」

温子「むむ、それなら尚更買わないと。」

真紀「私も今痛烈にそう思いました。」

柔「ほらほら、早く着替えないと、時間が無くなっちゃうよ。」

柔道部員達「はい、分かりました。」

柔に急かされて全員柔道着に着替えた。

柔「じゃあ、柔軟からトレーニングをやった後に今迄の練習を開始してね。」

柔道部員達「はい。」

柔道部員達が柔軟を始めた時に耕作と鴨田が道場に入ってきた。

柔「鴨田さん、いらっしゃい。」

鴨田「お邪魔するっす。」

耕作「鴨田、さっき言った様に柔中心に撮ってくれ。」

鴨田「了解っす。」

柔「あなた?あたしもやってくるね。」

耕作「分かった、頑張れよ。」

柔「うん、頑張る~。」

柔も柔軟をやった後にトレーニングを開始した。
その途端、柔道部員達の動作が止まり一斉に柔の方を見ていた。

耕作「(そうか、彼女達も柔がトレーニングする姿を見るのは初めてだったな。)」

耕作「(スピードに驚いてるんだろうな。)」

耕作「(動きを抑え気味とはいえ普通の人より遥かに速いから仕方ないか。)」

耕作「(いかん、このまま見続けさせてる訳にもいかないな。)」

耕作が柔を見ると丁度こちらを見たので指で柔道部員達の方を指すと、柔もそれに気が付いた。
柔はトレーニングを続けながら柔道部員達に声を掛けた。

柔「皆~、動きを止めたら駄目だよ~。」

陽子「あっ、はい、すみません。」

柔道部員達は我に返るとトレーニングの続きを始めたが視線は柔の方に向けたままだった。

耕作「(良かった、柔が気が付いてくれて。)」

耕作「(このスピードがどれ位落ちるのか覚えておかないと。)」

柔はトレーニングを終えると耕作の元に戻ってきた。

柔「終わったよ~。」

耕作「お疲れ様、良く気が付いてくれたよ。」

柔「ううん、あなたが教えてくれたから気付けたんだよ。」

耕作「しかし、これで益々君に直接指導して欲しくなったかもしれないね。」

柔「そうかもね~、でも、今は出来ないのよね~。」

耕作「そうだろうけど、以前、西海大でやった様な事は出来るんじゃない?」

柔「あ~、技封じとか空かしの事?」

耕作「そうそう、あれ位なら大丈夫じゃないの。」

柔「そうかも知れないけど、まずは皆の技量を見てからかな。」

耕作「確かに、それが分からないと対処のしようが無いか。」

耕作「皆もトレーニングは終わったみたいだよ。」

柔「そうだね、ただ、もう少しやった方が良さそうだけど。」

耕作「量が少ないって事?」

柔「量より質かな?もう少し色んなトレーニングをしないと駄目かも。」

耕作「その辺りは今後の課題だね。」

柔「そうね、明日からやり方を変えて貰うかな。」

耕作「ふふ、早速、変更点を見つけたのか、さすがだよ。」

柔「皆の為に良いと思う事は一応やって貰わないとね。」

陽子「柔さん、今から何時もやってる練習をしますけど、よろしいですか。」

柔「良いわよ、やってみて。」

陽子「分かりました、皆、柔さんが見てるからしっかりやらないと。」

柔道部員達「はい、分かりました。」

柔道部員達は何時もやっている練習を始めた。

柔「なるほど、人数が奇数だからこうやってるのか。」

耕作「奇数の場合はこれで良いの?」

柔「良いと言うか、こういう風にした方が効率的には良いかも。」

耕作「そう言うもんなのか。」

耕作「3人と4人に分かれて1人が2人と3人を順番に相手にするんだ。」

柔「そうだね、そしてこの後は相手にする人が交代するんじゃないかな。」

耕作「結構ハードじゃない?」

柔「そうだね、休む暇が無いから大変だと思うよ。」

柔「おじいちゃんが考えそうな練習方法だと思うよ。」

耕作「滋悟朗さんが考えた方法なんだね。」

柔「多分ね、あたしの時も休ませない様に交互に相手させられてたからね。」

耕作「それって、オリンピック強化合宿の時の事?」

柔「そうなの、もう大変だったよ。」

耕作「そうは言っても、君は息が全然上がって無かった様に見えてたけど。」

柔「まあね~、あれ位で息が上がってたら、その後に更にトレーニングさせられちゃうよ。」

耕作「昔から、君に対しては厳しかったんだね。」

柔「それは、あなたも知ってるでしょう?」

耕作「勿論さ、でも、復帰後は自分で考えてトレーニングやってたけど。」

耕作「あれも傍から見ると結構ハードだったと思うよ。」

柔「あの時は仕方ないよ、短期間で元に戻さないといけなかったし。」

耕作「それを今度もやらないといけないんだよな~。」

柔「前も言ったと思うけど、あれ以上の事をしないと駄目だと思うよ。」

耕作「そう言ってたね、俺もしっかりサポートするから。」

柔「お願いね~、あなたが頼りなんだもん。」

耕作「安心して任せてくれて良いよ。」

柔「そこは心配して無いよ。」

柔「あれ?もう終わったのかな?」

練習を終えた柔道部員達が柔の元にやって来た。

柔「もう全員が終わったの?」

陽子「はい、終わりました。」

柔「余り時間は掛けて無かったのかな?」

陽子「一応、1人につき2分でやってましたけど、短いですか?」

柔「それ位で良いと思うよ、それより長いと疲労度の方が心配だから。」

陽子「柔さんも同じ事を言われるんですね。」

陽子「滋悟朗先生がその時間でやりなさいと言う事だったので。」

柔「やっぱり、そうだったのね。」

雅「何故やっぱり何ですか?」

柔「練習方法を見てそうじゃ無いかと思ったからなのよ。」

温子「さすがです、練習を見ただけで、それが分かるなんて。」

耕作「ちょっと口を挟むけど良いかな?」

柔「うん?どうかした?」

耕作「柔?」

柔「え?あたし?」

耕作「そう、君だよ、もう皆の技量は分かってるんだよね?」

陽子「嘘~、あの練習を見ただけで分かるんですか?」

柔「あ~、言っちゃった~、駄目だよ~。」

耕作「あっ、今、言ったら駄目だった?」

柔「駄目って程でも無いけど、後で話そうと思ってたのに。」

恵美「柔さん?本当に全員の技量を把握されたんですか?」

柔「一応かな?但し全員の全ての技を見た訳じゃないから完全では無いけど。」

由紀「それでも凄いと思います。」

真紀「そうですよ、あの短い時間でそれが分かるなんて凄過ぎます。」

美香「本当ですよ、さすがは柔さんだって思いました。」

柔「もう、そこまで褒めなくて良いからね。」

柔「それより、この後はどうする予定なの?」

陽子「何時もなら2人で乱取りをするのを他の部員が周囲から見て色々指摘する様にしてました。」

柔「あら、私が他でやってた様な事をやってたのね。」

耕作「さすがは、師弟だけの事は有るね。」

陽子「そう言えば、柔さんから見て滋悟朗先生はそうなるんですね。」

柔「小さい頃からそうだったから師弟って言う感覚は無いかな~。」

温子「そうなんですか?」

柔「ただ孫に厳しい祖父だなとは思ってたけど。」

雅「ここでも相当厳しかったですよ。」

柔「そうでしょうね、昔から妥協は許さない人だったし。」

恵美「ところで、この後は如何すれば良いんでしょうか?」

柔「乱取りをするなら西海大に移動してそこでしましょうか。」

陽子「西海大の方と一緒にって言う事ですか?」

柔「そうだよ、先方には既に話してるから。」

温子「大学生の方とか~。」

耕作「皆、舐めてると痛い目に合うよ?柔が指導してた人ばかりだから。」

由紀「そうなんですか?良いな~、私も早く指導して欲しいです。」

美香「そうじゃ無くて、私達が敵わないかもしれないって事だよ。」

雅「そう言う事になるかもよ、油断しない様にね。」

真紀「はい、相手を見縊らない様に注意します。」

恵美「そうそう、気持ちを引き締めて掛かろうね。」

柔道部員達「はい、分かりました。」

柔「じゃあ、更衣室に行って荷物を取ってきて?」

柔「それでさっきの車で西海大に移動するから。」

柔「あなた?お願いね。」

耕作「任せて貰うよ、俺の運転はさっきので良く分かっただろう?」

柔「良~く、分かったよ、凄く安全運転だったのが。」

耕作「あっ、そうだった、鴨田、こっちに来てくれ。」

鴨田「何すか?」

鴨田が入り口付近から耕作の傍に来た。

耕作「皆に紹介しておくよ、うちの新聞社のカメラマンで鴨田と言う者だ。」

耕作「今後もずっと来ると思うのでよろしくお願いするよ。」

鴨田「鴨田と申します、よろしくお願いします。」

柔道部員達「こちらこそ、よろしくお願いします。」

耕作「一つだけ、まだ皆の撮影許可を貰ってないので撮れないんだ。」

耕作「許可を貰えたら今後撮影するかもしれないけど構わないかな?」

柔道部員達「勿論、構いません。」

温子「出来ればきれいにお願いします。」

恵美「こら~、温子~、自分だけなんて狡いぞ~。」

温子「そうでした、皆もきれいに撮ってあげて下さい。」

耕作「だそうだけど、鴨田?大丈夫か?」

鴨田「お任せ下さい、必ずきれいに撮りますよ。」

由紀「よろしくお願いします。」

真紀「私もお願いします。」

美香「もう、皆は~、柔道をやってる所だからきれいも何も無いと思うよ?」

雅「美香の言う通りだよ。」

雅「真剣に柔道をやってる姿なら、どんな撮り方でもきれいに写るから。」

柔「そう言う事だよ、皆、真剣にやらないとね。」

柔道部員達「分かりました。」

柔「じゃあ、更衣室に荷物を取りに行こうか。」

柔道部員達「はい。」

柔達は更衣室に荷物を取りに行った。

耕作「鴨田、色々大変だろうけど、頼むぞ。」

鴨田「任せて下さい、きっちり撮りますから。」

耕作「これから西海大に行くんだが先を走ってくれないか。」

鴨田「先導っすね、分かったっす。」

鴨田は先に道場を出て車に乗って待機した。

暫く待つと柔達が手に荷物を持って更衣室から出てきて耕作の元にやって来た。

柔「それじゃ、行きましょうか。」

耕作「分かった、皆、来た時と同じ感じで乗ってね。」

柔道部員達「はい、分かりました。」

耕作は先に道場を出ると車の所へ行きドアを開けて待機した。

柔達は道場を出る際に一礼して扉を閉めて駐車場へ行き車に乗ると鴨田の車が先に出て
耕作はその後に続く様にして車を出した。