柔と耕作(松田)の新婚日記 23日目 (午後編第1部

            文書量(文字数)が膨大な為、一日を分割で表記しています。




タクシーが実家の前に着いて停まると2人はタクシーから降りて木戸を潜り玄関に入った。

柔「ただいま~、戻ったよ~。」

耕作「ただいま、戻りました。」

玉緒が慌てた様子で奥から出てきた。

玉緒「あら、早かったわね、何か急用でも有ったの?」

柔「別に何も無いよ、それと十分に楽しんできたから。」

玉緒「楽しんできたなら良いけど。」

耕作「どうかしたんですか?」

玉緒「そうそう、桜さんから先程電話が有って『今、空港に着いたので一度家に戻ってから、
    後程お伺います。』って態々知らせてきたわよ。」

柔「やっぱりか~、そうだと思ってたんだ~。」

玉緒「それで急いで帰ってきたのね?」

耕作「はい、桜さんの事だから旅行から帰ったら必ずここに来るだろうと思ったので
    早目に戻ってきたんです。」

玉緒「そうだったのね。」

玉緒「柔?お弁当箱は私が洗っておくから、あなた達は上で休んでて良いわよ。」

柔「おかあさん、あたしが洗うから良いよ、どうせポットとか取りに行くから。」

玉緒「そうなの?分かったわ。」

柔と耕作は玄関から上がると玉緒と一緒に台所へ向かった。



台所に着くと柔はバッグから弁当箱を取り出してお湯を沸かすと流しで弁当箱をきれいに洗い
食器棚の上の戸棚に直した。

柔「おかあさん達はお昼は済ませたの?」

玉緒「ついさっき済ませたわよ、おとうさんはその後お部屋に戻ってますよ。」

柔「そうなのね、まだ済ませて無かったら一緒に手伝おうかと思ってたけど。」

玉緒「晩ご飯の時にお願いするわね。」

柔「分かった~、必ず手伝うから。」

玉緒「それじゃあ、私は居間を整えておくから、あなた達は上に行って休んでなさい。」

柔「うん、そうするね。」

耕作「そうさせて貰います。」

玉緒は居間を片付けに行った。

柔「予想通りだったね~。」

耕作「そうだね、早目に戻ってきて正解だった。」

柔「じゃあ、上に上がって待ってようか。」

耕作「そうするか、下で声がしたら下りれば良いし。」

柔がポットにお湯を入れると耕作がポットを持ち、柔は急須とカップ2つを持って
一緒に上に上がって行った。




部屋に入ると耕作はポットを机の上に置いて柔はお茶を注ぎコーヒーを淹れると
耕作にコーヒーを渡しながら一緒に寄り添ってベッドに座った。

柔「あなた、お疲れ様でした。」

耕作「コーヒー、ありがとね、君こそ色々大変だったね。」

柔「しかし、あたし達ってほんとに似た者夫婦だよね~。」

耕作「ふふ、そうだな~、2人とも何かしら忘れ物してたし。」

耕作「でも、カメラを持って来てくれてて凄く助かったよ。」

柔「サングラスは無くても、あたしだけの問題だから何とかなるけど。」

柔「カメラが無かったら2人で行ってた記録が残せなかったもんね。」

耕作「そうなんだよな~、何で俺忘れてたんだろう。」

柔「あれじゃない?あたしが上に上がった時にあなたに飛び付く様に抱き付いたから。」

耕作「そうなのかな?それだけで忘れるとは思えないけど。」

耕作「良く考えたら、カメラを忘れるなんて記者失格だな~。」

柔「そんな事は無いよ?」

柔「仕事で忘れたら、そうなんだろうけど、今日のは飽く迄私的な用事だったんだから。」

耕作「君にそう言われると少しは救われた気になるよ。」

柔「それに、あたし達は夫婦なんだよ?お互いに助け合うのは当り前じゃない?」

耕作「そうだったね、ただ、それを当然と思う様にならない様にしたいかな。」

柔「そうだね~、頼り切るって言うのも何か違う気もするしね。」

耕作「その点は君も俺もそこまで頼り切って無い気はするよ。」

耕作「あっ、料理に関しては俺は君に頼り切りだけど・・。」

柔「それはね~、仕方ないよ?」

耕作「分かってるよ?君は俺が住んでた所を何度も見てるから、俺の性格は把握してるし。」

柔「うふふ、あなたがあたしを頼ってるんじゃないんだよ?」

柔「あたしがあなたを放っておけないと思ってやってる事だから気にしなくて良いよ。」

耕作「以前の事も合わせて君にはほんとに感謝してるよ。」

耕作「今迄、ありがとう、改めて、これからもお願いします。」

柔「うふ、どうもご丁寧に、こちらこそよろしくお願いします。」

柔、耕作「ふふふ。」

柔「何か他人行儀みたいだね~。」

耕作「そうなんだけど。」

耕作「ほら、やっぱり、きちんとする時はした方が良いと思ったから。」

柔「あなたの言う通りね。」

柔「例え夫婦間でも礼儀は忘れたら駄目って事だよね?」

耕作「そう思うよ、今迄もこういうやり取りした事有ったし。」

耕作「礼儀云々で言えば、桜さんもそう言う所はちゃんとしてるよ。」

柔「そうね、態々事前に電話で今日来るって知らせてきてたもん。」

柔「でも、後からって、何時来るつもりなのかな?」

耕作「俺の予想だけど、以前、晩ご飯前に来てて一緒に晩ご飯を食べさせられたから、
    今日はこの後直ぐ位に来そうだよ?」

柔「うふ、あたしもそう思ってた。」

柔「この前は豪く恐縮してたし。」

耕作「こんな言い方すると桜さんに悪いけど、あんな話し口調なのに妙に遠慮する所が有るよね。」

柔「あなた~、そこは奥床しい位言ってあげないと~、可哀想だよ~。」

耕作「なるほど、君が言う通りだね、奥床しいか~。」

耕作「でも、君もそうだよね?」

柔「え?あたし?そうかな~?」

耕作「だって、外で一緒の時は俺を立ててくれてるじゃない?」

柔「言われてみれば、そうやってたね。」

耕作「それって、やっぱり、玉緒さんの影響なの?」

柔「どうなんだろう?」

柔「でも、あたしはおかあさんがそう言う事をしてるのは見た事無いよ?」

耕作「それもそうだな~、最近まで・・、あっ、ごめん、つい。」

柔「やだな~、あなたったら~、もうその事は気にして無いよ?」

柔「そうなのよね、おとうさんはずっと居なかったから見られる訳無いんだよね~。」

耕作「不思議だよな~、自然と出来る様になった?」

柔「あっ、そっか~、分かった~、会社勤めの影響かも知れないよ?」

耕作「あ~、なるほど~、仕事柄、お客様を立ててきてたからか。」

柔「うん、それが有ったから、あなたに対しても自然と出来てたんじゃないかな。」

耕作「今の説明で納得したよ、鶴亀に入って良かったね。」

柔「そうだね、あそこには色々とお世話になってるし。」

柔「これから少しずつ恩返ししていかないと・・。」

耕作「取り敢えず、この前お返しはしてるけどね。」

柔「あれじゃ足りない位お世話になってる気がするよ。」

耕作「そう思うのが君の良さだね、それこそ、奥床しいよ。」

柔「うふ、あなたにそう思って貰えると嬉しいな~。」

階下から声が聞こえた。

柔「桜おねえちゃんだ。」

耕作「下りようか。」

柔「そうだね。」

2人はカップを机の上に置くと急いで下に下りて行った。



下に下りた2人は急いで玄関に向かうと玉緒が桜の応対をしていた。

柔「桜おねえちゃん、お帰り~。」

耕作「桜さん、お帰りなさい、お元気そうで何よりです。」

桜「おう、ただいま、今日戻ってきたよ、2人とも元気そうで安心したよ。」

玉緒「積もるお話も有るでしょうけど、取り敢えず、居間で寛いで下さいな。」

桜「ここで失礼するつもりでしたけど、お言葉に甘えてお邪魔します。」

桜は玄関から上がって柔達3人と一緒に居間へ向かった。



居間に着くと玉緒が桜に座るように促した。

玉緒「桜さん、座って待ってて下さいな、直ぐお茶を用意してきますから。」

桜「いえ、気を遣わなくて構いませんから。」

玉緒「そう言う訳にはいきませんよ。」

玉緒は柔達3人を残して台所へお茶の用意をする為に向かった。

柔「ね~、旅行はどうだったの~?」

桜「それについては、言いたい事が色々有るんだが・・。」

桜「ここだと他の人に聞かれそうなので、後で上に上がって話すとするよ。」

柔「何であたしを睨んでるのかな~?」

桜「こいつ~、分かっててそんな事を言ってるだろう?」

柔「何の事かな~?」

桜「こら、惚けても駄目だぞ。」

柔「あ~、叱られる~。」

桜「なるほどな、そう言う所を見ると心当たりが有りそうだ。」

柔「桜おねえちゃん?お手柔らかにお願いしますね~。」

桜「それは、柔ちゃん次第だな~。」

桜「ところで旦那さんも今回の件は知ってるのか?」

耕作「はい、柔に聞いてるので大まかな所は分かってるつもりです。」

桜「そうか、という事は、2人は共犯だな。」

柔「そんな言い方しなくても良いのに~。」

桜「でも、実際そうなんだろう?」

柔「まあ、結果的にそうなるのかな?」

玉緒がお茶を持って台所から戻ってきた。

玉緒「お待たせしました。」

桜「態々恐れ入ります。」

玉緒は3人分のお茶を注いでそれぞれに渡した。

玉緒「柔に耕作さん、桜さんからお土産を頂いてますから。」

柔「そうなんだ、桜おねえちゃん、ありがとう~。」

耕作「桜さん、態々ご丁寧にすみません。」

桜「いや、向こうでも色々とお世話になったから。」

玉緒「さてと、3人だけでお話も有るでしょうから、私は席を外しますね。」

桜「そこまでされなくても良いですけど。」

玉緒「私が居ると話し難い事も有るでしょう?それじゃあ、ごゆっくり。」

玉緒は居間から出て行った。

桜「気を遣わせてしまったかな。」

耕作「玉緒さんは察しが良いですから。」

桜「そうみたいだな。」

桜「それじゃ、私達しか居ないから、さっき言ってた話を話すとしよう。」

柔「どんなお話なの?」

桜「こら、分かってて聞くのか?」

柔「・・・、ごめんね~、桜おねえちゃん、お節介だとは思ったんだけど・・。」

桜「ああ、本当にお節介だったぞ・・、まあ、嬉しかったが。」

柔「ごめんね、それでどんな感じだったの?」

桜「何かさ~、色々話し掛けてきたんだ、それで私も応対してるうちに意気投合してな~。」

桜「最初は到着したその日に訪ねて行ったんだが、残りの2日間も通い詰めたよ、喫茶店にな。」

桜「でだ、その人が旦那さんの同級生って言うじゃないか。」

桜「それでピンと来たわけさ、さては、柔ちゃんが仕組んだんだって。」

柔「もしかして、それを田中さんにお話しちゃったの~?」

桜「勿論、確認する為に聞いたさ。」

柔「それで田中さんは何て答えてたの?」

桜「謀られた~、とか言ってたかな?」

柔「そんな~、あたしはそう言うつもりじゃなかったのに~。」

桜「いや、柔ちゃんがそう言うつもりじゃなくても、誰だって普通にそう思うぞ?」

耕作「まあ、当然だと思いますよ。」

桜「田中さんも事前に何も聞いてないとも言ってたな~、そう言えば。」

柔「それはそうだよ、実際、田中さんに相談とかしてないし。」

桜「でもさ、何でそんな事をしたんだ?柔ちゃんは。」

柔「えっとね~、出会いを作ろうかな~って思ったからなの。」

桜「なるほど、そういう意図でなら、ある意味成功したのかもな。」

柔「成功なの?」

桜「ああ、連絡先の交換とかはしたしな。」

柔「ね~、桜おねえちゃん?聞いても良い?」

桜「どんな事が聞きたいんだ?聞きたい事は概ね予想は出来るが。」

柔「桜おねえちゃんから見て田中さんってどういう人って思ったの?」

桜「やっぱり、そう来たか。」

桜「そうだな、悪い人じゃないのは直ぐに分かった。」

桜「それと良く話をするって言うのも分かったな。」

桜「後、これは私の主観になるかもしれんが、話をしてる相手を飽きさせない面白さみたいなものを
  持ってると感じたよ。」

桜「これは実際に話したから分かった訳なんだが。」

柔「それで、桜おねえちゃん的には如何なの?」

桜「如何って?」

柔「お付き合いしても良いと思った?」

桜「こいつ~、それが目的だったのか?」

柔「あ~、ごめんね~、そこまでいけたら良いな~とは思ってたよ。」

柔「ただ、これは主人にも言われたんだけど、『後の事は2人が決めるんだから』って。」

柔「だから、あたしも必要以上に何かしようとかは考えない様にしたの。」

桜「柔ちゃん、そんな事まで考えてたのか。」

桜「それにしても旦那さんは思慮深くも有るんだな。」

耕作「そんな事は無いんですけど、柔にも必要以上に干渉しない方が良いとは言いました。」

桜「なるほどな~、今回は柔ちゃんに一本取られた感じだな。」

柔「え?それってどういう事なの?」

耕作「柔?相変わらず、恋愛事に関しては鈍感なのは変わって無いんじゃないか?」

柔「え?どういう事?」

桜「柔ちゃん?何とも思ってない人と連絡先を交換する人って居ないって事だぞ?」

桜「特に男女間ではより顕著だな。」

柔「・・・、あっ、そういう事なんだ、気に入ったって事で良いの?」

桜「こら、何度も言わせようとするな、こんな私でも一応女なんだぞ。」

柔「あは、桜おねえちゃん、可愛い~。」

桜「冷やかすな、余計に恥ずかしくなるだろうが。」

桜「まあ、そういう訳だから、取り敢えず、礼は言わせて貰うよ。」

桜「柔ちゃん、ありがとな、出会いの機会を作ってくれて。」

柔「ううん、あたしに出来る事ってこれ位だから。」

柔「でも、桜おねえちゃんが気に入ってくれたんなら、あたしは嬉しいよ。」

桜「気に入ったと言うか、話してると何だか妙に馬が合うんだよな~。」

耕作「やはりそうでしたか。」

桜「うん?何がそうなんだ?」

耕作「柔が桜さんと田中は相性が良さそうって言ってたんですよ。」

桜「柔ちゃん?そうなのか?」

柔「何となくだけど、桜おねえちゃんと話してたら田中さんと話が合いそうかな~って。」

桜「ほお、柔ちゃんにそんな才能が有ったのか。」

柔「才能って程じゃない気もするけど。」

桜「いやいや、話しただけでそういう事が分かるのは立派な才能だよ。」

桜「実際、私と田中さんは馬が合ったからな~。」

柔「それでお付き合いするつもりなの?」

桜「まだ言うか?そうじゃ無かったら連絡先の交換なんてして無いよ。」

柔「そうなんだ、良かった~、上手く行く様に祈ってるね。」

桜「まあ、何だ、上手く行くか分からないが続けてみるさ。」

柔「ところでお料理の方はどうだったの?」

桜「そうだった、旦那さん、お前さんのお袋さん、凄く教え方が上手かったぞ。」

耕作「そうでしたか、それで色々作ったんですね。」

桜「勿論さ、味付けの仕方とかどういう食材を使えば良いとか、色々と習ってきたよ。」

柔「そうなんだ~、今度作って貰って食べてみたいな~。」

桜「いや、まだ人に食べさせられるほど上達して無いから、そのうちな。」

桜「その代わりと言っちゃなんだが、デザート類なら食べさせられるレベルにはなってるけど
  それでも良ければ今度作ってみようか?」

柔「え?デザート何て、あなたのお母様って作った事有ったっけ?」

耕作「今迄、お袋がそんな物を作った記憶は無いよ?」

柔「桜おねえちゃんって、以前からデザートとか作ってたの?」

桜「私がデザートを以前から作ってたと思うか?」

柔「う~ん、デザートを作ってる姿の桜おねえちゃんなんて想像出来ないかも。」

桜「失礼な奴だな~。」

桜「しかし、お前達は夫婦揃って鈍いんだな。」

柔「何で?」

桜「田中さんって何してる人か知ってるよな?」

耕作「そうか、分かった、田中から習ったって事なんでしょう?。」

桜「だから、言ったじゃないか?3日間通ったって。」

柔「その時に作り方を習ってたの?」

桜「そうだよ、私が料理作るの下手なのは包丁の使い方が下手だからって田中さんに話したんだ。」

桜「そしたら、田中さんが『それじゃ、ここでデザート作ってみたら?基本的にナイフも包丁も
  使い方は同じだから』って言われて作ったんだ。」

桜「田中さんのOKが出るまで何度も作らされて『これならうちの店で出しても恥ずかしくない』
  って言われるまでに上達したんだ。」

柔「桜おねえちゃん、良かったね、しかし、そこまで親密になってたなんて。」

桜「デザートを作る事が親密って事になるのか?」

柔「違うよ?デザートが真面に出来るまで付き合ってくれたんでしょう?田中さんは。」

桜「そらそうだろう?私だけで勝手になんて出来る訳ないんだし。」

柔「田中さんがそこまで付き合ってくれるって事が親密になってるって事だよ~。」

桜「ああ、そういう事か、そう言えば、確かに懇切丁寧に教えてくれてたな。」

柔「そうだったのね~、これから先も上手く行きそうかも~。」

桜「でもな~、全く問題が無い訳じゃないんだよな~。」

柔「遠距離だから?」

桜「確かに、それも有るな。」

耕作「他にも何か有るんですか?」

柔「ほら、あなた?桜おねえちゃんって一人っ子だから、立場的には、あたしと同じだよ。」

耕作「あ~、婿養子になるって事か。」

桜「こらこら、勝手に婿養子にするって決めつけるな。」

柔「え?お嫁さんに行くつもりなの?」

桜「どっちにするか悩むんだよな~。」

柔「だよね、ご両親の事を考えると、そうなっちゃうね。」

桜「私も柔ちゃんを見習おうかな?」


柔「あたし?見習う事って有った?」

耕作「柔?俺達の場合、子供が2人以上なら1人養子に出すって決めたじゃない?」

柔「なるほど、その事を見習うって事なのね。」

桜「そう言う事だな、ただ、私の年齢的な事も有るんだよ。」

柔「桜おねえちゃん、まだ若いじゃない?」

桜「柔ちゃん達みたいに直ぐ結婚って事になれば良いよ?」

桜「でも、まだ知り合ったばかりだからな、結婚するかどうかも未定だし。」

柔「そこは決めて掛かっても良いんじゃない?」

桜「何だと?結婚前提での付き合いをしろって?」

柔「それでも良いんじゃないかなって思うんだけど。」

桜「どうしてそう断言出来るんだ?」

柔「えっと、主人の実家に居る時に2人程仲介して現在付き合ってる子が居るの。」

桜「私以外にもそんな事をしてたのか。」

柔「そうなの、お似合いだって思ったもんだから。」

桜「私とまるっきり同じじゃないか。」

柔「それでその子達なんだけど、既に結婚を前提に付き合ってるのよね。」

桜「まさかと思うが知り合った時点で結婚を前提にって決めてたのか?」

柔「そうだよ、2人に気持ちを聞いたら一緒になりたいって言うから。」

桜「若いって言うのは良いな、決断が早いな。」

柔「さっきも言ったけど、桜おねえちゃんも若いんだから決断しても良いんじゃない?」

桜「う~ん・・、どうしたもんかな。」

耕作「桜さん?」

桜「何だ?何か意見でも有るのか?」

耕作「取り敢えず、桜さんの気持ちがどうなのか考えてからで良いと思いますよ。」

耕作「柔が言った事も考慮に入れてじっくり考えてからで。」

桜「そうだな、そうしてみるか、少しは真剣に考えないと相手に失礼になるし。」

桜「私としても遊び半分でとか出来る年齢でも無いからな。」

耕作「俺達で手伝える事が有ったら何時でも手伝いますから、遠慮なく言って下さい。」

桜「すまないな、でも、出来る限り自分で何とかするよ。」

柔「桜おねえちゃん?最後に一つだけ聞いても良い?」

桜「何だ?」

柔「2人で喫茶店で会う以外にどこかに出掛けたりしたの?」

桜「行ってない。」

柔「え~、嘘だ~。」

桜「その通り、嘘だよ。」

柔「もう~、桜おねえちゃんったら~、それでどこに行ったの?」

桜「柔ちゃんに聞いてたお城を案内して貰ったよ。」

柔「うふふ、結構デートっぽい事したんだね。」

桜「まあ、あれがデートと言えばそうなるのかもな。」

桜「どっちかと言えば観光客と案内係みたいな感じだったけど。」

耕作「それって、田中の照れ隠しだと思いますよ。」

桜「そうだった、旦那さんは同級生だったんだな。」

桜「やっぱり、照れ隠しだったのか、私もそう感じてはいたんだ。」

耕作「こんな事を言うと桜さんの気分を害するかもしれませんけど。」

桜「何だ?遠慮しないで言って良いぞ。」

耕作「今迄の話を聞いてると桜さんは既に田中の事を良く理解してると思うんです。」

桜「そうなのかな?」

耕作「だから、2人は上手くやっていけそうな気がしますよ。」

桜「何か2人から煽られてる気もしなくはないが、安心してくれ、近いうちに結論は出すから。」

柔「そうしてね、さっきも主人が言ってたけど、じっくり考えてね。」

桜「分かってるさ、そんなに待たせる様な事はしないつもりだ。」

桜「どれ、話したい事も話したし、そろそろお暇するよ。」

柔「え~、まだ良いじゃな~い。」

耕作「柔?桜さんも帰ってきたばかりでここに来てるんだから、今日は疲れてるだろうし。」

柔「それもそうか、桜おねえちゃん、また遊びに来てね。」

桜「そうするつもりだよ、どう決めたか話しに来ないといけないしな。」

柔「玄関まで送るね。」

桜「そこまでしなくても良いと言ってもするだろうから、好きにすれば良いさ。」

3人は立ち上がると柔が湯飲みを3つ纏めて持って台所へ行き流しに置くと玄関へ向かった。

桜「お邪魔したよ、色々話が出来て良かった。」

柔「あたしもお話出来て良かったよ。」

耕作「また、何時でも遊びに来て下さい。」

桜「時間が有ったら来るさ、じゃあな、失礼するよ、またな。」

柔「またね~。」

桜が玄関から出て行くまで柔と耕作は見送った。

柔「上でお話しようか?」

耕作「そうだね。」

2人は上に上がって行った。